『始まりと終わりの地』
あらすじ
スーパーコンピュータ『水霊』による国家規模の陰謀を阻止した天才脳科学者・チェ・ウニョンは、実業家・佐藤志乃の依頼で、北海道・ニセコへ赴く 。目的は、ゲーム機1万5千台を繋ぎ合わせて作った新型スーパーコンピュータ『樹林』の視察と、新型ゲームサービス『ヴァーチャル・ダイブ』の監修だった 。ウニョンは、人間の精神的揺らぎや抑圧された欲求を仮想空間内で消費し尽くさせる機能『自我の不測の補完』に脳科学者としての有用性を感じ、期待を胸に抱きながらも、一人の若い女性として寂しさを紛らわせる新たな日々を待ち望む 。
大韓構想の最終目的。
全能化計画『儒林』が機能を停止してから、1か月が経過したある日。
千歳空港国際線到着ロビーに一人の女性が降り立った。
スーパーコンピュータ『水霊』を相手に、
クリスタルロッドに囲まれ『棺桶の麗人』となって、
『生体による逆ハッキング』によるシステム内部からの破壊をした天才脳科学者。
その後の韓国政府の全能化計画『儒林』を、
世界中のAIによる集中攻撃と電源工作によって無効化させた美しき高校教師。
今現在、彼女を説明するなら教師を退職し、恋人もいないちょっとだけ寂しい女。
チェ・ウニョンが日本にやって来た。
彼女は実業家佐藤志乃より依頼を受け、
ニセコにて誕生したスーパーコンピュータ『樹林』の、
視察と日本で商用提供される新型ゲームサービス、
『ヴァーチャル・ダイブ』の監修に訪れたのであった。
全能化計画『儒林』の陰謀は、
スーパーコンピュータ『水霊』を世界中のスマホやPCの端末を、
『CPU』としてそ全集合体にする事。
それらを結合させるために、Meteor shower signal receptions。
通称『流星群受信』を『シナプス』として全能化させ、
大韓構想「世界で最も優秀で、最も繁栄した国家の構築」を目指したものであった。
流星群受信とは、
米国のかの有名な富豪が自動帰還するロケットを用いたのに対し、
徹底的に安価な使い捨てロケットにより、
小型衛星よりもさらに小さい、野球ボール状の端末をドラム缶に詰め込み、
衛星軌道上にぶん投げるという代物である。
地球全体を覆い死角なしの通信網を構築するのであるが、乱暴に端末を放り投げるので、
ランダムに大気圏に落下して流れ星となるものも多い事から、
流星群受信と呼ばれている。
流星群受信に投資をして、成功させたのは佐藤志乃であり、
それを無断無料で使用されては、たまったものでは無い。
そこで佐藤が考えたのは『水霊』と『Super・Sleep・Studying・Systems』
通称『S4(えすふおー)』を逆に無料で頂いてしまう事であった。
そして、『儒林』化した『水霊』を掻き集めるには、
容器が必要であり、スーパーコンピュータを作らないといけない。
そこで佐藤は日本メーカーのゲーム機器を1万5千台繋ぎ合わせた
『樹林』を作らせたのである。
『樹林』は日本のブラッグシップ『富岳』と同等の性能を発揮し、
最高グレードの機種を繋ぎ合わせる事によって、
電力コストも三分の一に抑えられている。
製作コストは日本円で20億円、
建物その他で10億円の合計30億円が投じられた。
それを『ヴァーチャル・ダイブ』として商用提供して、
利用者10万人目標でわずか2年で初期投資を回収する計画であった。
チェ・ウニョンが大韓構想に対して、
テロ行為とも呼べる活動を行ったのは、
国民総強化計画を国民総教化計画であると、
国家ぐるみの陰謀を阻止しただけであって、
『水霊』と『S4(エスフォー)』を否定している訳では無い。
実際、彼女は『S4(エスフォー)』の、
被験者として志願したのだが、
『S4(エスフォー)』のもう一つの機能である、
『自我の不測の補完』は脳科学者として有用性があると考えていた。
『自我の不測の補完』とは、
人間の脳が抱く精神的揺らぎを仮想空間内で徹底的に肥大化させ、
疑似体験によって「消費」し尽くさせる機能である。
人殺し願望がある者には終わりなき殺戮を、
絶望を抱く者には無数の自殺を体験させ、
その精神的エネルギーを完全に「抹消」させる。
抑えられない欲求を徹底的に抑え込むのと、
真逆で満腹中枢をMAXに刺激するのだ。
つまりは脳が、
いつもお腹がいっぱいに思っている状態を作るので、
ダイエットにも有効だと考えられる。
それら、様々な理由からチェ・ウニョンは『S4(エスフォー)』を、
そのまま歴史の闇に葬るのは惜しいと思っていた。
彼女自身も恋人のいない寂しい生活を忘れさせてくれる、
