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引きこもりのお飾り妻は悪妻になって離婚するのだ!  作者: 赤城ハルナ
本章/転生引きこもりお飾り妻

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16/24

最近妻の様子がおかしいのだが/心配でハラハラする

★挙動不審な悪妻ヅラをしているバカっぽいアイネに翻弄される、十歳年の離れた大人の男性フィン・ライリーです。妻アイネに対して間違った愛情を押し付けている感があります(本人無自覚)。

「ダニー、アイネはどこにいるんだ?」


 夕方競馬から(少し儲けたのでアイネの大好きなチョコレート菓子を買って)帰ると、妻はいなかった。珍しいこともあるものだ、あの引きこもりが外出だって?


 首都のライリー屋敷への手紙は執事のダニーが一旦チェックする。パーティーの招待状をアイネに渡すことはない。

 それならどこぞのお茶会?

 あの社交ベタが?

 お茶会に出席するときはぼくに断わりを入れるよう言ってあったはずだが……。


「奥様はアンと街へ買い物とのことです」と、執事が答えた。

「二人だけで?」


 買い物へ出かけるとは珍しいな。雪でも降るのか?

 日中アイネは屋敷から出ることはなかったので、護衛を付けるということが頭からすっぽり抜けていた。


 気になったぼくだったが、後日アイネが怪しい雑貨屋で購入し、ライリー家に届けられた品物を見て苦笑した。

「安物の雑貨。こんな大量のゴミをどうするつもりなんだ。孤児院へ寄付? まさか自分の部屋に飾る? いくら何でもあり得ないな」

 仕方ないので商品をチェックしてからアイネの部屋へ届けさせた。


 ある日の晩餐で、安ピカ物ネックレスを誇示しているアイネを見たときは、笑いを堪えるのに苦労した。


(クッ、ぼくの妻は何て愉快なんだ……妹がいたらこんな感じだったのかもしれないな……結局妹はできなかったが……)


「アイネ、その無駄に青くてキラキラしたネックレスは……」

「あら……気が付きまして? ホホホホ……先日思い切って買いましたの。非常に珍しいカットジュエリーの高級ネックレス(店員の受け売り)ですわ」

「アクセサリーが欲しければ鑑定書付きの品物をプレゼントするから、安物はやめたほうがいい。ライリー家はアクセサリーを買う金もないのかなんて言われたら、アイネも嫌だろう?」

「ちょ……な……」

「親しい宝石商がいるから、さっそく明日にでも見繕ってもらおう」

「あ……の……これが気に入っているんです!」

「伯爵家の、しかも宮廷儀式に関わる家門の若奥様なのだから、それなりの宝飾品を身に着けなさい。ライリー家に相応しい品物を」

「は……い……」





 数日後――。


「ご主人様、奥様はアンを連れてランチへお出かけのようですが、二人だけで行かせてよろしかったのでしょうか?」


 夕刻屋敷に帰ると、執事がぼくに告げた。今度は何だ?


「ランチ? 一体どこで……」

「御者の報告によると、繁華街の末端の、庶民が行くレストランらしいです」

「庶民だって?」

 アイネと侍女だけで街へ出かけ、しかもその辺の怪しいレストランに入るとは。

 おかしな料理を食べてお腹をこわしたらどうするんだ?


 外出などすぐに飽きるだろうと思っていた……が、こうも続くのなら目立たないよう護衛を付けなければならない。


 最近のアイネはどうかしている。

 散歩も乗馬も断られた……健康のためなのに。

 しかも先日のパーティーには出席さえしなかった。新たに王宮御用達になったお菓子の試食会だったのに……。


 外の世界に興味を持ったんだろうと思い、ぼくは年若い妻を観劇や演奏会にエスコートし、大人に見えるダイヤモンドのネックレスをプレゼントした。


 これで少しは満足しただろう。





「ご主人様、奥様がお茶会へ行ってしまわれたようなのです」

「は?」

 なじみのクラブで知り合いと政治・経済について議論していたとき、アイネに付けていた護衛がぼくに伝えた。

 どことなく慌てている様子だ。


「奥様が心配なので、できれば迎えに行って頂けませんでしょうか……」

「お茶会に出席するという報告はなかったぞ」

「それが……アンを連れて勝手に行ってしまわれたようなのです……アハーン家のお屋敷です」

「アハーン! なんということだ!」


 アハーン家には、何年もぼくに執着している令嬢がいる。一回だけキスしたにはした……そうしないと死にそうな顔をしていたからね。だがその一回だけで、ほんの挨拶程度だった。

 その後マロイ家のパーティーでアイネが絡まれていたのを目撃したのだが……厄介な事態になっているとまずいな。


 アハーン家へ急ぎ、サロンのお茶会にいたアイネを見たぼくは、その場でひっくり返りそうになった。


 ――どうして、なぜ?

 お茶会なのに、胸と背中がぱっくり開いた赤いイブニングドレスに黒手袋?

★世間知らずなアイネは、フィンの想像の斜め上を行くのでした。

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