最終日・異世界の魔法使いは__
「じゃあな、エリス」
「はいっ梶原さん!皆さん!」
時は早くすぎるもので、その後エリスとの協力関係により異世界、そして異世界と繋げる研究が進んで行った。
今では魔力を貯めることで、機械的にゲート、そして魔法を使えるようになり、街には常にゲートが出現しており異世界同士で出入り可能となっている。技術の進歩が街で見ることができるのだ。
当時ゲートへ取り込まれたマリア含む市民たちはまだ見つかっていない。
「いやぁでもエリちゃんが、お偉いさんになるなんてねぇ〜あっちでも頑張って!」
八重森がからかっているのかという風にエリスを褒めた。
エリスは、異世界での研究を進める支持者としてあちらの世界に戻ることとなった。
梶原は別れは惜しみつつも、それがエリスのためになるならと考えればとても軽い気持ちになった。
「もうこっちには帰って来ないんだな」
「まぁ…大きなことがなければ、仕事も多くて休みが取れるか分からないので…」
そんなエリスの言葉に気分を落としながらも梶原は見送ることにした。
「心配するな!エリスは必ずできるからな」
「っはい!頑張って来ます!」
これが本当の最後の別れ、肩にミラを乗せたエリスの頭をくしゃくしゃと撫で回した。
背丈は変わっていないものの、大きく成長しているのだと思う。
「行ってきます!」
そう言って1人の魔法使い、エリス・ノアは暖かい背中をみんなに見せながらゲートをくぐって行った。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「梶原さ〜ん!」
「おおどうした?」
意気揚々とさせながら、警察本部で働く梶原の机へと向かってきた八重森に声をかけた。
「じゃ〜ん!」
そう言って手を振ってきらきらと演出している方を見ると、そこにはエリスがひょっこりと顔を見せていた。
「おっお久しぶりです……梶原さん」
「夢…?じゃないだろ、なんでエリスがここにいるんだ!?八重森っ説明しろ」
二、三年ぶりに見るエリスはさほど変わってはいないものの、少し大人びて実年齢より少し下くらいには見えるようになっていた。
梶原はあまりにも驚いて、八重森をジトっと睨みながら元の口調に戻ってしまっていた。
「八重森"刑事"でしょっ?」
「えぇっ!八重森さん刑事さんになったんですか?おめでとうございます!」
エリスは知らなかったのか、驚いた顔をして褒めていたが、梶原は「そんなことどうでも良い」と言ってスルーしながらもまた八重森を睨んだ。
「で?なんでここにエリスがいるんだよ」
本来、今頃のエリスなら世界と世界を繋ぐための魔力操作という仕事がありこちらはなんて来れないほど多忙な時期だ。
「へっへっへ〜見てくださいっ梶原さん!」
そう言いながら意気揚々としながらエリスは自慢げにダボダボの上着のポケットから手帳を取り出して梶原の前に出した。
「エリス・ノア、特殊警察官んん?ど、どういうことだ」
「実はですね、あっちの世界とこっちの世界を繋がるゲートを作ってる機械が故障中でして…一時的な時間ですがそれが直るまでの交流の管理することになって〜また警察官になりました!」
「ふっふっふ〜」と鼻高々に言ってくるエリスのことはあまり信用できなかったため、梶原は八重森の方をチラリと見たが、頷いていたため本当なのだ。
「しかもっ今回は隠れてひっそり警察やるんじゃなくてちゃんと公式ですよー!」
「公式って…」
前まで誰にも見られない、バレないように警察官(仮)をやっていたのをまだ根に持っていたようでそんなことを言ってきた。
「まぁだけど、また一緒に仕事が出来るんだな」
「はいっ!」
「なら京香さんにも後で会いに行こう」
「やたー!」
ニコニコと笑いかけてくるエリスの身長はやはり伸びていないままでとても撫でやすい。
そのせいか気づけば梶原はエリスの頭をポンポンとしていた。
「あぁごめんごめん」
「それ、煽ってますう〜?」
「気がついたら撫でてたんだよ〜」
「うわっ梶原先輩それもっとひどいですよっ」
「ははは」と苦笑いをして受け流そうとする梶原を何度も見てきたエリスはもう何を言っても自分は小さい少女なのだと諦めていた。
だが、今日だけはエリスもしっかりと言ってやることにしたのだ。
「梶原さんっ私もう大人ですよっ!
だって"特殊警察官になりました"から!」
むすっと頬を膨らますエリスに既視感を覚えながらも梶原はこう返した。
「あぁならこれからも、ずっとずっと頼むよ。」
「はい!帰れって言っても帰りませんから!」
「わかったよ」
ふわっと笑う梶原と怒りながらも嬉しそうにしているエリスの顔を見ながら八重森は笑った。
「ずいぶん変わりましたね」
「何処がだ?」
「どこがって!?この私ですよ!子供扱いしてるのは梶原さんだけでちゃんと成長してるんです!」
エリスの成長の方向が少し曲がっていると思いながらも、八重森はそれも楽しいから良いのだと納得させた。
そして、ずっとこの日々が続けばいいと願った。
「ほらっ早く、水原さんのとこ行くんでしょ?」
「はいっ!すぐ行きます!」
そうやって3人は自分たちが変えた世界を並んで歩いていった。
異世界の魔法使いは特殊警察官になりました。
-終わり-




