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悪役令嬢の妹ですけどなにか?  作者: トマッティ
20/43

正直すまんかった


今日は、アルフレッド野郎とオーガが二週間ぶりに我が家に来る日だ。

何故二週間ぶりなのかというと、アルフレッド野郎の公務が凄く忙しかったらしい。

まだ9歳なのに公務で忙しいとか……第1王子とかに転生しなくて良かったなって心底思うわ…。


久し振りにアルフレッド野郎が来るということでお姉様はめちゃくちゃソワソワしている。可愛い。わたしのお姉様めちゃくそ可愛い。


今朝アルフレッド野郎から一報があったが、そこに「今日は久しぶりに愛しい婚約者と会えるので、どうしても二人きりで話したい。」と書かれていた…ので、お姉様は頬を紅潮させて嬉しそうに手紙を抱きしめた。


…でもさ…私がこんなの許すと思った?☆


お父さんに直談判して、このお願いを取り下げてもらうように訴えた……が、お父さんは直談判する私を微笑ましそうに見て「ライネ…お姉様が好きなのはわかるが、殿下はお姉様の婚約者なんだよ…わかるだろう?」と笑われた。



我、憤慨の意。



プライドも捨ててお父さんに縋り付きながら駄々をこねても無駄だった…。

そして、その結果、お父さんは王子の要求に対して了承してしまい、今日は別々にお茶会を開くことになった。

アルフレッド野郎はお姉様が対応して、オーガのことは私が対応することに…。






珍しいことに今日のオーガとのお茶会にはウォールも一緒だ。

ウォールも、もう執事として勉強が始まっているらしい。それの息抜きと、同世代の男が周りにいないことの配慮から、お父さんが「ウォールもライネ達と一緒に殿下のお相手をしなさい。」とウォールに今朝言っていた。



「僕では、身分が釣り合いません。話すことさえ烏滸がましいです。」と恐縮するウォールに、「お前は一応執事見習いとしてここにいるが私はお前のことを息子も同然だと思っている。お前が望みさえすれば養子に迎えても良いくらいだ。この私が息子も同然だと言っているのだから身分は釣り合っている。気にするな。

…大丈夫だ、オーガ殿下は態度はアレだが、心根はお優しい方だからな。」と言ってお父さんは微笑んでウォールの頭にポンっと手を乗せていた。ウォールは恥ずかしそうだったが、凄く嬉しそうだった。



♢♢♢



アルフレッド野郎とオーガが来た。

そこで、ウォールはアルフレッド野郎とオーガに自己紹介兼挨拶をした。

殿下達はその挨拶を聞き、形式に則って自己紹介をした。


アルフレッド野郎はウォールとの挨拶の後、他の人への挨拶もそこそこにお姉様に抱きつき、愛おしそうにお姉様の頬を撫でた。


「アルフレッド殿下はうちに来るなり、玄関でなにをなさっているので???????」と私は額に青筋を立てながらニッコリと笑ってベリッとアルフレッド野郎を引っぺがしたら、アルフレッド野郎はそれはもう麗しい微笑みを浮かべて

「おや、いたのかライネ。悪いけど今日は君のお姉様を独占させてもらうよ。」と挑発してきた。


ほんと、憎々しいやつだわ…!!!!!!





(アアン???その喧嘩、乗ってやんよォ…)とメンチを切り始めたところで、ウォールに「ライネ様…!?アルフレッド殿下になにを…!?」と取り押さえられた。










……チッ、勘の良いガキは嫌いだよッ!!!!





私がウォールに取り押さえられている間にアルフレッド野郎はお姉様と仲良く玄関から中に入ってしまった…。




「あぁっ!!!!行っちゃう!!!おい、ウォール!!!放せ!!!あのクソ野郎をぶち◯して犬の餌にしてやる!!!!だから放せっ!!!」


「いや、逆にそう言われて放す人いますか!?貴方淑女だったんじゃないんですか…!?僕この家に来てから1番驚きましたよ!!!」


「うるさい!!!!お姉様のことで淑女の皮被ってられっか!!!!!行っちゃう!!お姉様が行っちゃう!!!!あぁ、ローゼおねぇさまああああああああああああああ!!!!!!」


