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異世界転生したらゴキブリでした  作者: Right
序盤: 地下での生誕と生存のための戦い
31/64

スケルトンとの出会い、そして友好的な関係

「誰だ、お前たち!?」


突然響いた低い声に、俺たちは全員その場で凍りついた。まさか、この排水路の奥にこんな声が響くなんて…しかも、明らかに敵対的な雰囲気を感じる。


「リ、リーダー…どうする?まさか、こんなところに誰か住んでるなんて聞いてないぞ!」


ゴキブリ族の戦士が震えながら俺に問いかけてくる。いや、俺だってこんな展開を予想していたわけじゃないさ。排水路にたどり着いたら人間がいないって安心してたんだが、どうやら俺たち以外にもこの場所を隠れ家にしているやつがいるようだ。


「ま、待て、話せば分かるかもしれない。敵意がないことを伝えれば、きっと大丈夫さ…多分な。」


俺は震える心を抑えつつ、勇気を振り絞って声のする方に向かって歩み寄った。辺りは暗くてよく見えないが、徐々に声の主が視界に入ってくる。


「な、なんだこれは…!?」


俺が見たのは、骨だけの骸骨――そう、スケルトンだった。体中が白骨化しており、目の穴からは淡い青白い光が漏れている。普通なら恐怖で叫び出したくなるような存在だが、このスケルトンはどこか妙に落ち着いた感じがする。


「お前たち、何をしている?ここは俺の隠れ家だ。無断で侵入するとはどういうつもりだ?」


スケルトンは、低い声で俺たちに問いかけてきた。いや、冷静に聞いてみれば、そんなに怒っているわけでもなさそうだ。ただ、勝手に侵入されたことに困惑しているだけかもしれない。


