泡沫の命題
一気に書き上げたので後で少し直すかもしれません。
カイトさん説明回でこざいます。
「異世界……。つまりこことは違う国だというだけではなく世界そのものが違う、と」
ヒューイとユリウスは唖然としていたが、セシル様が言う。
「えぇ、そういうことになります。周りの人の様子、服装そして、建物から文化圏が異なることが分かっていたこと。それと何度も瞬間的に別の場所に移動しているのも確信に至る材料になりましたね」
「それはお前だけが確信できる材料だろう……他に証拠は?」
そうきたか。うーん、証拠、証拠。
「……。これといって特に。このお土産くらいですかね?」
と小さい取っ手付きの青い箱を目の前にズイっと差し出す。
「何だソレは?」
「えーっとですね。あちらで世話してくれた奴がいるんですけど、上司に菓子折り持ってけっていうんですよ」
「……。お前はいったい何やってんだ」
異世界に行ってまでってことですかね? ホント俺も不思議です。……というか。
「殿下、頭可笑しくなったとか、言わないんですか?」
「……、嘘ならもっとマシな嘘をつくだろうし、話していても特別妙な行動をとるわけではないし、とりあえずこれといった異常は妙な発言以外は見られない。それにお前が”異世界に行った”ということを俺が信じたとしても特にこれといった支障は今後特にないとは思う、今のところは、だが。
――頭が可笑しくなったかはユリウスに確かめてもらえ。俺は知らん」
「承りました。殿下」
おい、ユリウスお前ホントに俺の幼馴染か。
「それで、他に話はあるのか?」
「……そうですね。ありますけど、せっかくだし、これでお茶にしません?」
「お前、よくもこの流れでそんなこと言えるな」
「まぁまぁ、芽衣のお薦めなんできっと美味しいですよ」
そうそう、今のところハズレなしなんだよなー。
「誰だそれは……。 ユリウス、ヒューイ。すまんがお茶の用意頼む」
「わかりましたーぁ。殿下」
「了解です。殿下」
といつものお茶会の準備を2人がこなしてくれる。セシル様は椅子に座ったまま少し考え込んでいるようだ。無理もない、話をまともに聞いてもらえただけで御の字だ。
机に茶器が並び、そしてみんなの前で箱を机に下ろして空けてみせる。
「これ何ですかー?」
とうきうきしながらも箱を覗くヒューイ。お前一番気にしてないよね、異世界発言。
「“ぷりん”だそうですよー。 楽しみですね。それと料理長にも渡さなきゃいけないので一人一個ですからね」と皆に配っていく。あぁ、それと
「信用できないようなら、俺から毒見しますね」
あぁ、今思い至ったというようにユリウスが言う。
「あぁ。まぁ頭が可笑しくなったなら有り得るな」
「「――何故、料理長!?」」
まぁ、気持ちはわかる、が。ちょっと待ってくれ。
「それは後で説明します。そこから話すとややこしくなるんで」
「とりあえず、俺は三度“あちら”に行ったんですよ。
そして、あちらで半日程度過ごすと、こちらに戻るみたいです。経過時間はこちらでは約一刻」
「三度もか……」
「えぇ、一度目はご存知でしょう。あの我ながらかなり間抜けな格好してたときですね。
それと2度目は休暇中に行ってきました。そして三度目は今回の件です」
まだ三回、それとももう三回というべきなのか。
「あ、これおいしーですね♪」
「だろ、だろー♪」
美味いよなー。コレ。
「……オイ。仮面剥がれてんぞ」
おっとっと。つい、
「いえ、すいません。失礼致しました」
コホンと軽く咳払いしてまた話し始める
「では、続けます。ここまでは大丈夫ですか」
「まぁ、とりあえずは」
「あちらの国の名前とか細かい情報って聞きたいですか?」
「話を続けるのに支障がないのなら、なしでいい」
「了解です」
「あちらでは私は存在を認識されませんでした。誰に声をかけても無視をされるという感じで。
けれど一人例外が居た――それが、芽衣です。
それと不思議なことに言葉も差し支えなく伝わりました」
まぁ実は、樹さんもいるんだけどややこしくなるので以下略。
「ふぅん、菓子折りの御仁か」
とペロリとぷりんを平らげる殿下。
「えぇ、親切にも寝床と食事を与えてくださいました」
「それはそれは本当に親切な人だな」
芽衣曰く”きまぐれ”らしいんだけどな。
「あぁ、ジャケットと靴は1回目の時に芽衣の家に置いてきたんですよ。すぐこちらに帰れるとは全く考えていなかったので」
やっと説明できた。
「「へー」」
「ほう」
そして、ニヤリと笑って言う。
「それと彼女も”こちら”に一度来たようで私と同じく存在を認識されないこともわかりました。
この前七不思議の噂あったでしょう? あれ、ほとんど彼女の仕業です」
「「…………!? はぁ!?」」
「………!!?」
「それは、また話がえらい飛んだな」
「ちょっと待てつまり……」
「うぁー。わくわくしますねー」
「……………。」
皆がいろいろ言っているが彼らに少し考える時間を与えるために少し沈黙した。
「………あぁ、それで料理長」
正解だ、ユリウス。だからお詫びの品持っていかんと。
「もし、彼女がこちらに来たら保護したいのですが、推測ではありますが彼女は俺にしか、もしくは俺にすら認識できるかわからないので。彼女にはまた七不思議を発生させてもらってから帰ってもらうことになるかもしれませんね」
「「「…………。」」」
皆が微妙な顔をしている。なんだかデジャヴだ。あぁ、そういえば俺が芽衣からこのこと聞いたときも何ともいえない微妙な気分になったもんだ。今度はコイツらの番か。
あと、言って置かないといけないことは、と。
「なので、消えても一刻後には戻ってくると思うので、大騒ぎしないでくださいね」
ということくらいですかね。
フウと大きなため息をついて頬ずえをついて言う。
「………それまた、えらく簡単に纏めたもんだ。
とりあえずお前の言い分は分かった。言いたいことは多々あるが、どう対処していいもんか」
「ですね。というか信じたんですか?」
アレを…? 我が主ながらちょっと心配になります、俺。
「嘘なのか!?」
「いえ、本当ですけど」
――俺にとっては。
「だが、”信じない”といって話を終わらせても、あぁお前疲れてんだな、で終わるが。もしそれが本当だった場合対処法を考えていた方が後々困らないだろうと思ったんだ」
「それ、言外に”信じている”って言いません?」
とクスリと笑いが漏れる。
「うるせーやい」
……しかし、あんなにたくさんの事があったのに人に説明しようとするとこんなに少ないのか。
まぁ、他は個人的なものが多いしなぁ。
「しかし、俺達が仕事でヒイヒイいってる間に随分楽しんだようだな……?」
と凄みを効かせて俺に言い放つ。俺が居ない間に何があったんだろう。
というか、そんな理不尽な。仕事はやりますよ。眠いけどな!
「………。」
お菓子に手をつけながら先刻の出来事が頭に浮かんでくる。
――トゥーレ、厄介なヤツに見られたもんだ。
というかこちらに現れた瞬間を見られたかは、まだわからないが。なんかなぁ……。
――嫌な予感はじわりと頭を占めていく。




