表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SPACIA X ROAD  作者: Kanra
プロローグ
1/4

出発進行

「お疲れっしたー。」


 と、ルナは言いながら、朝のバイトを終える。

 朝の新聞配達を終えたルナは、地下鉄で浅草駅に向かう。


 両親無し。

 友達無し。

 趣味は小旅行。

 学校の成績は中の上。

 両親の居ないルナは、給付型奨学金とバイトで生活費と学費を捻出していた。


 今日は久しぶりに、趣味の小旅行に出かける。

 バイトと学校と自宅の往復で、どうにか生きているルナは、趣味の小旅行が唯一の息抜きだ。

 地下鉄を降り、地下から地上へ上がる。

 吾妻橋からチラリと空を見ると、天高く、東京スカイツリーが聳えていた。


 貧乏旅ではあるが、それでも今日は特急列車に乗る。

 浅草から、新鋭の特急「スペーシアX」に乗った後、一気に時代を遡り、蒸気機関車が牽引するSL「大樹ふたら72号」に乗車するのだ。


 浅草10時ちょうど発の特急「スペーシアX 5号」に乗車して、終点の東武日光駅まで行く。

 どこから蒸気機関車の列車に乗り換えるかと考えたが、何本ものSLに乗るだけの金を捻出出来ず、東武日光から下今市まで行き、下今市でスイッチバックをして鬼怒川温泉へ向かうSL「大樹ふたら72号」に乗車することにした。最初はDLが牽引し、下今市駅でのスイッチバックの後の後半はSLが牽引する形のSL「大樹ふたら72号」は、一本の列車でディーゼル機関車と蒸気機関車が牽引する列車に乗れるのだ。


 今回の旅行は日帰りで、日光名物の湯葉を食べる時間と鬼怒川温泉に短時間ながら浸かる時間は一応確保したのだが、かなり駆け足で、帰りは鬼怒川温泉から16時40分発の特急「スペーシアX10号」に乗って浅草まで帰ってしまうため、SL大樹の拠点である下今市機関区やSL展示館を見る時間は確保できなかった。それでも良かった。


 今回はディーゼル機関車と蒸気機関車が牽引する列車に乗ることがメインだからだ。

 浅草駅でお茶と朝食代わりの菓子パンを買って、特急「スペーシアX 5号」に乗車する。

 スタンダードシートに腰を下ろして少ししたら、特急「スペーシアX 5号」は東武日光駅を目指して浅草駅を出発した。

 すぐに、吾妻橋を右手に隅田川を渡る。


 今日は2025年9月11日。

 平日だが、学校は振替休日で休み。

 そのため、平日のSLに乗る事が出来るのだ。

 世間一般では、今日はアメリカ同時多発テロが起きた日でもあり、少々気が重いが。

 

 窓の外の隅田川には、屋形船が浮かんでいる。

 そして、スカイツリーを横目に東京を離れ、埼玉県を走る。

 南栗橋の車両基地を過ぎる頃、ルナは菓子パンを啄んで、お茶を飲んだ。

 スペーシアXのコックピットラウンジも利用してみたいのだが、今日はパスでまた次回だ。

 その代わり、帰りの列車はプレミアムシートで、スタンダードシートよりもワンランク上の座席を確保してある。


 プレミアムシートとコックピットラウンジの料金差は大差無いのだが、今回はケチったのでは無く満席だったので、プレミアムシートにしたのだ。


 お茶を飲みながら、北関東の雰囲気が近付いて来たのを感じていると不意に眠気に襲われた。

 普段なら列車旅で眠気に襲われる事は無いのだが、このところ、バイトと学校と自宅の往復でいつも眠く、食事も不摂生な食事ばかりであったからだろうか。

 遂に耐え切れず、ルナは眠ってしまった。

 ちょうど列車は利根川を渡ったところであった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