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異世界転生したらゴキブリでした  作者: Right
序盤: 地下での生誕と生存のための戦い
30/64

浅部での隠れ家探しと新たな出会い

「ふぅ…とりあえず助かったな。」


俺たちは古びた壁の陰に身を隠し、人間の足音が遠ざかるのをじっと待っていた。緊張感が漂っていたが、なんとか人間に見つかることなく、無事にやり過ごすことができた。


「おい、リーダー、さっきのはマジで危なかったぞ!もうちょっとで見つかるところだったじゃないか!」


ゴキブリ族の戦士が少し怒りながら俺に詰め寄る。いやいや、俺だって見つかりたくなかったんだから、その気持ちはよく分かるよ。


「いや、俺だって焦ったさ。でも、ここで動いたらもっとヤバかっただろ?静かにしてたからこそ、見つからなかったんだよ。」


俺は冷静に答えたが、内心では「危なかった…」とホッとしていた。さっきの人間たちがあと一歩でもこちらに近づいていたら、間違いなく見つかっていたところだ。


「とにかく、これでここが人間のテリトリーってのは分かったな。でも、だからといって浅部から引き返すわけにはいかない。俺たちはここで安全な隠れ家を見つけなきゃいけないんだ。」


俺は仲間たちにそう言い聞かせ、再び気を引き締める。浅部には確かに人間が多いが、同時にここには俺たちが生き延びるための資源も豊富にあるはずだ。今は一時的に隠れ家を見つけるのが最優先だが、将来的にはこの場所を拠点にすることだってできるかもしれない。


「で、次はどこを探すんだ?さっきみたいな危険な場所じゃなくて、人間が絶対に入ってこれない場所を見つけないとな。」


ネズミ族のリーダーが俺に問いかけてくる。確かに、もう少し安全な場所を探さなきゃならない。でも、人間がいない場所ってのはどこにあるんだ?


「そうだな…人間が嫌がる場所といえば…狭くて湿っぽい場所がいいんじゃないか?それに、少し暗いほうが安心だろうし。」


俺はふと考え込みながら答えた。ゴキブリやネズミにとって、狭い隙間や暗い場所はむしろ居心地がいい。人間が嫌がる場所を逆に利用して、安全な隠れ家を見つけることができれば、一石二鳥だ。


「おい、リーダー、それならさっきの排水路ってどうだ?人間がそう簡単に入ってこれるような場所じゃなかったぞ。」


ゴキブリ族の戦士が提案してくる。確かに、排水路なら人間もあまり入りたがらないはずだ。それに、狭くて湿っぽいとなれば、俺たちにはちょうどいい場所かもしれない。


「なるほど、排水路か…。それはいいかもしれないな。よし、まずはその排水路を探してみよう。そしたら、その先に安全な隠れ家が見つかるかもしれない。」


俺はみんなにそう指示を出し、再び調査を始めることにした。浅部には他にもまだ見つかっていない隠れ家があるはずだ。


「で、この排水路ってのはどっちにあるんだ?」


俺はゴキブリ族の戦士に聞きながら、辺りを見回した。浅部に入ったばかりで、まだ地形がよく分かっていないが、なんとなく湿った空気が漂っている方向が怪しい。


「こっちだと思うんだが…ちょっと待ってくれ、匂いを嗅いでみる。」


ゴキブリ族の戦士が鼻をひくつかせながら周囲を探り始めた。彼の嗅覚は優れているから、この湿っぽい空気の中から排水路の匂いを嗅ぎ取ることができるはずだ。


「おい、リーダー、あっちだ!どうやら排水路の入り口があったみたいだぞ!」


ゴキブリ族の戦士が興奮気味に叫び、俺たちを誘導してくれる。彼が指差す方向には、壁の隙間から水が滴り落ちるような場所があった。おそらくその先に排水路が続いているのだろう。


