強大な魔物と遭遇、地下の深部へ落下
「ふぅ…最近は逃げるのにも慣れてきたな。俺もさすがに、ゴキブリの生き方ってやつを理解してきた感じだぜ。」
地下での日々が続く中、俺はすっかり「逃げの達人」になっていた。再生能力もあるし、狭い隙間を通るスピードも速い。どんな魔物に遭遇しても、即座に逃げる判断ができるようになった。まあ、戦うのはまだ無理だけど、逃げればいいんだから別に問題ない。
「はは、もう俺に追いつけるやつなんていないだろ。ネズミ族もムカデもスケルトンも、みーんな置いてけぼりさ!」
自信満々の俺。最近はあまりにもうまくいきすぎて、少し調子に乗っていた。地下の生態系にうまく馴染んで、逃げては隠れ、時々うまい食料にありつく。そんな生活が続くと、どこかで「このままなんとかなるんじゃないか?」と思い始めるものだ。
「まぁ、そりゃあ一応警戒はしてるけどさ。そんなにやばい奴なんて、そうそう出会うわけがないって。」
油断から始まる不運な遭遇
そんな風に自信たっぷりで地下を歩いている時だった。俺はいつものように狭い通路をゆっくり歩いていた。そこまで急ぐ必要もない。最近は余裕を持って行動できるようになってきたからだ。
「やっぱり、日々の努力って大事だなぁ。ゴキブリライフにも慣れれば楽になるもんだ。」
まるで自分がこの地下のベテランであるかのように、油断しきった俺。そんな時――突然、目の前に巨大な影が現れた。
「ん? なんだこれ…?」
その影は、俺のゴキブリ脳では理解しきれないほど大きな存在だった。まさに異世界的な圧倒的存在感。息を呑むほどに巨大で、そして圧倒的な威圧感を放っている。俺はその姿をじっと見上げ、思わず口を開けた。
「え…え、これ…ヤバいんじゃね?」
俺の目の前に現れたのは「大ムカゴリラ」という異形の怪物だった。巨大なゴリラの体にムカデのような脚が無数についており、その一つ一つの足が鋭く地面を叩きつけている。まるで地響きのような音が俺の耳に響いてくる。
「な、なんだよこいつ…! これ、俺絶対に無理だろ!?」
今まではゴキブリの素早さと再生能力で何とか乗り越えてきたが、これはさすがに次元が違う。俺が逃げるどころか、息をする暇も与えない圧倒的な存在感。その巨大な体が俺に迫ってきた。
「ヤバいヤバいヤバい!逃げないと!」
無謀な逃走劇が始まる
俺は慌ててその場から全速力で逃げ出した。だが、この「大ムカゴリラ」の速度は予想以上に速い。ムカデのような無数の脚で地面を這うようにして迫ってくる。俺のゴキブリ足がどれだけ速くても、この異常な速度には到底追いつけない。
「おいおい!これ、速すぎだろ!ゴリラにムカデを混ぜるとか、誰だよこんな化け物作ったやつ!」
必死に逃げ回る俺。狭い通路や隙間をうまく利用しようとしたが、「大ムカゴリラ」はその巨大な体で通路を軽々と壊しながら進んでくる。隙間に逃げ込む暇もなく、すぐに追いつかれてしまった。
「ちょっと待てよ!こんな展開、聞いてないってば!」
俺はもう完全にパニック状態。地面が震えるたびに、体が勝手に跳ね上がる。まるで地震が起きているようだ。
「再生能力があっても、これはさすがに無理だって!」
そう叫びながら、俺はさらに地下の奥深くへと突進していく。目の前に見えてきたのは、大きな崖だ。崖の向こう側は真っ暗で、何も見えない。
「おいおい、これって落ちたらヤバいやつじゃないか?」
そう思った瞬間、背後から「大ムカゴリラ」の巨大な脚が崖の端を叩きつけた。俺はその衝撃で足を踏み外し、崖から滑り落ちてしまった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
俺の叫び声が地下に響き渡り、体が宙を舞った。そして、そのまま真っ暗な地下の深部へと落下していく。どこまで続くかわからない暗闇の中で、俺は再び自分の油断を痛感していた。
「くっそ…調子に乗ってたら、こんな目に遭うんだな…」
地下のさらなる深部へ落下
落下する最中、俺はようやく冷静になった。そうだ、ここ最近調子に乗りすぎていた。ゴキブリとして生き延びるスキルが上がったからといって、油断してはいけなかったのだ。
「俺、ゴキブリだけど…まだまだ甘かったな…」
地上での生活とは違う。ここは地下世界、異世界だ。常に危険が潜んでいて、油断は命取りになる。それを忘れていた自分に、俺は落下しながら反省しきりだった。
「これからは、もう少し慎重にやろう…って、まずはこの落下からどうにかしないと!」
俺はどうにか体勢を整えながら、深い地下へと落ちていった。暗闇の中で何が待っているのかはわからないが、これ以上無茶はしないと決意した。
「次こそは、もっと頭を使って生き延びるぞ…!」
そして――俺は地下のさらなる深部へと消えていった。




