お姉様の◯◯◯
その日は、何気なくお姉様にかまちょしようとしてお姉様の部屋に来たがお姉様が不在だった時のことだった…。
「(ちぇっ、お姉様今日もいらっしゃらないのか………最近全然会えないなぁ…。)」
そう、お姉様は最近次期王妃としてのマナー教育をお城に受けに行っている。
食事もマナー教育の一環とするらしく、別々にすることになっているのでお姉様と話すということがここ2週間できていなかった。
ちくしょう、という気持ちを込めてお姉様のベッドに飛び込む。
…そうすると、お姉様の匂い、品のいい薔薇の香りが鼻腔をくすぐる。
「お姉様に、会いたいなぁ…。」
思わずそう呟き、よく働く侍女のおかげでシワ一つ無いお姉様のシーツの上を寝っ転がって体制を変えた。
そのままぼんやりとお姉様の部屋を見ていると、お姉様のタンスの前に何か白い布が落ちていることに気が付いた。
「(なんだろ、あれ……。)」
純粋な好奇心に突き動かされてベッドから降り、タンスに近づく。
白い布をつまんでよく見てみると、逆三角形の形をしてオモテ面に可愛らしいレースがついた……………………。
「………………え、これ……………。」
パンツがあった。
「え、いや、ちがう!違うの!!パンツだって知らなくて!!単なる純粋な、物凄く純粋な好奇心から見たの!!!ちがう!!私は変態じゃない!!!!!!!!
……………って、誰に弁解してんだ私………。」
半ばゲッソリしながら私は未だ手に持っているパンツを見る。
「うん、お姉様にきっと似合うだろう可愛らしいパンツだね。」
ラインに沿った白いレースがいい味を出していると思いました。byライネ
「な、なんてね!はっはっは!変態じゃないんだからっ!!!あっはっはっはっ、ははは…。」
「ライネ様?ローゼ様のお部屋で一体どうされたんですか?」
時間が止まった。
バッとお姉様のパンツを勢いよく手で握って隠し、
恐る恐る後ろを見ると、怪訝そうな顔をしたウォールがいた。
「ゑっ?ウォ、ウォール!?ど、どうしたの?」
驚きすぎて声がひっくりがえった。やばい。
「どうしたもなにも…。勉強がひと段落しましたので休憩しようとしたら今ご不在なはずのローゼ様のお部屋からライネ様の大きな声が聞こえたので…。どうなされたのかな、と疑問に思っただけです。」
「そ、そうなんだぁ!!!!私はね、ちょっとお姉様が恋しくてお姉様のお部屋に来てお姉様の匂いを堪能していただけだよ!!!大丈夫!!!」
「いや、もう発言が大丈夫ではないのですが…。
…………?ライネ様、僕に何か隠してらっしゃいますね?また何かされたのですか…?」
「え???いや???なにも????何も隠してないよ????」
「じゃあ、右手出せますよね?右手見せてください。」
「えっ、ちょ、待って待って待って。落ち着こうウォール。話せばわかる。おーけーおーけー。ひっひっふーだよ、ひっひっふー。」
「僕は落ち着いてます。ライネ様が落ち着いていらっしゃらないのでしょう。
ほら、ライネ様。ひっひっふー?ですよ。」
「私はラマーズ法を実践しなくても落ち着けるわっ!!あっ、ちょっ、近付かないで!!!!見たら後悔するよ!!!!絶対後悔するよ!!!ウォールは必ず後悔するし、私も見せたくない!!!そういうのよくないよね!!!両者互いに不快だよ!!!やめよう!!!!!よしやめよう!!!!」
「何をおっしゃっているか分かりかねませんが、ライネ様が人に見られてはまずい事をしている…そして人に見られてまずいものを持っていることだけはわかりました。
それを理解してなお、僕は言います。
ダメです。見せてください。どうせまたカエルとかでしょう?公爵令嬢たるもの品の無いものは持ってちゃいけません。僕が自然に返しておいてさしあげますから。」
「ダメダメダメダメ!!これ自然に返しちゃいけないっていうか、自然に返せないから!!
そしてカエルじゃないからねコレ!!!」
「はぁ、全く。往生際がないですね。
誰にもチクったりしませんよ。ほら、手を開けてください。
…あれ、本当にカエルとか虫とかじゃないんですね…。
……ん…………?これは、布ですか…………?」
「ダ、ダメダメダメダメダメダメダメダメダメっ!!あぁーーーーーーーーーーー!!!!!!」
手首を掴まれて一つ一つ指を剥かれる。
死ぬ気で抵抗したがウォールの力が思いのほか強く、抵抗も虚しく全て剥かれてしまった。
意気消沈とする私を横目にウォールはこの布(笑)が何かを確認し始めた。
「全く、そんなに抵抗するようなモノなんですか…?
んん?これは…………………………え………………。」
ウォールはコレが何なのか気が付いたようで、理解したと同時に顔を真っ赤にさせた。
「ほら……だから言ったじゃん…後悔するって………私は悪くなi…ヘブッッッ!!!!!!!」
顔面にパンツを押しつけるようなパンチとお姉様のパンツがウォールから飛んできた。
口をパクパクしながらこちらを非難するように睨まれた。解せぬ。
「ら、ら、ライネ様の………!!!!」
「ライネ様の…??」
思わず聞き返すと、顔をより赤くさせてウォールは叫んだ。
「ライネ様の!!!!エッチ!!!!!!!!」
そう叫んで、行き場の無い気持ちを私に八つ当たりするように私の体をポカポカと涙目で殴り始めたウォール。
………全く痛くないんだがなぁ…。
ちなみに、お姉様のパンツはウォールのシャウトを聞いて駆けつけた侍女に回収されましたとさ。
後日、ローゼの顔を見ては熟れた林檎のように顔を真っ赤にさせるウォールが発見されたようです。




