◆第2話◇
◇第2話◆
その日は水曜日だった。
俺はサッカー部の朝練に出るために、家を早くでた。
君に出会ってからの朝練ははじめてだった。
俺が少し期待をしながら後ろを振り返ると‥‥‥
そこには期待通りに君が歩いていた。
君はきょとんとして俺をみている。
可愛い──────
俺は前を向いて歩き出した。
後ろから君の足音が聞こえる。
俺は真っ赤な顔を隠すように、下を向いて駅へと向かった。
このまま時が止まればいいのに‥‥と、
本気で思った。
俺は駅について、階段を上り、ちょうど到着した電車に乗り込んだ。
プルプルプル───
発車の合図が鳴ったとき、駆け込み乗車で君が俺の前に乗ってきた。
満員電車なので、俺と君の体はぴったりとくっついている。
駆け込み乗車で走った君は息を取り乱していた。
その生暖かい息が俺にかかる。
俺は我慢の限界だった。
君にふれたい………
もっと近づいていたい…
変態みたいなことを考えた。
俺は君から意識をはなすために、携帯を取り出しいじり始める。
その時、突然に急カーブが来た。
俺は君のほうに倒れ込んだ。
携帯をいじっていた左手が君の首筋に触れた。
「すみません。」
俺は素直に謝り、手を元の位置に戻した。
君は顔が真っ赤だった。俺は限界を越えてしまった。
しかし、痴漢はしたくない。
どうにもできず、次の駅で下りた。
しかし、君は下りなかった。
電車は発車する。
俺は窓越しの君と目があった気がした。