第1話 君に心を奪われて
初めまして!作者のしょたこん太郎です。
名前がこれですので誤解される前に言っておくと、
この話にはまだショタが出てくることはありません。
この作品を手に取ってくださりありがとうございます!
初投稿作品のため粗い部分があるかも知れませんが、
面白いと思っていただけると幸いです。
砂嵐が吹き荒れている。
荒廃したこの街を、
隅から隅へ…端から端へ…そして天から地へ…
まるで群れを成した鳥が大空を自由に飛び交うように
とは言っても、群れを成した鳥など
数十年目撃されていないが…
「……う〜ん」
汚れた外套を身に纏った少年が瓦礫を漁っている。
このご時世では珍しくないことだ。
「ないな〜…"ギガントマキア"の残骸…」
"ギガントマキア"…
数百年前の第五時世界大戦にて、
某国が秘密裏に開発した『大量殺戮用巨人型兵器』である。
少年はその残骸を探していた。
高く売るか、自身の装備に加工するためだ。
「お〜い!ハルトーー!そっちはどうだ〜〜?」
遠くから少年を呼ぶ声がする。
「マイクさん…ここはハズレですね…
パーツのひとかけらもないです。」
「そうかぁ…ははっ!まぁ俺の方は…」
マイクと呼ばれる男はそう言うとニヤリと笑い、
カバンの中からなにやら金属性の部品を取り出した。
「………?!えっ?え!えぇーー!?」
それは統率型ギガントマキアの胸部に搭載されたリアクターの部品であった。状態を見てもそこまで劣化がなく、
修理して電源を繋ぎ直せば、動力源か精密機器として動かせる可能性さえあった。
要するに、値打ちものである。
ハルトは驚きのあまり思考が一瞬停止してしまった。
無理もない。このパーツはとても希少であり、
売りに出せば7万5,000ゴバはする。
2020年近くの日本円に換算すれば、
おおよそ1500万円相当…
「わぁーー!!やりましたねマイクさん!!
これで僕たちお金持ちですよ!!」
「あぁ…グスッ……あぁ!!………グスッ
フリーの"シーカー"になってから10年……
……長がっだ…うぅ…」
「……はい…これでやっと、
これでやっとお母さんを…」
「そうだな!早くお前の母ちゃんを治してやろう!」
先ほどまで堪えていた涙が、決壊したダムのように流れ出した。
二人は砂嵐が吹き荒れるこの街に、オアシスを作る勢いで泣いた。
2人が泣いていると、リアクターが一瞬光ったような気がした。
「ん?あの、マイクさん?なんかこれいま…
マイクさん?」
「………来たな」
ここでマイクが何かに気付いた。
風をかき分け響く轟音…
バイクのエンジン音である。それも数台はいると見た。
偶然通りかかっただけなのか、それとも…
いずれにせよ…彼らが味方である保証はない。
マイクの指示でハルトは廃ビルの中へ隠れた。
数十秒後、モーターバイクに乗った集団が現れ、先ほどまでハルトがいた辺りに停車した。
マイクの読み通り、2人のことを探しているようだ。
集団の装備を見るに、"スティーラー"であろう。
ハルト達のような"シーカー"、いわゆる冒険家たちを襲い、貴重品や食料を奪い、犯し、殺す。
極悪非道、下衆外道である。
一般のシーカーであれば勝ち目などないだろう。
しかし、今回ばかりは相手が悪かった。
「ハルト。こちらは準備OKだ。そっちは?」
「はいマイクさん。いつでも行けます。」
2人はスティーラー達がいる大通りを挟む形で、それぞれ反対側の廃ビルの中に隠れ潜んでいた。
高所から見下ろすようにハルトが、
低所からはマイクが、
獲物を狩る猛獣のような眼光で構えた。
スティーラー達が分散し、周囲の探索を始めた。
その時だった。
「今だ!」
「了解!」
マイクの合図で、ハルトが信号銃を空に向けて放った。
スティーラー達の視線が宙に向く。
その隙をマイクは見逃さない。
マイクの愛銃、『デストロイヤー』が火を吹いた。
攻撃型のマキアの残骸から作り出されたこの銃は、まともに受ければ四肢が爆散し、掠っただけでも致命傷につながるほどの火力を持っていた。
スティーラー達が粉微塵となって消えていく。
奇襲を逃れたスティーラーはデストロイヤーの弾が当たらない狭い路地や、瓦礫の下、廃ビルの奥へと隠れた。
しかし敵がそう動くことなど、
2人の想定の範囲内…
そしてこの世界にはこういう心得がある。
『1秒気を抜けば1人…
2秒気を抜こうものなら、10人の死神がお前を睨み殺す』
「はぁ…はぁ…なんなんだあの化け物はぁ?!」
「俺が知るかよ馬鹿がぁッ!!
