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1年と8ヶ月目(12月)

冬が来た。

1年前の冬と比べると、今年の冬はにぎやかだ。


畑の冬の作物は白菜やキャベツ、高菜や水菜、小松菜にほうれん草にネギにカリフラワーにブロッコリー。

根菜まで含めると、大根やニンジンやゴボウにサツマイモにかぼちゃ。


青い葉っぱを畑いっぱいに作り、根菜も育てている横で、試しにビニールハウスを作ってみた。


ビニールハウスには早めの春野菜のほかにみんなが喜ぶかなあ、と思ってホームセンターで見つけていたイチゴの種を植えてみる。


毎日ベガル族の人たちに野菜をかごいっぱい届け、その代わりに卵と牛乳、週に1回バターやチーズそしてお肉をもらう。


機械や金属のものがダメになったら、野菜やお肉や卵を届けるついでに、ドワーフさんたちの街に修理をお願いしに行く。


畑だけになった分、同じ作業なので効率が良くなり、畑を拡張しよう、という話になっていた。


家があるところから、ベガル族の住む学校跡地まで、1kmくらい。

そこまでを全部畑と稲にしてしまおう、という話になっていた。


たまにエルフの話にはなるけれど、あのあとみんなで1月ほど家を中心に50km範囲をさがしているけれど、ほかの人たちを見ることはなかった。


最近ではルーとメイとカイもいろんなお手伝いができるようになってきたし、ドワーフさんところのマルコをはじめ、12人の子供たちはすくすくと元気に育ち、リンたちと一緒に太陽光発言の仕組みや自動車の仕組みなどを勉強していたりしてる。


「ドワーフの村にもどらなくていいの?」


と2か月が過ぎたころ、ビッテンバウワーさんに聞いてみたら


「こっちには勉強するべきものがいっぱいあってな、まだまだじゃわい」


と、図書館の本やTVでいろいろなDVDを見て、勉強をしているらしい。

最近「半導体」について聞かれたけれど、さすがにわからなかったのでその代わりに、工場跡地と、そういう仕事をしていた会社の跡地につれていったら、トラックいっぱいの機械やら書類やらをもってかえることになった。


今度秋葉原の駅前の部品屋さんみたいなところに連れて行ってあげようと思う。

きっとビッテンバウワーさんたちにとっては宝箱なんだろう。


そんな冬のある日、


「お魚食べたい」


というルーの一言で、魚を採りにいくことになった。

魚釣りは朝早く、が基本なので、夜中に起きて車で30分ほど。

一番近いのは東京湾。


前日に話をしていたのでベガル族の村からは興味のある男衆が4人ほど。

僕たちはトラとラン、マルコとドワーフ族の男の子2人ビッテンバウワーさんの全員で7人。

11人ほどの団体様で東京湾に向かう。


車1台では移動しきれなかったのでキャンピングカーとワゴンカーに分乗。有明の公園まで大通りをひたすら走る。


到着すると辺りはまだ真っ暗なので


「海に落ちないようにみんな気を付けて」


と車のライトを当てながら、場所を確保して釣り竿で糸を垂らす。

最初はベガル族の人たちに教えるために、試し釣りだ。

しばらくして釣り糸から手ごたえを感じて引き上げると、アジが釣れる。

糸を手繰って、引き上げて針を外したらもってきたクーラーボックスに入れる。


この手順を一通り説明すると、ベガル族の人たちはそれぞれ釣り竿を手にあちこちに場所をとる。


朝だからか、この前よりも調子がよく、アジはひっきりなしにつれて、ほかにもヒラメやメバルなどが釣れる。


しばらくしてビッテンバウワーさんが


「もっと海の中で釣ったらいっぱい釣れそうじゃのう」


というので、船釣りという方法があるけれど、船は壊れたのしかないから危険だとおもう、というとマルコたち3人を連れて、船を見に行ってしまった。


ベガル族の男の人が悲鳴をあげたので、びっくりしていってみると、どうやらイカがつれてびっくりしたらしい。


「おいしいですよこれも」

「これ食えるのか!?」


ベガル族のボウさんはイカをおそるおそる見ながらそう言ったので、持ってきたまな板と包丁で早速お造りを作って


「醤油ちょっとつけて食べてみてください」


お刺身をすすめてみたら


「なんていうか・・・面白い触感だな・・・あと甘い」


美味しいイカのお刺身を始めて食べた素直な感想をくれた。


結局4時間ほどでアジを80匹、ヒラメ37匹、メバルも31匹、イカ24杯という釣果で帰ることにする。


と、その時


「おおーい」


沖から声が聞こえて海を見ると、何故か船に乗っているビッテンバウワーさんとマルコたち。


船を寄せれるところがあったので、みんなでそこまで行くと、ちょっといいたところに何艘か船があって、底に穴が開いていない船を見つけ、エンジンをちょっといじったら動いたのだという。


「ほれほれ!これだけつれたぞい」


ビッテンバウワーさんが船から降ろしたのは、クロダイ20匹に鰤13匹。

アジは数えるのも無理なくらい船の水槽にびっちり入っていた。


「どうやってもってかえろう…あと、乗れるこの船どうしよう」


岸につけておいてもいいけれども、干潮満潮の波で底が傷んだりしたら、せっかく乗れるのにもったいない、といったら


「船に車輪つけて、岸までもっていけばいい」


そういって、ビッテンバウワーさんが車の車輪を船用に改造しているものをじゃじゃーん!と取り出し、船にとりつけていく。


「さ、車でひっぱってくれい」


車で車輪を引っ張って、なんとか岸にあげて、近くの建物の中にとりあえずしまっておく。


「これで雨や風も大丈夫じゃろう。また釣りのときには車で海までひっぱればよいしな」


満足そうに船を眺める。どうやら船と釣りがお気に召したようだった。

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