33話 別荘、プールにて①
「キャーッ!!」
誰もいない室内プールに、まどかの叫び声が反響した。
「どうした!!??」
それを聞いたみんなが慌てて更衣室からぞろぞろ出てくる。
「まどかちゃん!どうしたの!?」
伊吹が心配そうにまどかに声をかけると、
「すっごーい!見て見て、まるでリゾートだよーっ!ガラスの向うはジャングルみたいになってるし、天井はプラネタリウムみたいに満天の星空だし、ライトアップされててすっごい綺麗だし、すーっごい広いよ、このプール!!ほらほらちゃんと横になってぇ、トロピカルジュースとか飲めるようになってるっ」
まどかは興奮しながらそう言って走り出し、ビーチベットへ横になった。
「なんだ……びっくりした。本当に殺人事件でも起きたのかと思ったよ」
夜風がそう言って、胸を撫で下ろすように小さな溜息をつく。
「ほんと、びっくりしましたね。でも……本当に素敵ですね、こんな高級感あふれるプールで泳ぐなんて、初めてです」
伊吹がそう言うと、
「そ、そうかなぁ?別に大したことないよぉ?こんな別荘俺、世界中に持ってるから」
孔雅が得意げに言ったが、
「それは、孔雅さんのお父さんが持ってるんですよね」
と返され、すぐにしゅん、とした。
「それにしても、みんなかぁわいいねぇっ!」
そんな時に南沢が大きな声でそう言い、次にこう付け足した。
「俺には天国だなぁ。美女、イケメン、ビキニ、筋肉。あ、お前だけはぽってりお腹だけどな、七瀬。でもわりと筋肉質ではあるんだけど」
「そんなフォローは余計なお世話だ」
そんな南沢はピチピチの、フロントとバックに舌の絵が描かれたビキニパンツ
を履いている。七瀬は密かにそのパンツを見ながら、気持ちを落ち着かせていた。何故ならば、
「おーい七瀬っちー!一緒に泳ごうよ~早くおいでーっ」
遠くから呼ぶまどかは、フラワーチュールがついたショルダーに短いツインテール姿。腰元のフラワーも可愛い。それに、着やせするタイプだったのか、彼女は巨乳だった。白く大きな胸が存在感をアピールしている。
「ほんと、南沢さんの…可愛いですね、ふふふ」
南沢のパンツを見て少し照れ笑いしている伊吹は、水色のオフショルダービキニ、胸元は編みこみになっていてガーリーテイストだ。しかしその編みこみからうっすら見える谷間と、フリルレースがついたショーツがセクシーでもある。
「七瀬、一緒にまどかの所に行こう」
「よ……夜風さん、僕も一緒に行っていいでしょうか」
「……別に。好きにすれば」
いつの間にか『七瀬』と呼び捨てにしている夜風は、ホワイトの無地でビキニのフロント部分が胸の下でクロスされ、シャープなそのデザインがそのナイスバディーを更に強調している。高く結ったポニーテールが動くたびに揺れ、白いうなじが色っぽい。
歩き出す夜風の後を、若狭がつられるようについていった。
「じゃあ行きましょうか」
そう言って微笑んだ詩穂埜はといえば、胸元とお尻の部分にリボンのついた、薄いピンクに白の水玉模様の紐ビキニだ。
その姿に、七瀬は一番ドキドキしていた。
何故ならば、この姿もあの恋愛ゲームのヒロイン「「日下部美琴」」とのデートイベント「「プールデート」」で、あの子の着ていた水着と同じものだったからだ。それを知っているのは勿論、この中で、七瀬しかいない。
「飛び込み台まであるよーすっごーいっ!」
実は巨乳だったまどかがはしゃいで飛び跳ねるたび、その大きな胸がぷるんぷるん揺れ、
「やば……」
若狭と斎条はそう呟き、目と気を逸らすのに必死な様子だ。
「よーし!俺、飛び込むぜっ!伊吹ちゃん、見てて」
孔雅はきっと、その熱っぽい頭を冷ましたいのだろう。張り切って飛び込み台に走っていった。
「大丈夫でしょうか、斎条さん」
「ああやって張り切ってる奴に限って怪我したりするからな」
伊吹が心配そうに階段を登る孔雅を遠目に見ていると、夜風が冗談めかしてそう言った。
「しかし……斎条くんも若狭くんも、元刑事と体育教師なだけあって筋肉凄いねぇ。逆さん、むきむき……」
南沢はそう呟き、半ばうっとりしたような目で見つめている。
南沢は7:3で男だからな……と七瀬は思った。
「きゃ、斎条さんもうあんな高いところに」
まどかがそう言って指をさすと、斎条は手を振ってから飛び、くるりと回る技まで見せて、
バシャン!!
飛び込み、大きな水しぶきが舞う。
「キャーッ斎条さんすっごぉーい」
まどかが興奮して騒いでいると、夜風がプールの中にざぶんと飛び込み、ぷはぁっと顔を出して、「気持ちいいぞっ」と言って笑顔になった。
それにつられて、まどかも伊吹も若狭も南沢も飛び込む。
「入りましょ、七瀬さん」
残った詩穂埜は七瀬にそう言うと、
「……あ……」
その細い指を絡めてきた。
少し冷たいその指先に、七瀬はドキリとする。
「行きますよ、せーのっ」
手を繋いだまま、七瀬と詩穂埜はプールの中に飛び込んだ。