「よし、行こう!」


俺たちは慎重にその隙間を進み、排水路へとたどり着いた。薄暗くて湿っぽい場所。これはまさに俺たちが探していた場所だ。


「いい感じじゃないか!ここなら人間も入ってこないだろう。」


ネズミ族のリーダーが満足そうに声を上げた。確かに、この狭くて臭い排水路に、人間がわざわざ入ってくるとは思えない。だが、次の瞬間――。


「お、おい…これって…。」


ゴキブリ族の戦士が何かに気づいて声を震わせた。俺がその先を覗き込むと、目の前には想像もしていなかった障害物が立ちはだかっていた。


「げっ!何だこの大量のゴミは…!?」


俺の目の前には、膨大な量のゴミが山のように積み上がっていた。どうやら、排水路の先には人間が捨てたゴミや廃棄物が堆積していて、まるで巨大なゴミの壁ができているようだった。


「うわぁ…これ、どうすんだよ…。」


ゴキブリ族の戦士が困惑した顔でつぶやいた。排水路にたどり着いたはいいが、こんなに大量のゴミが詰まっていては進むことができない。


「仕方ない、ここはゴキブリの俺たちの出番だな。」


俺はそう言って前に進み出た。ゴキブリの俺たちは狭い隙間をくぐり抜けるのが得意だ。こんなゴミの山だって、なんとかして通り抜けることができるはずだ。


「よし、俺たちで道を作るぞ!みんな、少しずつゴミをどかして進むんだ!」


俺は仲間たちに指示を出し、少しずつゴミの山を掘り進めていった。思ったよりも重いし、臭いし、正直言って嫌な作業だが、ここを乗り越えなければ先に進めない。


「うぅ…なんだこの臭いは…まるで腐った何かが混じってるような…。」


俺は鼻をつまみながらゴミをかき分けていった。ネズミ族もゴキブリ族も、嫌そうな顔をしながら作業を進めているが、みんな一心不乱に頑張っている。


排水路の先にあるもの――意外な発見


「やっと道が開けたぞ!」


ゴキブリ族の戦士が歓声を上げた。どうやらゴミの山を掘り進んで、先に進める道が見つかったらしい。俺たちはその言葉に勇気を得て、さらに進んでいくことにした。


「さぁ、これで少しは先に進めるな。」


俺は満足そうに笑いながら、さらに奥へと歩を進めた。排水路の先は狭くて暗いが、これなら人間も絶対に入ってこれない。しかも、湿っぽい空気が漂っていて、俺たちにはぴったりの場所だ。


「これなら新しい隠れ家にするには十分だな。」


ネズミ族のリーダーも満足そうにうなずく。確かに、ここなら資源も豊富だし、ゴミさえ片付ければかなり快適な場所になるだろう。


だが、次の瞬間――。


「ちょっと待て、これ…何だ?」


ゴキブリ族の戦士が突然立ち止まり、何かに気づいたように声を上げた。俺も彼の視線の先を見つめると、そこには信じられない光景が広がっていた。


「こ、これは…!?誰かが住んでるのか?」


目の前に現れたのは、まるで人が使ったような道具や家具が散乱している部屋だった。古びた椅子やテーブル、そして壊れたランタンが無造作に置かれている。


「まさか…ここ、もう誰かに使われてるんじゃないか?」


俺は一瞬で緊張が走った。排水路の先にこんな場所があるなんて思ってもみなかった。どうやら、俺たち以外にもこの場所を隠れ家として使っている者がいるようだ。


「リーダー、どうする?このまま進んでいいのか?」


ネズミ族のリーダーが不安そうに問いかけてくる。確かに、誰かが住んでいるかもしれない場所に勝手に侵入するのはリスクがある。


「うーん…まぁ、誰が住んでるのかは分からないけど、ちょっと様子を見てみよう。下手に騒ぎを起こすと厄介だから、静かに進もう。」


俺たちは慎重にその部屋を調査することにした。だが、その時――。


「誰だ、お前たち!?」


突然、低い声が響き渡り、俺たちは一斉に固まった。まさか、住人が戻ってきたのか…?


「げっ、まずいぞ!どうする、リーダー?」


ゴキブリ族の戦士が焦った声で問いかけてくる。いやいや、ここでビビって逃げるわけにはいかないだろ!


「落ち着け!俺たちはただの調査隊だ。ここに住むつもりはないんだって、説明すれば大丈夫だろう!」


俺は強がってそう言ったが、内心はドキドキしていた。果たして、俺たちはこの浅部で無事に新しい隠れ家を見つけることができるのか…?

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