鳥小屋
生き物の声がするというのは、とても気持ちの良いことだ。
朝の大捕り物のあと、朝ご飯を済ませると、たまと僕はまず、鶏をどうするかを考え、裏庭にある物置を簡易鶏小屋にすることに決めた。
昨日もいったホームセンターにもう一度行き、柵と金網と工具をひとそろえ集めた。
のこぎりとかトンカチとかそういうものから、電動のドリルとか電気で動くものも全部持っていくことにする。
ただ、電池で動くタイプのものは、ホームセンターの電池がほとんど液漏れをしていたので、今後は電池のものは使えなくなる可能性があると考えてやめた。
あとは鳥の餌とドッグフードを大量にもってくる。
ドッグフードはさすがにカリカリタイプは賞味期限が怖いので、缶詰タイプにする。
台車に載せていると
『美味シソウダネ』
いつも食べている缶詰とあまり違いのない犬用の缶詰にたまがそんなことを言うが、一応これはあの犬のものだと教えとく。
残念そうな顔をしたけれどもあきらめたようだ。
鳥小屋を作るのに必要なものとやつらの食べ物になりそうなものを大量に車に積んで、家へと戻る。
家に帰り、庭を見ると、鶏は逃げ出していなかったが、温泉の時に持ち帰り植えていた野菜が彼らのご馳走になっていた…。
裏庭にいくと犬が尻尾を振りながら出迎えてくれる。
どうやら餌をくれる人という認識をしてもらえたようだ。
仲良くなるにはここが肝心、と買ってきたドッグフードの缶を出すと、どうやら知っているのか、きゅいんきゅいんと鳴いておねだりしてくる。
やっぱりコイツ、飼われてたことあるんだなあ、と思いながら皿に出してやると喜んで食べ始めた。
井戸のポンプを作動して水の皿も新しくしてやるとそれも嬉しそうに飲み始める。
それをちょっと眺めたあとで、簡易鶏小屋へととりかかる。
簡易鶏小屋は簡単だ。物置のものを全部出してドアを外し、そのまわりに柵を立てて、金網で取り囲む。
屋根があるところと土のところ、両方できるし、小屋を新たに立てなくてもいいだろうから物置を使うのはとりあえずの案としては最善策だと思う。
周りの雑草を草刈り機でカットして、カットした雑草を昨日の雑草と一緒にしておく。
物置にあったものを出したが脚立と雪かきの道具、古い金具がはいった工具箱とおおきなシャベルの他に、バーベキューのセットと炭が出てきた。
バーベキューができる日がくるといいな、と思いながら、雨に当たらないところに置く。
物置きに余りものが入ってなかったので作業はさっさと進んだ。
物置の扉を外して、棚はそのままにする。
出入口をコの字に囲うように物置の高さとおなじ2mの柵を立ててそのまわりと天井を金網で囲う。
何があるかわからないので金網を2重にし、金網と土の隙間からはいれないように、楔を打ったところで、出入口の存在を思い出す。
どうしようか考えて、入り口用に四角く金網をカットして、余った柵をばらして板を枠にする。
同じ要領で四角いドアを板の枠と金網で作り、片側をワイヤーを緩く輪にして上と下、真ん中を2か所留めるととりあえず開閉はできるドアができる。
ドアを留めるものをどうしようか考えて、さっき物置からでてきた工具箱を探すと、摘まみをひねると板が留めれる古い掛金具がでてきたので、それを使うことにする。
小屋の床に本当は藁を敷きたいところだけれども、藁はどこにもなかったので、古新聞を敷いた上に雑草を敷いてみる。
なんとなくそれらしくなったので鶏を鶏小屋に入れることにした。
犬が吠えないように、犬は一時家の中にいれ
昨日と同じように餌を少しづつ撒いて、鳥小屋へ誘導していく。
昨日はバタバタしていたのできちんと数えていなかったが鶏は全部で7羽いた。
そしてそのうち4羽がメスのようだ。
餌と水を小屋にたっぷり入れて、小屋の扉を閉じる。
明日の朝は目玉焼きにありつけるかもしれない。