「す、すまない!俺たちは決して悪気があったわけじゃないんだ。新しい隠れ家を探していて、たまたまここに迷い込んだんだ。敵意は全くない!」


俺は必死に言い訳を並べた。ここで敵対してしまったら、スケルトン相手に戦うことになる。それだけは避けたいところだ。


「ふむ…そうか、お前たちはただの迷い者か。」


スケルトンはしばらく考え込んでいたが、やがてその青白い目が俺たちをじっと見つめた。


「まあ、いいだろう。ここは俺の隠れ家だが、特にここを守る理由もない。俺はスケルトン、元は冒険者だったが、今ではただの骸骨に過ぎない。」


「元、冒険者…?」


俺はその言葉に驚いて、さらにスケルトンの話に耳を傾けた。どうやらこのスケルトン、ただのモンスターではなく、かつては人間として生きていた冒険者だったらしい。


「そうだ。俺はかつて、人間としてこの地下を冒険していた。だが、運悪くここで命を落とし、その後、こうしてスケルトンとして蘇った。」


スケルトンは淡々と自分の過去を語り始めた。その口調には哀愁が漂っているが、どこか達観したような雰囲気もある。


「えっと、つまり…お前は人間だった頃の記憶を持ったまま、スケルトンになったのか?」


俺は少し戸惑いながらも、スケルトンに確認してみた。スケルトンが頷く姿はなんとも不気味だが、どうやら敵対する意図はなさそうだ。


「そういうことだ。人間だった頃の記憶も、技術もすべて残っている。だが、今ではただ骨だけが動いている。哀れだろう?」


スケルトンは苦笑い…いや、スケルトンに表情はないから、どう表現すればいいんだろう…?まあとにかく、俺たちにその哀れな状況を笑い飛ばすような態度を見せた。


「いや、まあ、哀れかどうかはさておき…スケルトンでありながら、こんなに冷静に話してくれるやつがいるとは思わなかったよ。」


俺は少しだけ安心しながら、スケルトンと会話を続ける。どうやらこのスケルトン、友好的なやつらしい。少なくとも俺たちを襲う気はなさそうだ。


「で、俺たちは新しい隠れ家を探しているんだが…お前、この場所に長く住んでいるのか?」


俺は気を取り直してスケルトンに質問した。この排水路が安全な場所なのか、スケルトンが知っているなら教えてほしい。


「この場所にはもう何年も住んでいる。人間が来ることはほとんどないし、モンスターもあまり近づかない。ただ…まあ、少し湿っぽいのが難点だな。」


スケルトンが苦笑いするように肩をすくめる。いや、スケルトンだから肩も骨だが、その仕草が妙に人間くさくて笑ってしまう。


「湿っぽいのはむしろ俺たちにとっては問題ない。むしろ快適だよ。ここなら安全そうだな…。」


俺は少し安心しながら、周りを見渡した。確かにこの排水路は人間があまり来ない場所で、モンスターもほとんど見かけない。しかもスケルトンが長年住んでいるなら、ここは隠れ家として適しているかもしれない。


「なあ、スケルトンさん、俺たちもこの場所に住ませてもらってもいいか?」


ゴキブリ族の戦士が少し緊張しながらスケルトンに尋ねる。彼もスケルトンの存在に少しは慣れてきたようだ。


「構わないさ。俺は特にこの場所に執着しているわけじゃない。お前たちがここを使いたいなら、自由に使えばいい。俺はただ、静かに暮らしたいだけだからな。」


スケルトンは穏やかに答えた。どうやら彼は俺たちの仲間として受け入れてくれるようだ。


「おいおい、スケルトンなのに随分と人間くさいな…。まるで昔の友達みたいじゃないか。」


俺は冗談っぽく言ってみたが、スケルトンは意外にも笑って答えてくれた。


「ハハハ、まあ、スケルトンだからって、すべての感情を失うわけじゃない。俺だって冒険者だった頃の感覚が残っているんだよ。友達ができるのは悪いことじゃない。」


スケルトンが軽く肩をすくめながら笑う。いや、スケルトンに肩をすくめるとか、笑うとか表情の話はしないでおこう。でも、この会話のやり取りがどこか温かい感じがして、俺たちは少しずつスケルトンと打ち解けていった。


スケルトンとの共存の始まり


「じゃあ、これからはお前と俺たちでここを守っていくってことになるな。」


俺はスケルトンに向かって手を差し出し、友情の証を交わすような仕草を見せた。スケルトンは一瞬戸惑ったようだったが、やがて骨の手を差し出して俺の手を握った。骨と触れ合うのはちょっと不気味だったが、彼との友情の証としては大事な一歩だ。


「これで仲間だな。よろしく頼む、スケルトン。」


「こちらこそ。これからはお前たちと共にこの場所を守っていこう。」


スケルトンは穏やかな声でそう答えた。こうして俺たちは新たな仲間、スケルトンを得て、浅部での生活をスタートさせることになった。


「そういえば、スケルトン、お前って料理とかできるのか?」


俺はふと気になって、スケルトンに尋ねてみた。冒険者だった頃の技術を持っているなら、もしかしたら料理なんかも得意なんじゃないかと期待していたのだが――。


「料理か?まあ、かつては得意だったが…今では味覚がないからな。調味料を使っても味がわからんのだ。」


スケルトンは残念そうに肩をすくめた。確かに、スケルトンに味覚があるわけじゃないから、料理をするには少し不向きだ。


「そっか…まあ、いいさ。俺たちがその分、うまい料理を作るから、お前も一緒に楽しもうぜ!」


俺は明るく言ってスケルトンを励ました。これからはゴキブリ族、ネズミ族、そしてスケルトンとの共存生活が始まるのだ。


「おいおい、リーダー。スケルトンと一緒に暮らすことになるなんて、誰が想像したよ?」


ゴキブリ族の戦士が笑いながら俺に話しかけてくる。確かに、こんな展開は誰も予想していなかったが、これも異世界ならではの出来事だろう。


「まあ、これが異世界ってやつだ。何が起こるかわからないのが面白いところさ。」


俺はそう答えながら、スケルトンとの新たな生活に期待を膨らませた。これからも冒険は続くが、俺たちは仲間と共に生き延びるために頑張っていく。

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