523回目 誰もやってくれないから、自分でニート生活を作ってるのだ 6
外が戦乱で騒がしい時期。
トモルの領地も安泰とは言いがたかった。
あちこちに存在するモンスターの巣。
ダンジョン化してるそれらを破壊している頃だった。
その頃からモンスターの動きにおかしな兆候が見られた。
今まではバラバラに行動していたのだが。
トモルが開拓と開発を推し進め始めた頃に、動きが変わった。
まとまってトモル達の方に襲ってくるようになっていた。
それまでは野生の動物たちのように、それぞれの縄張りの中で活動していた。
行動範囲がある程度限定されていた。
その中でモンスターも生活している。
攻撃を仕掛けるのは、その中によそ者が入った時。
それか、増大した群れの一部が、新天地を求めて外に出ていく時だ。
そんなモンスター達が、突如まとまって行動を始めた。
縄張り内で結束していただけのモンスター。
それらがより大きな一つのまとまりに再編された。
そして、縄張りや群れなどの垣根をとっぱらって行動するようになった。
その矛先は常にトモル達の勢力圏に向けられた。
大挙して押し寄せるモンスター。
それを迎撃する軍と警察と冒険者。
騒動の大きさは、いっそ、戦争と言えるほどだった。
事態を重く見たトモルは、自ら状況を確かめにいこうとした。
だが、その前に子供達と孫達が動いた。
子供と孫も、トモルとその部下によって鍛えられていた。
トモルのような人を超越した能力は持ってなかったが。
それでも、鍛え上げたレベルは人類の頂点水準にまで高められていた。
この子供と孫達がモンスターをかき分けて調査を敢行。
その結果、強力なモンスターが生まれた事を突き止めた。
強力なモンスター。
巣をダンジョン化させるどころではない。
複数のダンジョンを支配下におくほどの存在。
そのモンスターが、モンスターを操っていた。
トモルはこれを、魔王と呼んだ。
モンスターを統べる、王たる存在として。
これを知ったトモルは、すぐにでも魔王を倒しに行こうとした。
だが、これまた子供達と孫達に止められた。
「研究を進めていてくれ」
その方が長期的に見て利益が大きいとの事だった。
やむなくトモルは、自宅で研究を続行。
その間に、トモルの子供と孫達が問題を片付けた。
軍隊によってモンスターを殲滅。
そうして出来た穴をぬって、モンスターの巣を破壊。
そうして魔王の拠点付近の巣を破壊し、魔王のダンジョンへと突入。
後に魔王城と呼ばれるダンジョンは、トモルの子供と孫達。
そして、軍隊の兵士の突入を受けた。
歩兵銃とロケットランチャーとプラスチック爆弾その他諸々をもった兵士達。
それらもダンジョン狭しと暴れまわった。
かくてその奥にいた魔王は倒され。
魔王を中枢としていたダンジョンも崩壊。
トモルの領地と、下手すれば大陸全土に、やがては他の大陸にも及んだかもしれない危機は破壊された。
その事を、ヒライワツミ王国その他の国々は知ることもない。
誰も知らないうちに、世界…………というか人類の危機は発生して終息した。
「出番もなくなったか」
魔王討伐の報告を受けて、トモルはそう呟いた。
自分の巨大な能力を叩きつける敵。
それが必要な状況。
それも消えていくんだなと感じた。
となれば、やる事は限られる。
『長寿』によって若さを保つ女房達といちゃつくか。
ひたすらに思いつく考えをまとめて理論にしていくか。
それくらいしかやる事がなかった。




