ホテルと先生の恋
先生の恋…いいですねぇ
見つけたホテルに入り、フロントに向かう。
「すいません、一番いい部屋一つ空いてません?」
僕一人だったら、別に良い部屋じゃなくてもいい…というかホテル泊まらずに瞬間移動で借りた部屋に戻るんだけど、今はユノがいる。借りた部屋もいいけど、どうせならここで泊まっていった方が思い出になっていいだろう。そして泊まるなら最高の部屋で無くてはいけない。ユノが泊まるのだから。
「えー、スイートルームが空いておりますが…」
「おっ、じゃあそこで」
「かしこまりました」
その後、部屋の鍵を預かり、ユノと一緒に部屋に向かおうとしたのだが、
「あっ!あの時の!」
「え?あっホントだ!」
oh......なんでいるんだ同級生’sよ…
「えっと君達は不良に絡まれていた子達だね」
「はい!」
うわぁ…何故そんなに目を輝かせる?おっさんには眩しすぎ…ああこいつらと同い年だったな。
「ホントにさっきはありがとうございました!」
斉がそう言ってくる。
「気にするな。礼はさっきも聞いたしな」
はぁ、こいつらが泊まるとこを調べとくべきだった。まさかあの高校がこんないいホテルに泊まってるなんて…あの高校意外と金あったんだな。学校の施設設備クソだった癖に…エアコンとストーブ付けろよ。今言っても遅いがな。
「いやけどーー「君達!何してるの!」」
斉の言葉を遮り、女性の声がする。声の方を見ると、一人の女性がこちらに向かってきていた。
あっ、伏見先生だ。
伏見佑美。前世でのクラス担任、つまり斉達の担任で、体育教師。背も高く、顔も綺麗で、正義感が強く常に生徒の事を考えて行動してくれる。それ故に生徒や他の教師からの信頼が厚い。僕もお気に入りだった、というか惚れかけた人だ。あっちの世界なら勇者と魔王として相見えそうな人だがな。
「せ、先生、すいません。知り合いがいたものですから…」
前世ならともかく俺、今の姿で知り合いって程話してないよね?
「全く、集合場所に来ないから心配したんですよ!」
心配性は相変わらずか。
「す、すいません」
「ごめんなさい」
「すんません」
「すみませんでした」
全員で伏見先生に謝る。丁度いい、俺は離脱させて頂こう。
「では、先生も来たようですし、私は失礼させていただきます」
「えっ?ああ、どうも」
「あっ!ありがとうございました!」
「だからホントに大丈夫だって」
僕は苦笑いしつつそう答え、ユノと一緒に部屋へと向かった。
「うわぁぁ!!まおうさま!うみがみえます!」
「だなぁ〜…」
和やかだ。はしゃぐユノを見てると心が癒される。
「まおうさま、なんでにやにやしてるんですか?」
「っ!き、気にするな!」
にやけ顔を指摘され、そっぽ向いてしまう。顔が熱く感じる。恥ずいわぁ…
「はぁ…」
その後暫く部屋で寛いでから食事に向かう事にする。
「どこいくのですか?」
「んー、何処がいっか?ここのレストランとかでもいいけど…折角だし、外ブラブラして見つけよっか」
「はい!」
外に出る為にエレベーターに乗ってると、途中で伏見先生が入ってきた。
「あ、先程はどうも」
「あぁ!どうも、あっそうだ。あの4人にに聞きました。絡まれてる所を助けて下さったそうで、ありがとうございます!」
全力お辞儀をしてくる先生。
「い、いえ!構いませんよ!大した事無かったですし」
これはホントに。ホントに大した事ない雑魚だった。まあ一般人と魔王だしな。
「本当でしたら私の役目でしたのに…一般人の貴方に迷惑をかけてしまいました。その事は謝らなくては…」
一般人…ではない、とは口が裂けても言えない。
「本当に構いません。それにいくら先生でも生徒全員を把握するのは無理があります。今回の件は先生が責任を感じる必要は無いですよ。そう言えば名前言ってませんでしたね、僕は鮎川慎也といいます」
容姿違うから同姓同名でも問題ないだろって事でこの名前を言った。戸籍もそれで登録してある。先生から視線を感じる。
「あ、あの?どうかされましたか?」
「い、いえ!あの…ある生徒に雰囲気が似てるなと…名前もその…」
「生徒、ですか?」
「はい、教え子…元教え子ですね。実はその生徒つい最近無くなってしまって…」
「あの、もしやその生徒は鮎川慎也君ですか?」
「な、何故その名前を!?」
やはりか。僕の名前にも反応してたし、ってか名前って言ってたし。さて、誤魔化しタイムだ。
「えっ、あ、その…実はあの4人が絡まれる前、ソーキそばの店で彼らの近くの席にいたのですが、彼らが食事の最中鮎川慎也という名が聞こえてきまして、同姓同名なので気になって話を聞いていたら、話の内容からお亡くなりになられた感じでしたので、もしやと思いまして…」
こんな感じで誤魔化せたかな?
「そ、そうでしたか…」
よし、良かった。
「いつも優しくて、恥ずかしがり屋で、頭も良くて…すごくいい生徒でした」
死に方はすごい残念だったけどな。それに今はすごい悪い存在になってしまったよ。
「ここだけの話ですよ?じ、実は…私好き、だったんです…」
は?…………今なんて?すき?スキ?好き…………好きィィィィィィ!!!!?????
「え?!はっ!いやその!生徒…ですよね?」
「は、はい…けど、好きになってしまったんです…どうしようもなく」
先生が少し寂しげな、そして恥ずかしげな笑みでそう言った。
嘘…だろ?わ、【世界図書館】!
伏見佑美 28歳
樫峰東高校教員。体育担当。二年三組担任。
常に生徒のことを第一に考えたおり、生徒達にも慕われている。先生の中にはあまりよく思ってない人もいるものの、殆どの先生が信頼している。先生ランク:S
酒は弱いが、どんなに酔っても酔ってた間の記憶は忘れない。なお独身であり、現在は故鮎川慎也を亡くなった今でも慕い続けている。
先生ランクってなんだよ。酒情報どうでもいいだろ!っていやそんな事より!ホントに僕を!?これは…どうすればいいのか…
あれこれ考えてる内にエレベーターか一階に着いた。
「ん?何だあれは?」
「なんだろー?」
先生とユノの言葉で思考を止め、視線の先を見る。そこには銃を持った四人組がフロアで暴れていた。
書いてる時高校の時に好きだった先生思い出したわ。