『ヴァーチャル・ダイブ』の日々を待ち望んでいるのかも知れない。
ただし、それによって婚期が遅れるかも知れない危機は、
微塵も感じていなかった。
彼女は天才脳科学者であるが、
1人の妙齢の若い女性である事にはかわりがなかったからである。
記載する表現に関して、常識に基づいて気をつけて参りますが、
もしもを考慮して15歳未満閲覧非推奨を設定させて頂きます。
こちらに何か落ち度がございましたら、お知らせ願います。
※短編『S4(エス・フォー)』Scientific Fantasy
※短編ユリン S4 Scientific Fantasy2
先行した2つの作品を読んでいただけますと、
わかりやすい内容になっています。
参考までに気が向いたらご覧ください。
登場人物
〇チェ・ウニョン
天才脳科学者、元高校教師
韓国脳科学会に「性善説でもなく性悪説でもない
『無による無』の論文を出して提唱したが、
女性である事とまだ若い事が遠因となって、
『無による無』は
『成り行き任せの論ずるに値しない学説』として
笑われ、学会を追放されてしまった。
世の中にあがらう事を諦め、
生活の為にソウルの高校にて教師をしていた。
大変な美人だが、脳科学者だけに脳に正直で、
普通の女性よりもほんの少し下品で、
ほんの少しビッチな発言もある。
大韓民国の『国民総教化計画』を阻止すべく、
『水霊』の破壊と『儒林』の消滅をやってのけた。
キム・ソヒョン
アトリエ・ノア会長室室長。
会長佐藤氏志乃の最側近(雑用係とも)
FGS(藤咲化粧品)korea第二営業企画部部長。
総合映像制作会社S.S.I社長ユン・ヒョヌの元恋人。
作家ユン・シウの元恋人。
他者肯定も少なく、
自己肯定も少ないので何かと苦労しがちな女性。
それはチェ・ウニョンの理論『無による無』と通じる素養をもっている。
元恋人のユン・シウは作家なだけに空即是色
(0から創作する )または(何気ない日常がドラマだ)と考える人間なので、
分かり合えるはずがなかったのかも知れない。
参考
※S4(エスフォー)
韓国で開発された超睡眠時学習システム
『Super・Sleep・Studying・Systems』
大韓構想にて国民総教化計画の一環で
表向きは若年世代の教育強化を目指した。
※水霊
韓国で大韓構想を元に開発されたスーパーコンピュータ。
『Super・Sleep・Studying・Systems』の頭脳。
※大韓構想
朝鮮半島の統一を果たした大韓民国が掲げた構想。
「世界で最も優秀で、最も繁栄した国家の構築」
※儒林
水霊の真の最終目標『全脳化計画』。
世界中のPC・タブレット・スマホを『CPU』として、
水霊を実体無くして最強であるものとする計画。
シナプスとして
流星群受信が用いられた。
※樹林
北海道ニセコにて佐藤志乃率いる
Juringエンタが開発したスーパーコンピュータ。
日本メーカーのゲーム機(一応、最高グレード)1万5千台を接続して、
30億円投資して完成させた。
ちなみに名前の由来は、数十年前に佐藤志乃が在籍した、
東京シルフィード歌劇団在籍時の舞台名
『天翔樹林』が元になっている。
(社名のJuringエンターテイメントも同様)
儒林と似ているがまったく関係ないネーミングであった。
表向きは『つぎはぎのポンコツ』とされているが、
実際は日本のフラッグシップ富岳と同等以上の性能を発揮し、
消費電力も3分の1となっており、
投下した資本からするとかなりコスパの良い設備である。
国内で騒がれない為に『山奥のポンコツ』と広めている。
冷却に降雪した雪を使用しており、融けてろ過した水は海外に売却してコストダウンしている。
※流星群受信
Meteor shower signal reception。
米国の富豪が打ち上げた精密な衛星通信網は、
自動帰還するロケットを用い、小型通信衛星を打ち上げるビジネスであったが、
日本のベンチャーがもっと安価に完全使い捨ての格安ロケットにて、
野球の球ほどの通信端末をドラム缶いっぱいに持っていき、
衛星軌道上でぶちまける事によって追い抜いた。
死角無しの衛星通信網である。
無計画に端末をぶちまく為、高頻度で大気圏に落下し、
流れ星が大量にみられる理由から、流星群受信と言われるようになった。
極めて大雑把で安価なベンチャービジネスで構築した、
地球全土を覆う死角なき通信ネットワークのその通信端末は、
現代のスマホが充電スタンドで置くだけで充電できるのと同じ仕組みで、
宇宙に漂う電磁波を表面で吸収し、半永久的に駆動する。




