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異世界の魔法使いは特殊警察官になりました。  作者: 友人A
5章・夜の蝶は舞い散る
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73日目・待てのきかない暴君


「梶原さん、だっけ?それよりヤバいよ!早く行かなきゃ魔法が使われる」

「た、確かに!」

「早く行かなきゃ!」


急かそうとする声が梶原をもっと焦らせていることを誰も知らない。


「とにかくこっちに来て!」

「わ、分かった」


戸惑いながらもマリアの指示を聞いて動き出した梶原たちは、マリアの近くへと駆け寄った。


「もしかしてマリアお姉ちゃん転移魔法使う気?」

「うん!」


何が何だか分からない梶原たちだったが、マリアの詠唱が終わったと同時に自分たちの周辺が一瞬にして輝き出したのにはとても驚いていた。


「もしかして、これは工場の時の…」

「そっ」


その様子を見て、この前に夜の蝶たちが逃げた時に使った魔法なのだということを梶原は察した。


「ここっ避難所」


気がつけば周りは先ほどまでいた場所とは異なり、避難所である市民会館に着いていた。

この市民会館はいつもコンサートなどをやっており盛り上がっているが、今や人の叫び声が響くばかりだった。


「マリアさん!アーサーが…」


京香が大声で指差したのは、大きな敦剣を持って市民へと襲い掛かろうとしているアーサーの姿だった。


「避難しきれていない市民かっ!」

「私が詠唱しても間に合わない…!

エリちゃん!アーサーと組織の奴ら以外に結界張って!」

「うん!」


枯渇していたエリスの魔力も十分に戻ったようで、ふぅっと息を少し吐いたあと、結界を貼り始めた。


薄く街灯を反射して煌びやかに光っているその結界へとても美しく、西から東へと張られていった。


「ア゛!?なんだこれ…チッ結界か」


市民に向けられた刃は空中で急に止まった。

疑問に思う顔でアーサーはその空中をまじまじと見出し、理解したように舌打ちをした。


「おいっ!マリアふざけんじゃねぇぞ」


そこで気配を察知したアーサーがぐるりと頭をこちらへと向けてきたのだ。


「おい、お前らぁ」

「はっはひ」

「邪魔だからどっか行ってろ、後で何処にいても殺しに行ってやるからよぉ」


そう言われると顔色を青くして逃げるように物陰へと隠れていった。


「マリアぁ邪魔すんなよ」

「最後に聞きたい、まだ続けるの?」

「何言ってんだよ、続けるに決まってんだろ

それにお前、何正義の味方アピールしてんだよ

お前も俺も同罪だろ?」


その言葉にマリアは何も返せなかった。


「…ない…同罪なんかじゃない」


だがそんな言葉に返したのはマリアではなくエリスであった。


「は?ガキが何言ってんだよ、コイツも同罪だろ」

「ちがう!マリアお姉ちゃんはまだ誰の命も奪ってない!」

「っ………」


マリアは確かに直接的には死に関わっていない。

いつでも汚れ役はアーサーだった。

それでもその言葉でマリアはハッとした。


「いや、エリちゃん良いよ」

「で、でも!」


まだアーサーに反抗しようとするエリスの肩をポンポンと叩き、後ろへ下げた。


「だったらアーサーを倒して一緒に地獄へでも落ちてあげるよ、罪人だからね」


その時、マリアはニコッと口角を上げて笑っていた。だが、すぐに顔は真顔へと戻らせ言った。


「エリちゃん、攻撃魔法うって!」

「は、はい!」


その迫力といったら何年も一緒にいたエリスも見たことがないようなものでエリスも思わず敬語になってしまった。


だがそれでもエリスは杖を構えて魔力を練った。

エリスの杖から放たれる大きな火球は大きいアーサーの体を覆い尽くすほどだった。


「…土の精霊よ、我に力を与えよ」


そんなことをボソボソとマリアが唱えている間にアーサーは炎の中から抜け出して来てしまった。


「あっちぃ、ガキが調子に乗るんじゃ」

「ストーンキャノン」


エリスの炎の攻撃は単なる目眩しであり、冷静に、そして冷淡に振る舞うマリアは炎によって起こる煙を顔からはらっているアーサーの体に先の違った岩の塊をぶつけた。


「痛っ……」


ほぼ直でその塊が当たり尻餅をついたアーサーだったが、そんなことを気にせずマリアは畳み掛けるように言った。


「梶原さんっあと警察の方!拳銃で撃って!」

「あぁ分かった、八重森っ!発泡を許可する」

「はいっ!」


その返事とほぼ同時に広い世界に銃声音が響き渡った。エリスと京香は耳を抑えて苦しそうな顔をしている。


「や、やりましたか!?」


だれもが言おうとした言葉を喉で押し込んだというのにも関わらずエリスはそんな一言をいう。


「…え、エリちゃん………」

「ん?」


そんなエリスにマリアは渋い顔をして名前を呼んだがまるで分かっていないようだった。


"やったか"その言葉はフラグというのだよ。


フラグなんてもの信じない現実主義の梶原だったが、今日に限ってそれはこの場の誰しもが言いたいことであった。

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