表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デレ婚!!~男女8人婚活ストーリー~  作者: 猫本猫美
婚活・出会い編
9/35

8話 フリータイム①


 恐ろしく長いデスゲームが終わった――。

 七瀬は席を立つとすぐにトイレに駆け込んだ。


 《:アオバ:なっちゃん、今日は何時にお帰りですか?早くなっちゃんの声、聞きたいなぁ》


 青波からのメールを見て、七瀬はグロッキーな胸を撫で下ろすと返信する。


 《:ナナセ:後2時間くらいで家に着くかな。僕も早く青波に会いたい。喋りたい。今夜はいっぱい聞いて欲しい事がある!》


 すると、すぐに返信が来る。


 《:えへへ、うれしいな。聞かせて、なっちゃんの事、いーっぱい》


 七瀬はそれに少しホッとして微笑むと、ポケットからさっき貰った二枚の名刺を出して見た。1人は星宮夜風(ほしみやよか)もう1人は東雲詩穂埜(しののめしほの)。どちらも、一生に一度会話できるかどうかという様な美人だった。特に東雲詩穂埜、彼女の美貌は凄い。


 「ありえないよな……」


 七瀬はボソリと呟くと、今にも浮上してきそうな邪な思いを振り払うように頭を振り、トイレを出た。



***



 「おい七瀬、お前一体何言ったんだよ。水ぶっ掛けられるなんて…他にも結構怒ってる女いたろ、もう俺気が気じゃなかったよ」


 南沢がまたカクテルを七瀬に渡しながら顔を歪ませて言った。


 「お前が無理矢理連れてきたせいだ。みんなお前が悪い」

 「……まぁ、それも一理ある。だがな、大体はお前のその捻くれた歪んだ性格のせいなんだぞ! ……それにしても、14番……、見たか?」

 「ああ、東雲詩穂埜だろ」

 「やばいな、あれはやばいレベルだ。俺本気になっちゃうかもしんない」

 「お前みたいなのに引っかかったら東雲詩穂埜も可哀想だ」

 「そう言うなよ。他にもいたけどな、ハイレベルな子」

 「………」


 その時、またもやマイクを持った司会の男性が陽気に喋り始める。


 「さあこれからフリータイム、フリータイムに入ります。50分間のハッピータイム、どうぞご自由に飲んで喋って充分にご堪能下さいねーっ!」


 だからデスタイムだっての。

 そういえばあの桜庭まどか、あの子来るって言ってたけど……まあ、社交辞令だよなと思いながら、カウンターの横でジンフィズを飲んでいると、南沢が興奮したように小声で話しかけてきた。


 「おい。まじかよ。あの子、こっちに近づいてくるぜ。まさか、俺の所に来るのか!?おい七瀬、俺の顔になんかついてないよな?!」

 「ついてねーよ」


 例え鼻くそがついててもそう言っただろう。


 「きたきたきた……」


 南沢はそう言って、服を正した。


 「先ほどは、どうも……」

 「あぁどうも、来てくれてうれし…」

 「愛葉さん」

 「……はっ? 愛葉???」

 「え……僕?」

 「さっき、名詞渡したじゃないですか」

 「おい七瀬、お前名詞なんて貰ってたのか!?」

 「みんなに配ってたんじゃないの?」

 「まさか、そんなことしませんよ、私」


 南沢はあんぐりと口を開けたまま硬直し、詩穂埜と七瀬を交互に見た。

 いや、まさか、何かの間違いだ、と南沢は思い直す。ポジティブに考えよう。七瀬をダシ(・・)にして俺に会いに来たに違いない、と。

 

 するとすぐに、


 「愛葉さん!」

 「愛葉、よぉ」

 「愛葉ちゃん!約束どおり、おじゃまするね!」


 何故か雪平伊吹も、星宮夜風、桜庭まどかまでもがやってきた。

 南沢はあまりの衝撃に強い眩暈を感じ後ろに倒れそうになったが、こめかみを押さえカウンターに掴まりなんとか堪える。

 嘘だろーー!? なんで七瀬に本日のメインディっシュが4人も!! 俺は夢でもみているのかもしれない、と思ってから、また、いやいややっぱ俺狙いだ、きっと、と心を奮い立たせた。

 驚いていたのは南沢だけではない。

 もちろん七瀬も驚いていた。


 「本当に来ると思わなかったよ。雪平さんまで、どうしたの?」

 「どうしたのって……お話ししに来たんですけど」

 「おー愛葉ちゃん、モテモテだねー」


 話? 僕とかぁ?


 七瀬は何かの罠に違いない、と強く思った。

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