1年と8ヶ月目(12月)海産物祭り
釣果はその日のお昼ご飯になった。
今回はベガル族の学校の一階にある大きな部屋の一室で机といすを並べてお昼ご飯の会場を作ってくれた。その部屋の外の校庭に面した場所には大きな竈や石窯オーブン、水場など調理ができる場所が屋根とともに作ってあり、豚や鶏が入ってこないよう囲いも作られていた。
そしてこの前使った体育館は冬のための牛舎になっているらしい。
ベガル族の女の人たちやマルガレットさんに手伝ってもらって、アジはタタキと南蛮漬けを少し作ったらあとは干物にする。
ヒラメとメバルは煮つけに。クロダイとイカは刺身にして一部はちらし寿司にする。
いくら100人前とはいえ、ちょっと量が多かったので、鰤は少しだけ刺身にしたあと、切り身にして味をつけて食品庫で冷凍することにした。
大量のアラは大きな鍋3つで煮て出汁をとりねぎと人参と大根を入れて、味噌を溶かし、アラ汁に。
「さかなだー!」
この前の魚ですっかり刺身とお寿司の虜になったルーは大興奮で、料理をしている場所をスキップしながらあちこち歩いている。
「お魚は川のはたべたことありますが、海のは初めてです」
というベガル族の皆さんの口に合うか心配だったけれども、実際食べ始めるとみなさんとても気に入ってくれた。特にクロダイのちらし寿司はとても好評だった。
「俺たちは比較的手が空くから、農作物の手伝いもするし、魚を釣ってくることもできるから、遠慮なく声をかけてくれよな」
一緒に釣りをしたボウさんたちがそう言ってくれたので、定期的に魚を釣りにいこうと思うのだった。
けれども、ちょっとした心配ごとがあった。
それは…
「味噌と醤油、どうしよう」
あちこちから状態がよいものをみつけては確保してきた味噌と醤油だけれども、この勢いで食べると2年くらいしかもたないかもしれない。
塩や砂糖とちがって味噌や醤油、あとお酢やみりんなんかも、そんなに量がないのだが、作る技術がない。
大豆はためしに作ってみたらちゃんと作れたけれども、そのあとがどうしていいかわからない。
自家製味噌をつくる本や醤油の醸造の本を読んでは見たものの、失敗したら、と思うとハードルが高そうでちょっと躊躇してしまっている。
でも、醤油や味噌の味をみんなも覚えてしまっているし、もう少ししたら相談してみよう、そう思ってしばらくは大丈夫な在庫を確認し、その問題は一時棚上げしていたのだった。




