表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
引きこもりのお飾り妻は悪妻になって離婚したい  作者: 赤城ハルナ/アサマ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/15

プロローグその二 わたし毒を飲まされたみたいです(なんで?)

服毒事件後のアイネ視点です。

 気が付くと、わたしはベッドに寝かされていた。体中が重く、手も足も動かすことができない。喉が詰まっている気がする。気持ち悪い。苦しくて声を出せない。


〈ウ〜ン……(誰か……助けて……)〉


 確か、ランチは軽くリンゴとイチジクのコンポートにしてもらって……。

 あれ以来わたしは自室に監禁状態だ。話し相手がいなくて暇だから風景画の続きを描いて……喉が渇いたので何か飲もうとした。

 アンは昨日から外出しているから、呼び鈴を鳴らして飲み物を頼んだら……アリッサとかいう使用人が、ジャムを挟んだスポンジケーキと、ミルクとシュガー入りカモミールティーを持ってきて……。


 そういえば昨日もアリッサがアフタヌーンティーの用意をした。アンがいないから、代わりに持って来たって言ってた。


『奥様、お飲み物にはダイエットシュガーというお砂糖をたっぷりお入れしました。昨今の流行とのことでございます』と、アリッサが得意げに言ってたっけ。

 ダイエットシュガーだとしても、たっぷり入れたらカロリーは同じじゃない。ダイエットするならお砂糖は少なめに、それか入れなければいい……と思いながら飲んだら、とても甘くてほんのり苦かった……いくらなんでもシュガーを入れすぎだよと、あとで注意しようと思って……それから……。


 そう、急に動悸が激しくなって、息をするのがつらくなった。

 目の前が歪んで、体が重くて動かなくて……。

 苦しくて苦しくて、呼び鈴を鳴らそうと思ったけれど、紐に手が届かなくて……もう、ダメだと思った。

 終わった……と思った。


 次に転生するときは二十一世紀の日本、そこそこ都会そこそこ田舎にしてほしいとマジで思った。何でも揃っている巨大ショッピングモールがあるところ。気軽にお一人様カフェへ行けるところ。


 そして意識が遠のいた。


 でも、今は息をしているし、確かに生きている。

 瞼に力を入れたら、辛うじて薄目を開けることができた。


 あれっ、ウ〜ン何だろう、この、


 伯爵家全員集合!


 みたいなシチュエーション??


〈ウ〜ン……ハァァァァ……(誰か何とかしてぇ、だりいの、ぐるじいの、ドクター、薬!)〉


「アイネ!」

「アイネ様!」

「生きてらしたのですか!?」


 三者三様の反応。

 最後の反応はたぶん、最近不愛想に睨んでくるメイド長。


「生きていて、申し訳、ありません……」

(生きていて、悪うござんしたぁ!)


 きっとわたし、毒殺されかけたんだわ。

 でも死ねなかったみたい。

 医療がそこまで発達していないガッデム世界なのに、奇跡だわ。


 でも、誰が? 何のために?

 わたしを毒殺してもどうにもならないじゃない。謎だわ。


 ただひとりアンだけが泣いている。フィンも泣きそうだけど……。

 皆さんごめんなさい、どうしてこんなことになったのか見当もつかない。

 周りに恨まれるようなことをしでかしたっけ?


 あぁ、そういえば最近わたし、悪妻になろうとして……それから……。


 もしもわたしが死んだらアンはどうなるの? アンは一生わたしが守るって決めたのに。




☆ ☆ ☆




「少しは話せるかな、アイネ」


 使用人と医者がわたしの寝室から出たあと、アンとフィンが残った。

 ゆるやかに波打つ金髪に、愁いを帯びたブルーアイのイケメン旦那フィンがベッドサイドに座り、わたしの髪の毛をもてあそびながら話し掛けた。髪の毛を触られているだけなのに何だかくすぐったい。


「……ハイ」

「まさかとは思うけれど、その……毒を……飲んだのかい?」

「飲んだ……たぶん……でも、自分から飲んだわけじゃない。毒なんて持ってない」

「何があったのか話せるかな?」

「はい……アンがいないから、今日の午後はひとりで絵を描いていて……喉が渇いたからアリッサというメイドに……ダイエットシュガーとミルク入りカモミールティーを……ゴホゴホ……」


「アン、もっと水……いや、温かい水を持って来て」

「はい、ご主人様」


「……カモミールティーを飲んだら、動悸が激しくなって、息ができなくて……」

「では、アリッサが?」

「呼び鈴を鳴らそうとしたけれど、紐に手が届かなくて……その先は記憶が無いので分かりません」

「警官を呼んで使用人全員に聞き取りをしようと思う」

「いいんですか、警官なんかを呼んで?」

「構わない。その上で処罰を決めよう」

「そういえば、アリッサという使用人は今まで見たことがないような……あるような……?」

「彼女は……普段別の仕事をしている。なぜアイネの世話をしたかは分からない。まずそこからだな。アンをこの部屋で待機させるから、安心して眠りなさい」

「ハイ……」


 心配そうなフィンが部屋から出ようとした。これはチャンスだと思い、わたしは勇気を出して自分の願いを口にした。


「この屋敷で暮らすのは辛いんです。わたしと離婚してください」

「何を言っているんだアイネ、犯人は必ず見つけるから。もうこんなことは起こさないから安心して。そうだ、もう一人侍女を付けよう」

「犯人とかそういうことではないんです」

「どういうことかな? また変な内容の三文小説を読んだのか?」

「どうしてそうなるんです?」

「アイネはぼくの妻なのだから、そのつもりでと何度も言っただろう。もう子供じゃないんだから、くだらない小説に影響されないように。今度そんなことを言ったら小説を禁止するよ」

「……」


 フィンはそのまま部屋を出た。


 ――何を言っても無駄なんだな。


 のれんに腕押し、糠に釘、馬の耳に念仏。

 あと何かあったっけ?

※三話は二人の出会い(?)からです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
豆腐に鎹( ̄ー ̄)b
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