⭕ 聖女の交信 2
──*──*──*── 喫茶店・えみゅ~る
外ではチラチラと雪が降っている。
店内は暖房が効いていて暖かいが、お客は居ない。
この喫茶店は会員制らしく、会員でなければ店内には入れないそうだ。
喫茶店の会員ではない自分が何故店内に居るのかと言うと、喫茶店の会員に紹介されたからだ。
自分を喫茶店に紹介してくれたのは、藺羨駛夏さんという男性だ。
彼はオカルト雑誌の “ 月刊UA ” でオカルトライターをしている。
藺羨駛夏さんは、困っている僕にとある人を紹介してくれるそうで、その人物に会う為に僕は客席に座って待っている。
どんな人が来るのかは知らないけれど、喫茶店に来てからもう直ぐ1時間経とうとしていた。
?
「 待ち人来ずね。
誰を待ってるの? 」
?
「 えと…… 」
店員
「 藺羨様ですよ 」
?
「 ソツバ──。
駛夏に紹介されたの?
全く……アタシの許可なく勝手に未会員との待ち合わせに使わないでほしいわね! 」
?
「 あの……済みません… 」
店員:ソツバ
「 気になさらずに、お客様。
此処は少々特殊な喫茶店ですので 」
?
「 特殊……ですか? 」
?
「 アタシは “ えみゅ~る ” のオーナーの杜代加有明古よ。
宜しくね 」
?
「 あっ……初めまして…。
僕は聖美鵺空夢と言います。
オカルトライターの藺羨さんに悩み事を相談したら、人を紹介してもらえる事になって…… 」
オーナー:杜代加有明古
「 悩み事? 」
?
「 ──アリコ!
何だよ、この格好は!
何でボクがこんな恥ずかしくて屈辱的な格好をしないといけないんだっ!! 」
オーナー:杜代加有明古
「 あらぁ!
似合ってるじゃないのよ!
流石は平安時代人ね、和服が似合うわぁ♥️
和服エプロン──、アタシのセンスが光ってるわね✨ 」
?
「 ふざけるな!!
何でオナゴの着る和服エプロンを着ないといけないんだ!! 」
オーナー:杜代加有明古
「 鬼狐、絞めて 」
?
「 ──いだだだだだだだッッッ!!
やっ…止めろぉ~~~~!! 」
オーナー:杜代加有明古
「 霄囹──、アンタは自分の立場を忘れてるの?
アンタはアタシの鬼狐の隷属に下ったのよ、弁えなさい。
アタシがボスなの。
何度も言わせないで 」
霄囹
「 ~~~~っ!! 」
?
「 有明古さん、あんまり霄囹を苛めないでよ?
一応、僕の〈 守護り手 〉なんだし… 」
オーナー:杜代加有明古
「 ユタク君…。
ユタク君は霄囹に甘いわ。
生かすも殺すもアタシ次第だって事と上下関係を腐った性根に確り叩き込んでやらないといけないの。
これは躾なのよ 」
ユタク君と呼ばれた男性
「 有明古さん…行き過ぎた躾は虐待だからね…。
霄囹、有明古さんには素直に従ってくれないかな。
今は大事な時期だし 」
霄囹
「 ユタク…… 」
オーナー:杜代加有明古
「 “ ユタク様 ” でしょう~~~?
アタシの旦那様なのよ。
未だ躾が足りないのかしらぁ? 」
霄囹
「 ヽ(ヽ゜ロ゜) ヒイィィィ!! 」
ユタク:有明古の旦那
「 有明古さん……脅さないでよ…。
今日は骨董店に呼ばれてるんだよね?
そろそろ出ないと、電車に乗り遅れるよ 」
オーナー:杜代加有明古
「 そうだったわね。
ソツバ、霄囹の事は頼んだわよ。
ビシバシ仕込んでやってね 」
店員:ソツバ
「 お任せください。
行ってらっしゃいませ、オーナー 」
店員のソツバさんに見送られながら、有明古さん──喫茶店のオーナーは、御主人さんと喫茶店を出て行った。
聖美鵺空夢
「 賑やかな人達でしたね… 」
店員:ソツバ
「 この喫茶店の名物ですよ。
此方の珈琲はサービスです 」
聖美鵺空夢
「 有り難う御座います(////)」
店員:ソツバ
「 霄囹、今から仕事を教える。
気合を入れて覚えるように 」
霄囹
「 ………………くぅ… 」
店員:ソツバ
「 霄囹、返事 」
霄囹
「 ………………はい… 」
和服にエプロン姿の少年は悔しそうに全身をプルプルと震わせながら、店員のソツバさんから指導を受け始めた。
「 平安時代人 」みたいな事を言われていたけど、どういう意味だろう?
和服エプロンは御世辞抜きで「 似合っている 」と僕も思うかな。
◎ 訂正しました。
有明子 ─→ 有明古