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異世界転生したらゴキブリでした  作者: Right
序盤: 地下での生誕と生存のための戦い
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地下迷宮のゴキブリ転生

思いついたので挑戦。

よろしくお願いします。

「なんだってんだよ、この世界は…!」


暗く狭い隙間に身を潜め、俺は必死に息を整えていた。周囲は息苦しいほどの湿気に包まれ、不気味な音が耳に響く。何か巨大な存在が地面を這うように動いている。俺の頭の中はぐちゃぐちゃで、何が起きているのか理解できていなかった。


「あれ…俺、死んだんだよな…?」


薄れゆく記憶の中で、俺は確かに車に轢かれた。そう、娘を庇った瞬間のことだ。俺はサラリーマンとして忙しい日々を送っていたが、唯一の救いは幼い娘だった。あの日、仕事帰りに久しぶりに娘と一緒に散歩していた。久しぶりの休日で、娘が嬉しそうに手を振り上げながら話していたことを覚えている。


「パパ、アイス食べたい!」


あの笑顔――俺はその笑顔を見た時、何もかもがどうでもよくなったんだ。残業続きで疲れ切っていたけど、娘の笑顔がすべてを癒してくれた。アイスを買ってあげようと、近くの横断歩道を渡ろうとしたその瞬間だった。猛スピードで突っ込んでくる車――俺は反射的に娘を庇った。


「危ない!」


叫び声が響く中、俺は強烈な衝撃を感じた。そして、その後は何も覚えていない。暗闇の中に吸い込まれるように意識が途絶え、次に目を覚ました時には、全く違う世界にいた。


「俺、死んだんだよな…」


目の前に広がるのは、暗く湿った地下の迷宮。体を動かすと、今までとは全く違う感覚があった。手を動かす――いや、手じゃない。そこにあったのは、黒く光る硬い殻で覆われた何か。四肢も異様に多く、素早く動く。


「え、なんだこれ…俺の体、どうなってる?」


俺は恐る恐る自分の体を見下ろした。そこにあったのは、ゴキブリそのものの姿だった。黒光りする体、細かく動く脚、そして触角――そう、俺はゴキブリに転生してしまったのだ。


「ちょっと待てよ…なんでゴキブリ?しかも地下!?異世界転生って、もっとカッコいいもんじゃなかったのか?」


俺は思わず声を上げたが、誰も返事をする者などいない。目の前に広がるのは、巨大な迷宮のような地下世界。石造りの壁が湿気で光り、苔やカビが壁や床にびっしりと生えている。その奥には腐った食べ物や古びた木箱が積み重なり、嫌な匂いが漂っていた。


「まさか、こんな世界で生き延びなきゃいけないのか?」


呆然とする俺の耳に、足音が聞こえてきた。近づいてくるのは、巨大な何か――地を這うような音が、周囲を包み込んでいる。俺はとっさに隠れる場所を探し、狭い隙間に身を滑り込ませた。


「まずい…」


息を潜めて、周囲の様子を伺う。暗闇の中で、巨大なコウモリが翼を広げて飛んでいた。音もなく通り過ぎていくその姿に、思わず冷や汗が流れた。自分がゴキブリでよかったと思う瞬間だった。狭い隙間に体を押し込めることができたのは、この姿のおかげだ。


「ゴキブリであることに感謝する日が来るとは…だけど、これで喜べるかよ!」


そう呟きながらも、体力の限界が近づいていた。俺は逃げるばかりで、何もしていない。しかも、ゴキブリとしての能力すらまだ理解していない。自分の体をじっと見つめ、少しずつ慣れようとする。ゴキブリとしての素早さ、視覚、そして触覚――これをどうにかして活かさないと、生き延びられないのだ。


「だって、これはゲームじゃない…リアルすぎる…!」


地下に閉じ込められたこの世界は、俺が知っている異世界とは全く違っていた。ファンタジーの冒険でもなく、魔法もない。ここで求められるのはただ一つ、生存能力だ。


息を整えた俺は、再び足音が近づいてくるのを聞いた。今度はさっきのコウモリとは違う。音は小さいが、その数は圧倒的に多い。細かな足音が、まるで無数の小さな生物が集団でこちらに向かっているようだった。


「まさか、今度は…」


恐る恐る振り返ると、視界に入ったのは無数の小さな蜘蛛だった。蜘蛛に似たモンスターが、何十匹も俺の方へと迫ってきている。


「ちょ、またかよ!俺、ただ水を飲もうとしただけだぞ?」


俺は慌てて狭い通路を駆け抜けた。ゴキブリの本能が働き、素早く身を翻しながら逃げる。だが、蜘蛛たちはしつこく追いかけてくる。


「くそ…ここまで来て、捕まるわけにはいかない!」


全速力で走り、狭い隙間をすり抜けながら逃げる。だが、足音はどんどん近づいてきている。俺の心臓はバクバクと音を立て、全身から汗が噴き出した。背後の蜘蛛たちが、一気に俺に襲いかかろうとしているのが感じ取れる。


「うわぁぁぁ!誰か助けてくれぇぇぇ!」


叫びながらも、俺はさらに奥深くへと進んでいった。この迷宮には終わりがあるのかどうかもわからない。ただひたすら、逃げ続けるしかなかった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] エルフとかドラゴンとか…チート系に転生する主人公の世界が多い中で、まさかあの恐怖の“Gに転生とは…! その状況でも逞しく生き抜こうとする主人公の適応力と、その物語を書くそちらの度胸に色々な…
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