俺らはボスにここ行けって言われてきただけだ!」
急死に一生を得たスティーラー達が、息を切らして怒鳴り合っている。
それが最後に交わす言葉になるとも知らず、
死神は音もなく舞い降りる。
「あなた達で最後だ…」
「「?!!?」」
光学迷彩に身を包んだハルトが、2人を背後から切り裂いた。
ハルトの左腕は、マイクにより作られた絡繰義手となっている。
マルチツールのような仕組みとなっており、短刀から鎖鎌、手槍など、様々な武器が仕込まれている。
「ハルト、そっちは終わったか?」
「はい、今片付きました。」
「こいつら、手配書でも見たことがねぇ…
雇われか?」
「多分そうだと思います。「指示されただけ」と言ってましたし。」
スティーラーの死体を全員片付け、2人は拠点に帰ろうとした。
その時だった。
先に気がついたのはハルトだった。
ここより遥か上空、大気圏の外から、"何か"が近づいてくる。そう感じた。
数秒遅れて、マイクも気づいた。
空を見上げると、その何かがとてつもない速度で落ちてくる。
思考を巡らせる間もなく、慌ててその場から離れた。
しかし、2人の乗ってきたトラックは数百メートル先に隠してある。
間に合うかどうか、誰にもわからない。
その直後、
激しい光と共に、何かが2人の200メートルほど後方に落下した。
落下による衝撃と爆風でかなり吹き飛ばされたが、特に怪我はなく無事に済んだ。
「………なん…だ?」
「はぁ…はぁ…なんですかね…」
「…行ってみるか」
恐る恐る、2人は落下物に近づいていく。
大きなクレーターが出来上がり、その周囲に砂が舞っているのがわかる。
強風により、砂が離散する。
だんだんとその落下物のシルエットが見えてくる。
それが見えた途端、マイクは思わず後ずさりした。
その正体がわかってしまったからだ。
一方のハルトはその正体に気づかず、一歩、一歩と近づいた。
直前でマイクがハルトを引き止めた。
「ハルト…これが何かわからないか?」
「…分からないです」
「いいか…落ち着いてよく聞け…
これは初期型の…」
「ッ!……これが…」
そう…ギガントマキアである。
初期型はまだ技術が革新化されておらず、
無人ではなく有人による操縦を必要とした。
そのボディは無垢という言葉が似合う
真っ白な金属で構築され、
逆に頭部は人の頭蓋のようで悍ましい。
肩、腕から生えた砲塔は禍々しく、
赤く染まった単眼が冷たく鋭い殺意を向けてくる。
それが、ギガントマキア
「なんでこんなもんが空から…」
「……?!
マイクさん!あそこ!」
ハルトが指差した先、そこで何かが鈍い金属音を立て、動いている。
見たところハッチのようだ。
「あり得ねぇ…」
初期型は人が乗って操縦する仕組みである。
しかし、このマキアは宇宙から降ってきた。
宇宙は人が耐えられる環境ではない。
仮に宇宙服を着て宇宙で生きていたのだとしても、
先ほどの落下の衝撃でペチャンコになっているはず。
さらにこの初期型は、後期型の登場に合わせ全ての機体が破棄されたはずであった。
2人の目の前に広がる全てが
「あり得ない」の連続であった。
マイクが信じられずにいると、バンッという音と共にハッチが吹き飛んだ。
そこから出てきたのは…
「…君が…私を呼んだのか…少年…」
「……っ!」
ハルトは見惚れていた。
ギガントマキアから姿を現した、
その美しい少女に…
この作品を読んでいただいてありがとうございます。
楽しく読んでいただけたでしょうか?
2話は今週中に更新する予定です。
物語における重要な起承転結の"起"の部分なので、
気に入ってくれた方は是非読んでいただけると嬉しいです。




