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ある日の午後  作者: ラゼル
Chapter 4
49/72

巻きでお願いします

書きたいシーンへの下準備。

「今日は宴本番で忙しいからな。とっとと終わらせるぞ」

 と巻きでお願いします、と言われた司会者のように気合十分なセシル様。

あ、なんか仲良くなれそうだ。


「でも、大体の準備は終わりましたよね? あとは殿下の出番の時までに身支度をきっちり整えて、宴の最中の行動の最終確認、覚えてなさそうな重要人物を最後に確認、ってとこですか?」


ふむ、やはりお偉いさん達はお互いに相手の情報をきっちり把握することが必要なようだ。

 そうすることで相手の出方を予想したり、対応も変わってくるのだろうなぁ。大変ですね。


 相手方はセシル様とすぐわかるだろうけど。なんせ王子様だ。あ、でも他国の王子様とか居たりしたら少し面倒かも、第42王子とか居る様な国とかって本当にあるんだろうか。……嫌な国だな。


「何人かなら私が覚えて助けられるかもですね。あなた達以外には見えないわけですし、」

 とここでは見えないことを考え思いついたことが口にポロっと出る。


「あー。でもどうすんだコイツ。宴の最中ここに転がしとくのか?」

 まぁ、構いませんけど。なんか皆は宴に仕事とはいえ出ているのに一人でこの広い部屋でぼっちとか軽く落ち込みそうですね。

「うーん、芽衣どうしたい…?」

 と言われましてもどこまでが許容範囲なんですか、と口を噤んでいると。


「それよりもここでは”認識されない”を一応実験したいんだが」

「あぁ、そうですね。それが証明できれば少なくともただの不法侵入ではないとわかりますし。私もお願いしたいです。けど誰を使うんですか?」

「んー、今のところあなたカイトの知り合い兼侵入者なんですけどね」

「そしたら今度はどんな肩書きになるんでしょう」


「そうだな、とりあえずメイドを呼んでこいつを部屋の真ん中に置いておいて反応見るか?」

 と部屋に備え付けられているレトロな感じの装置を使って軽く音を鳴らした。糸電話の金属版というところだろうか。


―そして待つ事1分。


「おまたせしました。何の御用でしょうか?」

 と頭をきっちりと結い上げた女性が現れて彼らの前でたたずむ。しかし部屋の真ん中にソファから下ろされた私には反応を示していないようだ。これに対して軽くセシル様が目を軽く見開く。


「……すまんが、えーっと、ああ、そうだ。ここにあるゴミを処理してくれないか。そろそろ端っこに寄せておくのも見苦しいからな。悪いが頼む」

「……? はい、わかりました」

 とテキパキ動く彼女。あ、そうだ。

「カイトー。ちょっとこっちー」

「おう、了解」

 とカイトを両手をぶんぶんと振りながら呼んで、そして服の裾をキュッと掴んで引き寄せる。で、だ。

「王子様ー。カイトさん見かけませんでした? 的なこと彼女に聞いてみてくださいな」

と指示すると。コクリと頷く。こちらの意図を汲んでくれたようだ。


「そういえば、ウチの近衛のカイト見かけなかったか?」

「いえ、というか先ほど見かけた気がするのですが、…気のせいでしょうか。申し訳ありませんが存じません」と軽く部屋を見渡す彼女。そりゃそうだ。さっきまでカイトはそこにいたのだから。そして今は私の隣にいるわけだが。


「あぁ、わかった。ありがとう」

「いえ、大丈夫です。では失礼します」

 とドアを開けて廊下を歩いて行く音が小さくなり、部屋には沈黙が訪れる。


「……カイト、」

「はい?」

「お前部屋にいたよな」

「えぇ、間違いなく居ましたね」

「芽衣嬢もここにいたよな」

「はい、間違いなくここに捨て置かれてましたね」

「そういや、さっきの指示にも反応しなかったな。声もなのか」

「さぁ、前回は”本が浮いてるー! ギャー!!”と言われて終了だったので。今の様子を見る限りそうみたいですね」

「……。」


「……マジか」

 セシル様は少し考えたいようだ。社長椅子のようなところに背を預け天を仰ぎ見ている。


「……。すごいですー! 本当に異世界人なんですね!」

 とヒューイさんがぐっと詰め寄る。怖い、怖い。というか近い!


「はい、むやみやたらと近寄るもんじゃねぇぞ」

「えー、せっかくの機会じゃないです……ぐえっ」

すると、グッと彼の首の付け根を掴みカイトが彼から引き離してくれる。


 ホッとしていると、ユリウスさんが視界に入るが、彼は無反応、無表情だ。彼は何を考えているのだろうか。まぁ、証明されて何よりかな、とりあえず。


「………。」

「ねー、カイト」

「んー、なんだ?」

「そこでクルっとターンしてみて?」

「…なんで」

「見たいから」

「なぜ」

「宴用衣装を堪能したいから」

「………。とりあえず、ソファに戻ろうな。ほら、手貸せ」

「ラジャー」

 と困った顔されて、お願いはやんわり却下される。肩の上に私の胸が置かれ抱えられて、ソファーの上に戻される。まぁ、床はヒンヤリと冷たくて少し辛かったから助かるんだけどね。


――というか色々今日は忙しいんじゃなかったっけ、いいのか…?



 

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