プロローグ
夕焼けが燃えていた。
山々は炎に包まれ、かつて聖なる光に満ちていた空は、今は敗北した戦争の煙に覆われていた。
祝福された者たちの神殿の廃墟は、あらゆる方向から遠く進んでくる悪魔たちの足音で震えていた。
五つの影が聖域の入口に立っていた。
そこでは数百の生存者――エルフ、人間、半人――が震えながら、時間も空間もない夢の中に封じられるのを待っていた。
空気は灰、血、別れの匂いがした。
—赤ん坊に全部任せるつもりか、シオン? —エヴェレットの声が響いた。低く、強く、疲れていたが、まだしっかりしていた。彼の手はまだ新しい血で汚れていた。前線から来たばかりだった。
シオン、その古い月のように美しい目を持つエルフは、新生児を腕に抱えていた。
その子は泣かず、ただ上を見て、理解できない何かを見ようとしているようだった。
—戦争は負けた、シオン—エヴェレットは続けた—。俺たちは狩られている。残ってるのは俺たち五人だけだ。
それでニヴァンは言うんだ、最後の希望として赤ん坊を未来に送るってな。
彼は疲れた様子で彼女に身を寄せた。
—どういうつもりだよ?
シオンは動かなかった。
その声は優しく、開いた傷を落ち着かせる風のようだった。
—未来を見た。
この子は最後の切り札。
主血統の子で、封印を解く力を目覚めさせる。
もし世界がもう一度立ち上がる可能性が少しでもあるなら…
それはこの子にある。
エヴェレットは歯を食いしばった。
戦いで固くなった顔のライアルが呟いた。
—他に選択はない。ここに残れば…死ぬ。逃げても…死ぬ。
封じるしかない。俺たちを残すために。
そして誰かが戻って解放しなきゃならない。
シオンは赤ん坊を見下ろした。
—この子が、みんなを取り戻す。
沈黙。
遠くで悪魔の戦の角笛だけが響いていた。
エヴェレットは笑った…楽しさはなかった。
—本当に終わってるな、俺たち。
壁にもたれていたニヴァンは、血まみれの腕で片側だけ笑った。
—最初からな。
引き裂かれた翼を持つ天使ルミネルは一歩前に出て言った。
—なら決まりだ。俺たち三人が入口を持つ。シオンとニヴァンが封印をやる。
エヴェレットは剣を抜いた。
—どうせここで死ぬんだろ?
シオンは頷いた。
悲しみではなく、確信だった。
—死ぬ…でも消えない。この子が生きれば…私たちの物語はここで終わらない。
エヴェレットは深く息を吸って、ついに折れた。
—いい。
ライアル、ルミネル、行くぞ。
このクソみたいな世界に、あと少しだけ俺たちの名前を刻む。
ライアルは笑った。
ルミネルは最後の祈りのために目を閉じた。
シオンは赤ん坊の耳元に口を近づけた。
—カズキ、あなたは私たちの最後の希望を背負う。
ニヴァンとシオンは聖域の中へ入った。
エヴェレット、ライアル、ルミネルは外に残った。
悪魔たちの轟音が夕焼けを裂いた。
最初の攻撃がエヴェレットとルミネルに届き、二人は迷わず入口を守るために飛び出した。
彼らの力は暗闇の中の雷のように輝き、近くの侵略者を破壊した。
だが一撃ごとに、彼らの力は削られ、命の限界に近づいていった。
エヴェレットは歯を食いしばりながらもう一体を倒した。
—通さねぇ…
剣の一振りごとに力は削られていくが、意志は折れない。
—最後まで…最後まで…—荒い息で呟きながら斬り続けた。
翼が裂けたルミネルは黒く染まった空を見上げた。死が近づいているのを感じながら。
—できるだけ…倒さないと…—声は震えていたが、折れていなかった。
彼の魂は魔力と共に震えていた。光に触れた敵はすべて犠牲だった。
一方その頃、聖域の中ではニヴァンがすでに生存者全員の封印を終えていた。
魔力も尽き、命も削られ、呼吸は重くなっていた。
赤ん坊を見て、少し苦い笑いをした。
—赤ん坊に任せるってな…本当に終わってる…
その笑いは戦いの音に消え、最後の安堵とともに彼は倒れた。
ライアルは入口で立ち続けていた。
—耐えないと…—拳を握りながら呟いた。
力は消えていくが、止まらない。
一秒でも長く持たせれば、それでいい。
シオンは赤ん坊を床に置き、布に名前を書いた。
—大事に持っていって…私たちの希望、カズキ。—優しく囁いた。
魔法の光が二人を包み始めた。
彼女は静かな安らぎに包まれていた。魔力はすべて消えていく。
遠くで悪魔たちが近づく音が聞こえていた。炎と破壊と共に。
彼女は静かに微笑んだ。
赤ん坊が生きると信じて。
最後の息とともに、彼女の力は空気に溶けていった。
最後の意志の光でカズキを包み、未来へと送り出した。
シオンは最後の役目を果たし、消え、死んだ。
すべての希望を一人の赤ん坊に託して。
祝福された世界は終わった。
だが、知らない未来で、最後の希望は歩き出した。




