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ある日の午後  作者: ラゼル
Chapter 3
37/72

一難去ってまた一難

少し間が空きました。学校が始まるとやっぱり書ける時間が減りますね。


あー書きたい書きたいと思っても家につくころには脳も疲れきっていて筆が進まない…。

最近は早朝にちょびちょび書き進めてます。夜はもう学校に行っている間は進みそうに無いですねー。

 とりあえず危機が去ったと安心したのも束の間、私はなぜかカイトに詰め寄られて? いたりします。

 ――なんでこうなったんだろう…。


 それでは順を追って説明したいと思います。

 樹さんが去ってその後直ぐの事。

「とりあえず、何とかなったんですかね…?」

 あれ? カイト返事がないなぁ、何か(まず)い事でも起こった?

彼の腕の中でくるりと顔だけカイトの方を向けてみるが相変わらず見目麗しい顔がそこにあるだけだ。


「あぁ、そうだな」

 ……なんだろう声に怒りがそこはかとなく含まれている気がする、

 いや気のせいだと思いたい。


「何か怒ってますよね? カイトさん」

「いや、まぁ…そうかもな」

 いえー。怒ってますよねー、絶対。空気が心なしかピリピリしている……。


「えーっと、移動しませんか?」

 ここはお店の中だし。どうしてカイトが樹さんから見えたのかとか、色々他にも話さないといけないことがお互いにあるだろうし……。

「あぁ、わかった」

 言葉数少ないのが逆に怖いです。カイトさん。


 カラオケ屋さんでいいか。割引券あるし、防音効果もバッチリだろうし。

 珈琲ショップにしようかとも思ったんだけれどなんだかカイトさんお怒りですし…。

 それに樹さんにカイトの存在を認識された今は、他の人がいないところで話がしたい。

 とりあえず無言でついてくるのにまかせて手だけ繋いで誘導する。


 うう…。何か、なんだか…なぁ。


 駅から10分ほど歩いて近畿圏でのチェーン店のカラオケ屋さんへ…

カイトはやはり認識されていないようなので、今回は大人一人と言っておいた。

「後から1人来ます」って言う手もあるけれど、そのあと誰も来なかったら店員さんも不思議に思うだろうと思ったから今回はこうしたのだ。まぁ不思議に思ってもわざわざ部屋に訪ねてくることはないだろうけど。


「えーっと、とりあえず飲み物も用意しましたし…」

 とソファーに2人して座る。ここ、セルフでドリンク飲み放題なんですよ。内線で注文すれば持ってきてもらうことも出来ますけどね。あ、何か歌いますか? 一応フリータイムですし。ちなみにソファーは安い感じの赤いビニールのカバーのもので、部屋の照明カラオケ屋さんなので少しは薄暗い。壁はピンクとベージュの縦じま模様、微妙にメルヘンだ…。


 前入った歌うたびに緑のレーザーライトが部屋を行き交うという強烈な部屋よりはだいぶマシだ。あれはものすごく落ち着かなかった。



「じゃあ、まずは…ここに至った経緯を。

 カイトの方からお願いしてもいいですか?」


 何でバイト先の近くにいたのか、についてはもういつも通りなんだろうけど。

 難波駅での出現はもうわかっている分だけでも3回だ。多いなぁ…。


「あぁ、執務室での仕事中に急にこっちに来た。それで見覚えのある場所だったから見覚えのある場所から順番に回っていったんだ。それと一応お前の家の場所もたぶん覚えてはいるからそこも候補に入ってはいたんだが…。まぁその前にお前が店にいたのを見つけたという訳だ」


 これからは家にカイトが現れることも頭の片隅にでも置いておけということか。まぁこちらでは私しか話せる相手はいない、はずだったからな。しかし、


「仕事中か…。」

「あぁ、仕事中だ」


 うーん。これはマズイですよね。不可抗力とは言え仕事放棄だよね…。上司さんも前少し訝しんでいたらしいし、前は“後で説明する”と言って置いただけだったかな。


 ……というか、怒っている気がするのに対応がものすごく普通だ。まぁこちらからは決してカイトを刺激するまい。まぁ上手くいく気がしないんだけど…。

 

 あぁ、それと…

「彼らの目の前で?」

「あいつらの前で、だ」

 ――彼らにはどう見えていたんだろう、カイトがその身を消すその様は。


「あちゃー。」

「あぁ、うわちゃー、だ」

 うわちゃーって…。大の大人が何言ってんですか。


「「…………。」」


「どうすんですか。戻ったら色々聞かれるんじゃあ…」


「聞かれても答えられることがあまりない。それよりも芽衣は、俺が樹さんとやらに会うまでに何をしていた?」

 とこちらのここまでの経緯を訪ねてくる、カイトもカイトで思うこともあるんだろうな。

 私は、樹さんと…か。まぁ、その中に何か手がかりがある可能性もあるかもしれない…。


「えーっと、いつも通りにバイトを済ませて、樹さんと掃除当番だったのでその時に世間話を少々」


 かな…。店長に前見つからなかったし、バイトは関係なさそうだけど…。

 それか樹さん個人に問題、カイトを認識できる素養があるのか。また樹さんとはカイトを交えて話す機会を作りざるを得ないのだろうか。あれは心臓に悪い、予想以上に。人の目があると、それにそれが知人の目だったら…。


