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ホームセンター

ホームセンターの中は思った以上に荒れていなかった。

食べ物など腐敗するものの類がすくないからだろうか。

劣化するものが少ないからだろうか。


食べ物を幾つか物色したあと埃かぶった掲示板の案内で、ガーデニングのコーナーを目指す。


1Fの奥まったところにあったそこは、思ってた通り、草刈り機があった。

横にはちっちゃな耕耘機まである。

どちらも埃はかぶっているが、全然きれいな状態だ。


発電機から伸ばせるよう、延長コードも見つける。

あと、水中ポンプも見つけてそれも手に入れた。

ホームもあったが劣化したものが多く、ちゃんとしたものを見つけるのに苦労したが、なんとか使えそうなホースを長いのと短いの数本、手に入れた。

台車に載せて、店を出ようとしたところ、園芸コーナーを見つけて足を止める。


そこには色々な苗だったと思わしき枯れたものから、元気よく育って原型もわからないものなどが、ごちゃ混ぜに育っていた。


いくつか食べれそうな野菜を見つけて収穫をする。

ホームセンターで野菜を収穫するとはおもってみなかったけれど、トマトときゅうりと茄子は育ちやすいのか勢いよく生えていた。


ゴーヤもあったが、見て見ぬふりをした。

苦いのは、苦手だからだ。


そのコーナーの横に袋にはいったお目当てのものを見つける。


『ソレナアニ?』


幾つか手にとったところでたまが覗き込んできた。


「植物の種だよ」

『タネ?』

「これから野菜とか果物ができるんだ」

『ヤサイ?クダモノ?』

「食べ物だよ」

『ソレッテオイシイ?』

「うーん。好きな人も嫌いな人もいるかな」


そういうと、きになるのか、タネの入った袋をいろいろ見て興味深そうにしている。

パッケージは黄ばんでいたり、物によっては劣化してなんだか分からないものもあったが、ある程度はわかったので、とりあえず簡単に育ちそうで食べれるものを探す。


あとは腐葉土などの肥料や土を積めるだけ積めて、ホームセンターを後にした。


家に帰り、発電機をつけて草刈り機を起動させる。

たまが最初近づいてきたので、絶対にこれは近づいたらだめだ、と注意をし、家の勝手口に座って見てるように、と言うと、神妙な顔で

「ワカッタ」

と言った。


文明の利器を使った結果だが、庭の1/5も終わらなかった。

残念ながらはびこっている雑草は文明の利器を使っても手ごわく、なんとか井戸への道を開拓しただけで夕方近くになってしまった。


井戸を開けて、水中ポンプを下ろしてみる。


水に着いた音がしたので、水中ポンプのスイッチを入れると、機械音がしたあとで、ホースから水がでてくる。


近くにあったバケツに貯めてみると透明で綺麗な水が溜まっていく。

どうやら井戸はきちんと機能していて、水源も枯れてはいないようだ。


ホースから直接、頭から水をかぶってみる。汗をかいた体がすっと冷えて気持ちが良い。


『たまも!』

「あ、おい!」


勝手口で座ってみていたたまが走ってきてホースをとり、僕にも自分にもかける。


『冷タイ! 楽シイ!』

二人でずぶ濡れになったところで、寒くなってきたので水中ポンプを止め、発電機とポンプを家の中へともっていく。


芝刈り機と耕耘機は屋根のあるところに立てかけて、家にはいり、しまわれていたタオルでカラダを拭く。 

さっぱりしたところで、お湯を沸かし、トマトと茄子を塩とカップラーメンの粉で煮たスープと缶詰で夕食をとり、休むことにした。


たまはトマトも茄子も美味しかったらしく(カップラーメンの味の所為かもしれないが)気に入ったようだ。明日はキュウリをサラダにしてみようと思う。

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