表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/2

プロローグ

夕焼けが燃えていた。

山々は炎に包まれ、かつて聖なる光に満ちていた空は、今は敗北した戦争の煙に覆われていた。

祝福された者たちの神殿の廃墟は、あらゆる方向から遠く進んでくる悪魔たちの足音で震えていた。

五つの影が聖域の入口に立っていた。

そこでは数百の生存者――エルフ、人間、半人――が震えながら、時間も空間もない夢の中に封じられるのを待っていた。

空気は灰、血、別れの匂いがした。

—赤ん坊に全部任せるつもりか、シオン? —エヴェレットの声が響いた。低く、強く、疲れていたが、まだしっかりしていた。彼の手はまだ新しい血で汚れていた。前線から来たばかりだった。

シオン、その古い月のように美しい目を持つエルフは、新生児を腕に抱えていた。

その子は泣かず、ただ上を見て、理解できない何かを見ようとしているようだった。

—戦争は負けた、シオン—エヴェレットは続けた—。俺たちは狩られている。残ってるのは俺たち五人だけだ。

それでニヴァンは言うんだ、最後の希望として赤ん坊を未来に送るってな。

彼は疲れた様子で彼女に身を寄せた。

—どういうつもりだよ?

シオンは動かなかった。

その声は優しく、開いた傷を落ち着かせる風のようだった。

—未来を見た。

この子は最後の切り札。

主血統の子で、封印を解く力を目覚めさせる。

もし世界がもう一度立ち上がる可能性が少しでもあるなら…

それはこの子にある。

エヴェレットは歯を食いしばった。

戦いで固くなった顔のライアルが呟いた。

—他に選択はない。ここに残れば…死ぬ。逃げても…死ぬ。

封じるしかない。俺たちを残すために。

そして誰かが戻って解放しなきゃならない。

シオンは赤ん坊を見下ろした。

—この子が、みんなを取り戻す。

沈黙。

遠くで悪魔の戦の角笛だけが響いていた。

エヴェレットは笑った…楽しさはなかった。

—本当に終わってるな、俺たち。

壁にもたれていたニヴァンは、血まみれの腕で片側だけ笑った。

—最初からな。

引き裂かれた翼を持つ天使ルミネルは一歩前に出て言った。

—なら決まりだ。俺たち三人が入口を持つ。シオンとニヴァンが封印をやる。

エヴェレットは剣を抜いた。

—どうせここで死ぬんだろ?

シオンは頷いた。

悲しみではなく、確信だった。

—死ぬ…でも消えない。この子が生きれば…私たちの物語はここで終わらない。

エヴェレットは深く息を吸って、ついに折れた。

—いい。

ライアル、ルミネル、行くぞ。

このクソみたいな世界に、あと少しだけ俺たちの名前を刻む。

ライアルは笑った。

ルミネルは最後の祈りのために目を閉じた。

シオンは赤ん坊の耳元に口を近づけた。

—カズキ、あなたは私たちの最後の希望を背負う。

ニヴァンとシオンは聖域の中へ入った。

エヴェレット、ライアル、ルミネルは外に残った。

悪魔たちの轟音が夕焼けを裂いた。

最初の攻撃がエヴェレットとルミネルに届き、二人は迷わず入口を守るために飛び出した。

彼らの力は暗闇の中の雷のように輝き、近くの侵略者を破壊した。

だが一撃ごとに、彼らの力は削られ、命の限界に近づいていった。

エヴェレットは歯を食いしばりながらもう一体を倒した。

—通さねぇ…

剣の一振りごとに力は削られていくが、意志は折れない。

—最後まで…最後まで…—荒い息で呟きながら斬り続けた。

翼が裂けたルミネルは黒く染まった空を見上げた。死が近づいているのを感じながら。

—できるだけ…倒さないと…—声は震えていたが、折れていなかった。

彼の魂は魔力と共に震えていた。光に触れた敵はすべて犠牲だった。

一方その頃、聖域の中ではニヴァンがすでに生存者全員の封印を終えていた。

魔力も尽き、命も削られ、呼吸は重くなっていた。

赤ん坊を見て、少し苦い笑いをした。

—赤ん坊に任せるってな…本当に終わってる…

その笑いは戦いの音に消え、最後の安堵とともに彼は倒れた。

ライアルは入口で立ち続けていた。

—耐えないと…—拳を握りながら呟いた。

力は消えていくが、止まらない。

一秒でも長く持たせれば、それでいい。

シオンは赤ん坊を床に置き、布に名前を書いた。

—大事に持っていって…私たちの希望、カズキ。—優しく囁いた。

魔法の光が二人を包み始めた。

彼女は静かな安らぎに包まれていた。魔力はすべて消えていく。

遠くで悪魔たちが近づく音が聞こえていた。炎と破壊と共に。

彼女は静かに微笑んだ。

赤ん坊が生きると信じて。

最後の息とともに、彼女の力は空気に溶けていった。

最後の意志の光でカズキを包み、未来へと送り出した。

シオンは最後の役目を果たし、消え、死んだ。

すべての希望を一人の赤ん坊に託して。

祝福された世界は終わった。

だが、知らない未来で、最後の希望は歩き出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