地上での初夜、ゴキブリたちの寝床大作戦
「なぁ、リーダー。夜ってこんなに暗かったっけ?」
ゴキブリ族の一匹がぼそっとつぶやいた。地上に出て初めての夜、俺たちは少し落ち着いた場所を見つけ、キャンプの準備をしていた。しかし、地下とは違い、地上は夜になると静寂と漆黒の闇が支配する。
「いや、これはヤバいくらい暗いな…」
俺も思わず顔をしかめた。地下の暗闇には慣れているはずの俺たちだが、地上の闇は何か違う。広大な空と不気味な静けさが、地下とは全く異なる恐怖を感じさせる。
「しかも、音が聞こえないってのが逆に不気味だな。地下だと常にどこかから水の滴る音やら、魔物の足音やらがあったけど、ここは静かすぎる…」
俺は周囲を見回しながら、小さなため息をついた。ゴキブリ族の戦士たちも、ピリピリとした緊張感を漂わせている。
「ねぇ、リーダー。本当にここで一晩過ごすの?もしかして、なんか襲ってきたりしないよね…?」
ゴキブリ族の一匹が不安そうに声をかけてきた。俺も確かに不安だが、ここまで来た以上、引き返すわけにはいかない。
「大丈夫だ。俺たちはゴキブリだぞ?いざとなったら、すぐに逃げられるだろ?」
俺は冗談混じりに返したが、誰も笑わない。むしろ、みんながさらに不安げな顔をしているのが分かる。やっぱり俺も内心ビビっているから、うまくごまかせなかったか。
「ま、とにかく寝床を整えようぜ。ここで立ち尽くしてても仕方ないしな!」
俺は強引に話を進めることにした。寝床を作れば少しは気が楽になるかもしれない。
---寝床作りの苦戦---
「リーダー、この場所どうっすかね?」
一匹のゴキブリ族が、木の根元を指さしながら聞いてきた。なるほど、木の陰に隠れていれば少しは安心感があるかもしれないが…。
「いや、でもなぁ…。木の根元って、何か危険な生き物が潜んでそうな気がするんだよな…。」
俺は少し考えてから言葉を選んだ。地上のことはほとんど分からないが、木の根元なんて、虫や小動物の絶好の住処になっている可能性が高い。寝ている間に奇襲されるのは勘弁だ。
「じゃあ、ここはどうです?この石の陰とか、なんかいい感じに隠れられそうっすよ。」
別のゴキブリ族が大きな岩を指さす。確かに、石の陰に隠れるのはゴキブリらしい選択肢かもしれない。
「いや、でもな…。岩の下って、蛇とかそういうヤバい奴らが出てくるイメージが強いんだよな。」
俺は少し困惑しながら返事をした。地上には地下と違って、蛇やカエルみたいなゴキブリにとっての天敵が多いはずだ。それを考えると、どこに寝床を作るべきか、正直なところ分からなくなってきた。
「おいおい、リーダー。何処もダメって言ってたら、俺たち寝る場所がなくなっちまうぞ?」
ゴキブリ族の一匹が軽く肩をすくめながら言ってくる。確かに、寝る場所を選り好みしている余裕はないかもしれない。俺は思い切って決断を下すことにした。
「よし、ここだ。ここに寝床を作ろう!周囲に岩と木があるし、ちょうどいい隠れ場所になりそうだ。」
俺は一番安定していそうな場所を選び、みんなに指示を出した。ゴキブリ族は素早く動き出し、葉や草を集めて簡易的なベッドを作り始めた。
---突然の襲撃!地上の脅威が迫る---
「ふぅ、これでなんとか一晩過ごせそうだな…」
俺がホッと一息ついたその瞬間、突然、遠くから不気味な鳴き声が聞こえてきた。
「……今、何か聞こえなかったか?」
俺は耳を澄ませた。まるで喉を潰したような、ぬるぬるとした音とともに、ズルズルと何かが地面を這っているような音が近づいてくる。
「や、やばいよリーダー!何か来る!」
ゴキブリ族の一匹がパニックになりながら俺に叫ぶ。俺も心臓が跳ね上がったが、冷静を装ってみせた。
「お、落ち着け!まずは敵がどこにいるか確認だ!とにかく隠れるぞ!」
俺たちは素早く近くの陰に隠れ、様子を伺うことにした。すると、目の前に巨大な影が現れた。それはぬるぬるとした皮膚を持ち、異様に大きな口を開けた、カエルのような魔物だった。
「うわぁぁぁ!あれは何だ!?地上の魔物って、あんなのが普通にいるのかよ!」
俺はゴキブリ族とともに、必死で声を抑えながら身を縮めた。だが、その魔物は明らかにこちらに向かって進んでくる。
「リーダー、どうするんですか!?あいつ、こっちに向かってるよ!」
ゴキブリ族の一匹が焦った声で叫ぶ。俺も思わず喉が鳴りそうになるが、ここで冷静さを失ったら全員おしまいだ。
「……よし、こっちだ!」
俺は決断を下し、近くの岩陰に素早く移動するよう指示を出した。ゴキブリ族たちは素早くそれに従い、音を立てないように動いた。
---ゴキブリたちの反撃!勇気を出して戦う瞬間---
「リーダー、これどうにかして倒す方法ないっすか?」
ゴキブリ族の一匹が囁き声で聞いてくる。俺はじっと魔物の動きを観察し、策を練る。
「……奴は動きが鈍い。でも、その口がやばい。もし捕まったら一撃で飲み込まれるな。」
俺は独り言のようにつぶやきながら、状況を冷静に分析する。奴は間違いなく強敵だが、俺たちゴキブリ族は小さくて素早い。もしうまく立ち回れれば、勝てるかもしれない。
「よし、こっちから一斉に飛びかかって、あの目を狙うんだ。奴の目が見えなくなれば、少なくとも俺たちに気づけなくなるはずだ!」
俺は冷静に指示を出し、ゴキブリ族の仲間たちに攻撃のタイミングを伝えた。そして、全員で一斉に魔物の目に向かって飛びかかる。
「せーの、行けぇぇぇ!」
俺の号令でゴキブリ族たちが一斉に跳び上がり、魔物の目を狙う。奴は驚いたように大きく口を開けて反撃しようとするが、俺たちの動きが速すぎて追いつかない。
「よっしゃ、今だ!一気に攻めろ!」
俺はさらに仲間たちを鼓舞し、次々と魔物に攻撃を仕掛ける。奴の目はつ
ぶれ、視界が奪われたことで混乱し、暴れ回り始めた。
「リーダー、今がチャンスです!逃げましょう!」
ゴキブリ族の一匹が叫ぶ。俺はそれを聞いて頷き、全員に撤退を指示した。
「よし、全員、退却だ!」
俺たちは素早くその場を離れ、魔物が見失っている隙に逃げ切ることに成功した。
---地上での初夜、無事に終わるも…---
「ふぅ、どうにか無事だったな…」
俺は木陰で一息つき、仲間たちの無事を確認した。全員、無事に生き残っているのを見て、ほっと胸を撫で下ろす。
「地上ってやべぇな…これが毎日続くんだったら、俺たちの心臓が持たないぞ…」
俺は思わず笑いながら呟いたが、みんなも同じように苦笑いを浮かべている。
「でも、これで俺たちも地上で生きていけるってことが分かった。次はもっと慎重に行動すれば、地上でもやっていけるさ。」
俺は仲間たちを元気づけ、次の一歩を踏み出す決意を固めた。地上での生活はまだ始まったばかりだが、俺たちゴキブリ族なら、どんな困難も乗り越えられるはずだ。
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