「世間話…。何についてだ? あぁ、それと何で俺が恋人と思い込まれてたんだ?」

 あぁ…。それは私のせいです、うっかりです。口は災いの元だわ…。


「私がカイトがいなくなって少し気落ちしていた時に、樹さんは恋愛ごとが原因だろうと思われたようで…、それで今日彼とはどうなったと言われてつい“無事に会えた”って言っちゃって彼の仲でカイト=恋人という図式が組み込まれたようです」

 ははは、そのせいであんな恥ずかしい目に遭うなんて…一寸先は闇です。


「あぁ、そうなのか」

 とカイト納得。うん、そうなんです。もう何を言っても彼は無駄そうだったので恋人の振りをするのが手っ取り早いかな、と。あの場は早く切り抜けたかったですし、長く話すだけぼろが出そうだし。

 それに私に恋人がいると思われてもこれと言って特に困ることは思いつかなかったですし。


「それと世間話は?」

 あぁ、すいません。つい恋人の件のほうがインパクト強くて…。


「えーっと大学での近況報告、樹さんはもう就職が決まっているので懐かしいみたいで…。

大学が始まったばかりなので少し慌しいことくらいしか話してません。

それと…」


「それと?」

 とカイトが先を促す。


「彼=カイトになったあの件の後にカイトとのなれそめとやらを訊ねられまして…」

「なれそめ…」

 カイトがそれまた不可解なことに…と言いたげな顔をする。あぁ、私も同感だ。


「カイトという名前、それと駅であって困っているところを色々世話を焼いたこと。細かいことはカイト個人に関わる問題なので、あなたの許可がないとお答えできないといい訳たのでかなりぼやかしましたね」

 そう、その程度しか話していない。カイトと知り合う切欠とカイトの名前、だ。


「それだけか」


「えぇ、それだけです」

 今度これは誰かに試してみるか? カイトの馴れ初めか名前どちらかを教えてカイトが認識されるかどうか、それで認識されたらそれが原因、そうでなかったら樹さんが特別。それか他に何か条件があるか。でもその人の選別もしなければならない。赤の他人か信用の置ける誰か。


「また、樹さんと話す機会も作らざるを得ないかもな」


 カイトもそう思いますか…。まぁ先のことはわかりませんね。上司に報告できることもあまりなさそうですね。とりあえず経験したことをそのまま話すくらいしか…。他の人からの視点だとわかることもあるかもしれませんし、その判断はカイトに任せます。私はまたあちらにいくかどうかわかりませんし…。


 ん? あちらにいく…。


「カイトさん、カイトさん」

と手をこまねいて聞いて、聞いてと合図をする。

へいへい、ちょっと聞いてぇな兄さんや。


「何だ? なぜにさん付け」

 と急に動き出した私に反応してこちらに身を傾けてきつつも、律儀に突っ込みを入れる。

 うん、カイトのそういうとこ好きですよ。

 それと、心の中では“さん”付け結構してるんですけどね、口に出すこと少ないけど。


「私、一度カイトの世界っぽいところに行ったようなんですけど…」


「………。」


 カイトさん硬直。まぁ唐突だし荒唐無稽…。

 無理もないかな。私だって今でもちょっぴり信じたくないけど食料随時持参だし、ピッキングの練習もしているし、それにベッドの上には拝借した果実も転がっていたし、たぶんだけど間違いない。


 ――あれは“夢”じゃない。


「――っ!」

 カイト覚醒…。そしてこちらに目を向けて両手をこちらに伸ばす。


「――へ?」

 何だ、何だ…? ガシッと胸元を掴まれ、苦しいと感じたかと思うと、


「ちょっ…どういうことだぁ! 最初からきっちり説明しろォーー!」

 と首根っこを掴んでぶんぶんと私の体を揺さぶる。うをーいぃ頭を揺するな。けっこうキツイ…。

落ち着いてくれとも言えずカイトの気が済むまでゆすぶられ続けた…。


「頭いたい…」

 うー…。しんどいぃー。まだ少しくらくらする。しかし、もう少し私の身体を気遣ってくれ。

 私はカイトに抵抗できるだけの力は存在していないんだから。まぁ、動揺する気持ちはわからなくもないけどね。


「すまん」

と降って沸いた問題に動揺したことをすまなそうに詫びる。


「ごめん、もう少し話すのは回復するまで…」

待っててください、頼むから。


「了解だ」


ソファーでうつぶせに倒れる私。しかし今日パンツでよかったよ。スカートじゃこうぶっ倒れることも気を回さなきゃならないしなー。


…っと


「胸枕…」

膝枕の次は胸枕ですか…。まぁカイトの傍にいるのは落ち着きますけどね、人目もないですし。

ポスリと頭を彼の胸にあてて、体重をかける。お互いに沈黙が続き、そのうち暖かくてだんだんと眠くなる。頭がだんだんぼんやりとしてくる…。話さなきゃいけないから起きてないと…。大事な話がいっぱいあるのに、まず、い。


