異世界レッドローチへの魔法講義開始
「よし、今日は魔法講義の日だ!全員、集合!」
俺は声を張り上げ、集まってきた異世界レッドローチたちを見渡した。スケルトンの兄貴も一緒に立って、彼らに向かって準備万端という顔をしている。今日は、魔物たちに追われるレッドローチたちに、少しでも生き延びるための魔法を教える日だ。
「お前たち、魔法って聞いたことあるか?」
俺が尋ねると、レッドローチたちは首を傾げながら俺を見つめている。どうやら、魔法という概念自体が彼らにはまだよくわかっていないらしい。そりゃそうだ、ゴキブリ族として生きてきた彼らにとって、魔法なんてものは遠い存在だったに違いない。
「まぁ、難しいことは後回しにして、とりあえずやってみようぜ。今日は基本的な視認妨害魔法からだ!」
スケルトンの兄貴も「任せとけ!」とばかりに胸を張っている。骨なのに、何か頼もしい感じが漂ってくるのは、やっぱり元冒険者だからだろうか。
「視認妨害魔法ってのは、簡単に言えば、敵に自分の姿を見せなくする魔法だ。お前たち、目立ちやすいからこそ、この魔法は必須だぞ!」
俺は説明しながら、早速簡単な魔法の動作を見せることにした。まずは、自分に少し魔力を集中させて、周囲の空気を歪ませる。
「ほら、こうやって自分の姿をぼやかすんだ。ちょっとやってみろよ。」
俺が手本を見せると、レッドローチたちが一斉に真似をし始めた。最初は少しぎこちなかったが、次第に彼らの姿が薄れていく。
「おお、できてるじゃないか!やるなぁ!」
スケルトンの兄貴も驚いた様子で拍手を送っている。どうやら、レッドローチたちは視認妨害魔法に向いているらしい。あの赤い甲羅が少しでも隠せれば、魔物たちから逃げやすくなるはずだ。
「ただし、この魔法はずっと使えるわけじゃない。魔力が切れたら、またすぐに目立っちまうから、上手くタイミングを見計らえよ。」
俺はそう念を押しながら、次の魔法の準備に取りかかった。
◇◇◇
「次は、カエル型の魔物が苦手な毒攻撃だ!これはお前たちにとって、かなり役立つはずだぞ。」
スケルトンの兄貴が得意げに言いながら、骨の指先をカエル型の魔物に似せた石に向けた。
「この魔法は、特定の毒を魔法で生成して、それを敵にぶつけるって感じだ。カエルには特に効くんだよ。体の中で広がって、気絶させることができる。」
「へぇ、そんな魔法があるんだな!」
レッドローチの一匹が目を輝かせて、俺たちの話に食い入るように聞いている。どうやら、カエル型の魔物に追われ続けてきたレッドローチにとって、これはかなり嬉しい情報のようだ。
「よし、まずは魔力を集めて、それを手のひらに集中させるんだ。そこから毒のエネルギーを作り出して、敵に投げつける。こうやって…」
スケルトンの兄貴が手本を見せ、緑色の液体が石に向かって飛んでいく。石に命中すると、すぐに毒の効果が広がり、石が一瞬で緑色に変わった。
「す、すげぇ…!」
レッドローチたちは驚きの声を上げ、次々に自分たちで試してみる。最初はうまくいかない者もいたが、次第にコツをつかんで、毒の魔法を発動できるようになってきた。
「おぉ、できたできた!これであのカエルどもを撃退できるな!」
俺も彼らの成長に感心しながら、次の魔法に移る準備を進めた。
◇◇◇
「さぁ、最後は雷魔法だ!これはちょっと上級者向けだけど、使いこなせればかなり強力だぞ!」
雷魔法は、敵を麻痺させたり、一撃で倒すことができる強力な魔法だ。特にカエル型の魔物は湿気が多いため、雷の攻撃に弱いという話をスケルトン兄貴から聞いていた。
「でも、雷魔法は少し難しいんだよなぁ。魔力のコントロールが重要だから、焦るなよ?」
俺は慎重に説明しながら、雷魔法の基本を教え始めた。
「まず、空気中の魔力を集めて、それを雷の形に変換するんだ。で、その雷を敵にぶつける。ただし、暴発することがあるから、くれぐれも注意してくれよ!」
俺が説明をしながら、スケルトン兄貴もまた見事な雷を石に向かって放った。ピカッと光が走り、石が爆音とともに砕け散る。
「おおおお!すげぇ…!」
レッドローチたちは完全に驚愕の表情だ。彼らにとって、雷魔法はまるで夢のような力に見えたのだろう。だが、実際に試してみると、そんなに簡単なものではない。
「よし、お前たちもやってみろ!」
俺の声に応えて、レッドローチたちは勇気を振り絞って雷魔法に挑戦する。しかし、最初は小さな火花しか出なかったり、全く発動しなかったりと苦戦していた。
「焦るな、魔力をもっと集中させるんだ。ゆっくりでいいから、感覚を掴め!」
俺がアドバイスを送りながら、彼らの様子を見守った。次第に魔力が集まり始め、ようやく一匹が雷を発生させることに成功した。
「やったぁ!できたぞ!」
その瞬間、他のレッドローチたちも次々と成功し、雷がパチパチと空気中に散っていく。
「すごいじゃないか、お前たち!これでカエル型の魔物も怖くないな!」
俺は笑顔で彼らを励ましながら、雷魔法の成功に満足していた。
◇◇◇
こうして、異世界レッドローチたちは視認妨害、毒攻撃、雷魔法の三つの魔法を使いこなすことができるようになった。これで彼らの地上での生活は少しは楽になるだろう。
「でも、まだ魔法の使い方を完全にマスターしたわけじゃないからな。これからも練習を怠らず、もっと上達していこうぜ。」
俺がそう言うと、レッドローチたちは一斉に「はい!」と元気よく返事をした。彼らの成長が嬉しくて、俺も胸を張って笑顔を返した。
「よし、これからも俺たちゴキブリ族として、互いに助け合って生きていこう!魔物なんかに負けるな!」
そう言いながら、俺は新たな冒険に向けて気持ちを新たにした。異世界でのゴキブリ族としての生き様は、まだまだこれからだ。
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