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第2話 君の心に触れさせて

こんにちはこんばんは!しょたこん太郎です!

2話はハルトくんが「The 年頃の男子」って感じです。

前回同様、楽しんでいただけると嬉しいです。

少年が少女に恋をした。


「一目惚れ」なんていうものは、

生きていればよくあることである。


パンを咥えた少女と十字路でぶつかった時も、

金属製の巨人の頭蓋から出てきた少女と出会っても。

一目見て、

その美しさから目が離せなくなったというのならば、

それは紛れもなく一目惚れであるのだろう。



白く長い髪…

機械に覆われた右眼に対し、

見ているだけで溺れてしまいそうなほどの黒い左目…

絹のような白く美しい肌は、その触り心地を容易に想像させる。


ハルトはその少女から目が離せずにいた。



「…お前は誰だ?なぜそんなもんの中から出てきた?」



マイクが少女に向かって尋ねた。

数秒の沈黙の後、少女が口を開いた。



「……分かりません。記憶がないんです…

ただ、"それ"に呼ばれたような気がして…

気がついたらここにいる。」



そういうと少女は、マイクの鞄に入ったリアクターを指差した。



「なに?このリアクターが?」



驚くことに、マイクが見つけたリアクターはまだ機能していたのだ。



「そうか…これは統率型のマキアのリアクター…

俺が拾い上げた拍子に信号が出ちまったのか…

そうなると、まずいことになったな」



彼女が乗っているマキアは、この小さなリアクターから出た信号を辿り、わざわざ宇宙からここにやってきた。

ならば、この周辺で埋もれているマキアを目覚めさせてしまった可能性が高い。

そして目覚めたマキアがいたとしたら、

直ちにここに向かってくることになるだろう。


リアクターを手放せば、危険は訪れずに済むかもしれない。

リアクターを手にしたままでは、大量のスティーラー、

そしてマキアに追われることになるかもしれない。


大金か、命か、

マイクに決断が迫られる。



「君…名前はなんていうの?」



ハルトが呑気に尋ねた。

マイクが「こんな時にナンパか?」とでも言いたげな顔でハルトを見ている。

少女とはすこし戸惑いつつ口を開いた。



「名前……私の、名前…思い出せない…

すいません。でも名前がないと話しずらいですよね…」


「そうか…じゃあ、"リリー"…

リリーはどう?」


「リリー…

はい。その名前で呼んでいただいて構いません。」


「う、うん!よろしくねリリー!」



優しく微笑んだリリーの表情を見てハルトが頬を赤らめている。


そんなことはお構いなしに、マイクが横槍を入れる。

そもそもだが、まだこの少女、

リリーと共に行動することなど決まってもいない。

得体の知れない少女、それも、

ギガントマキアの中から現れたサイボーグ面の少女など、

真っ平御免というわけだ。



「ハルト、よく聞け。このリアクターだが…」


「…待って」



リリーがマイクの言葉に割って入った。

何かを察知したようだ。


リリーは黙って遠くを指差した。

マイクがその先を双眼鏡で覗く。


その光景に、マイクは思わず息を呑んだ。


ギガントマキアだ。それも攻撃型…


破損が酷く、まともに歩けていない。

兵装も消耗し、武器となりうるのは左腕のマシンガンと、

その巨体そのものだろう。

それだけで、街のひとつやふたつは滅ぼすことができる。


ギガントマキアとはそういうものだ。


例え弾が尽きても、その巨大な体で全てを粉々に潰して仕舞えばいい。

例え体が朽ち果てようと、最期には…


と、あらゆる状況、破損、消耗を想定して作られた。


何はともあれ、リアクターの信号により、

リリー同様惹きつけられたのかも知れない。



「ハルト!逃げるぞ!」


「っ!はい!リリー!君も…」



ハルトがリリーの方に振り返ると、そこにリリーの姿はなかった。

先に逃げたのかと思った次の瞬間



「「脅威を確認…排除します。」」



信じられないことが起きた。


さっき宇宙から落ちてきたというのに、

このマキアは動き出した。


とてつもない耐久力…どころの騒ぎではない。

そもそもだが、落ちてきた時点で爆散していてもおかしくない。


これがギガントマキアということなのだろうか?



「えっ?排除って…」


「ハルト!離れろ!」



間髪入れず、リリーの乗ったマキアが走り出した。


瞬く間も無く2体のマキアが激突する。

激しい戦いが繰り広げられるかと思いきや、

意外にも勝負は一方的であった。



リリーは敵の腕を引っこ抜き、

腹と顔面に続けて拳を叩き込み、

足を掴んで転ばせ、

最後に頭部を踏み潰した。



凄まじい戦闘能力。

ハルトはまた目が離せなくなった。



「初期型で…あんな動きが…」



そう…リリーの乗っているマキアは初期型…

高度な人工知能を搭載した後期型と違い、

パイロットによる操縦が必要となる。


故にこの戦闘力の高さは、

リリーの戦闘技術そのものに直結すると言っても過言ではない。


謎は深まるばかりであった。



「…すげぇな…」


「はい…」



ただ見ていた。

2人はただ見ているだけだった。


その戦いを…

その蹂躙を…


今はただ…見ていることしかできなかった。



脅威の撃破を確認し、リリーが戻ってきた。

特段疲れている様子もなく、淡々としていた。


初めて見た時から2人もなんとなく分かっていたが、

リリーはいわゆる"ヒューマノイド"

つまりは"人型の機械"というやつなのだろう。


であれば、宇宙にいても無事だったことや、その戦闘技術にも説明がつく。


マイクも、リリーに対する警戒心が解たようで、

ひとまずは廃墟の中で夜を越すことにした。



夕食のレーションを食べながら2人はリリーに幾つかの質問をした。


が、やはり記憶…

というよりメモリがうやむやではっきりしないようで、新しく得られた情報はなかった。



ハルトは夜遅くまでリリーと話をした。

そして分かったことがある。

リリーにはいろんな便利機能があった。


高度なコンピュータのように、座標のわかるマップ機能や、カレンダー、時計などの機能があった。

しかしメモリの故障の影響か、位置情報がめちゃくちゃだったり、1週間ほど時間がずれていた。


ハルトはテックの知識があったため、設定を直してあげることにした。


その正体がヒューマノイドであったとしても恋は恋。

否定するなど時代遅れというものであろう。


一目惚れした少女の体に触る2人きりのこの時間が、

ハルトの心臓の鼓動を早めた。


リリーの体は金属故硬く、夜の寒さで冷えていたが、

ハルトの手が触れた部分が確かに温まっていくのを

2人は静かに感じ合った。

第2話!読んでいただきありがとうございます。

これでこの物語の起の部分が終わり、次回からは承の部分が始まります。

3話からは毎週月曜日の深夜0:00に更新予定です。

この物語が終わるまで、

どうか楽しみにして読んでいただけると嬉しいです。

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