なんとか睡眠に入る態勢に陥りつつある体を叱咤して、

「か、いと」


「んー?、眠そうだな」

うう…。髪を梳くな。余計に眠くなる、もう… 

さらり、さらりと髪が揺れる。愛おしげに一筋一筋丁寧に、さらに体が熱くなる。

そろそろ離してくれないと多分このまま寝そうだ。だから、ねぇ。


「あぁ、悪いけど離してくれ暖かくて眠い…」

話さなきゃならんことがまだあるだろう。


「無防備だな」

急にカイトからヒヤリとした空気が流れる。それを瞬時に読み取ってしまった私は、さぁっと背筋が冷えて目が急激に覚める。

これは話すには脳が活性化していいかもしれないが心臓に悪いぞ!


――というか地雷ふんだ!? でもこの体勢にしたのはカイトだぞ? なんか理不尽だぁー!


「えと、そうかもしれません?」

そうなのかな? そんなに無防備? …でも変質者系統の方は察知することが年々できるようになってきていて避けられていると思うし。そんなに隙だらけではないと思うんですが…。


「まぁ、俺にはいい。俺は」

はぁ、そうなんですか。で?


「お前気をある程度許したら無防備すぎやしないか?」

だって信頼してたら、気がつい抜けてしまうのはけっこう人として普通ではないでしょうか。

なんだか話の流れがイマイチ掴みきれていないような気がするんですけど…。


「無防備…」

ですか。


「あぁ」

あぁ…って。うーん、と首を傾げそうになるけれどそれはマズイような気がしたので途中で

動きを止める。でもその私の気持ちは空気を通して伝わったようで…


「わかってないな…」

 とアホの子を見るような目で私を見詰めてくる…。呆れてるな。そんなにマズイのか?

だったら改善しないと今後困ったことが起きてしまうだろう。だったら教えてもらう方がいいのかなぁ。


「あの、カイト…」

 どこが悪いのか教え、


――ぐいっと肩を押されて


 パタリとソファーに押し倒される。セミロングの髪がふわりとソファーに広がり、昨日使ったジャスミンのシャンプーの香りがフワリと鼻につく。そして首に柔らかいものが押し付けられる。くすぐったいと思っていると、ペロリと首筋をなめられる。生暖かいゾワリとした感触。


「ひゃあっ」

 と声がつい出てしまう。そしてそのまま彼の手がそろりと腰に回ってい  く…。あ、ちょっ!

 コレは流石に無理です!とカイトを突き飛ばそうとするが、ガシッと腕をつかまれてそしてまたカイトの顔が私の目の前に近づいて目の前が暗くなる。ぎゅっと目をつぶりそうになるけどそれはもう観念してるも同じなんじゃないだろうか…と思って目をカイトに合わせてみる…。


 あ、でもこれもどうなんだろうか。


 ポスリ


――ん?


 とカイトの顔が私の顔の横に落とされる。彼の髪が私の首筋に触れる。カイトの体も私が押し倒されている状態なので私の上に乗っているのだが、少し気を使っているのだろうか…体重全てはかかっていない。とはいえ動けない程度の体重はかけているのだから性格の悪さがかすかに見えるような…。


ふうと息をつかれる。いや、そこで息を吐かれると生暖かいんですけど。


「わかったか?」

「えーっと、はい」

たぶん…。男は狼よ油断するんじゃありません! かな…。


「えーっと だぁ!?」

「いえ、いえ十分わかりました!」

 と何とか首をかすかに左右に振る。やれやれとしつつも私を引っ張って上体をあげてくれる。


「さて、と」

 はい。私のトリップのことでしょうか?

と思っていると。ガシリと肩を掴まれる。目が間近で合わされる。私の方が座高も低いので自然に少し見上げる形になる。目が離せない。カイトの青い目…。


「芽衣」


「カイト…?」

 なんだか妙な圧力を感じる…。


「いいか? 樹さんとやらにもある程度距離を置け。“普通”に仲良くするのは構わない。

――だけど容易にお前に触らせるな」

 目が怖いです。破ったら絶対痛い目見せられる、これは確信。




 …はぁ。まぁいっかな、それでカイトが納得するなら。自分の身が私も可愛いし。


「わかりました」

  とカイトの目を見て約束をする。そうすると首に腕が巻きつかれて頭を優しくなでられる。





――とりあえず危機は去った…?

いちゃいちゃさせました…。R15なのだろうか。


ふぅ。トリップの件は次回にお流れです。うーん、この回で終わると思ってたんですけどねー。


あ、そういえば2000ユニーク突破です。読んでくださる方ありがとうございますv



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