私が大声でお姉様の名前をシャウトすると、アルフレッド野郎と歩いていたお姉様はチラッと私の方を見て微笑まれた。




……あぁ、今日も私のお姉様は超美しい………トゥンク…。















「おい、先程からうるさいぞライネ。」


「いつもうるさいお前にだけは言われたくないな。」


「なんだとっ…!?!?」









「ちょっと!?オーガ殿下、ライネ様!おやめください!!」









正直、ウォールにはすまんことをしたと思ってる。まる。




♢♢♢



そうしてオーガといつも通り取っ組み合いをした後、三人でのお茶会が始まった。


あーあ、なにが悲しくてこんな野郎2人とお茶しなきゃいけないんだよ…。


はぁ〜、とデカイため息を一発かますと、ウォールが「ライネ様、」とたしなめてくる。


「お前は私のカーチャンか。(お前は私のカーチャンか。)」


「…?カーチャン、とは…?」






あ、やっば。心の声がついうっかり口に出ちゃった☆






「え、えーと、うん、カーチャンとは、アレだよアレ。冗談も言える母親みたいな人ってことだよ、うん。」


「…僕は、ライネ様の母親ではありませんが…。」



そう言って眉を顰めるウォールは美少年です。

わぁ、かわいい。

まぁ私はショタではなくロリ派ですがね。

ロリこそ正義なのだよ諸君。



「おい、お前、ウォール?だっけか。宰相から話は聞いていた。先程の挨拶も見事だったな。改めてこれからよろしく頼むぞ。」


「はっ。殿下にそう仰って頂けるとは光栄の極みでございます。こちらこそよろしくお願い致します。」


そう言って、ウォールはオーガに跪きこうべを垂れた。



オーガはそれを見て、うんうんと頷きウォールを立たせ「お前とは仲良くなれそうだ。同年代だしな。俺はお前と仲良くなりたい。だからもうちょっと砕けて話してくれると嬉しいぞ。」と愉快そうに笑った。




そういえば、こいつ、王子だったなって…実感したわ。









「……おい、ウォール。こいつになにか意地悪をされてないか?殴られたりしてないか?こいつはめちゃくちゃ性格が悪いし暴力女だからな。心配だ。」


オーガはそう言い、対角線上に座りながらお茶を飲んでいる私に向かって指を指した。


「え…?えぇ、大丈夫です。そのようなことはされておりません。ライネ様は理由もなしにそのようなことはなさらない方ですから。」



私はガタッと椅子から立ち上がり、ニッコリ笑った。





「よぉっし、よく言ったウォール。

そしてオーガ、てめぇはダメだ。許さん。オモテでろ。相手してやんよ。」


「ハッ、誰が出るか。この暴力女。」


「ああ??????いつも先に手が出てるのはそっちだろ????脳みそイカれてんのか???」


人差し指を立たせて私は自分の頭をトントンッと叩いてみせた。



「はぁあああ???なんだと???????」




そうして、私の挑発にまんまと乗って勢いよく椅子から立ち上がるオーガ。


…またもや懲りずに2人して取っ組み合いを始めようとした時、

「ちょっとお二方!!!!!」

と私の横から涙声が聞こえた。




オーガと同時にそちらを見ると、















目にいっぱい涙を溜めてこちらを睨むウォールがいた。




「なんで、そうやってすぐに喧嘩なさるんですか!!!ライネ様もそうやってすぐ喧嘩腰になっちゃダメです!!オーガ殿下も、同じです!!!!!」


ツゥっと涙が一筋ウォールの美しく丸みを帯びた頬を伝って形のいい顎から洋服に落ち、上品なシャツに染みを作った。

またその線に沿って流れ始めた雫をグイッと乱暴に袖で拭ってウォールはこちらを真っ直ぐに見た。


「わかっておられますかッッ!?!?!?!?」
















「「…はい、本当にすみませんでした。」」



この時ばかりは2人で仲良く並んで正座し、私達の前で仁王立ちするウォールに向かって息ピッタリの土下座を披露することができたのである。




お茶会まだ続きます!!



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