521回目 誰もやってくれないから、自分でニート生活を作ってるのだ 4
トモルが見つけた魔術の仕組み。
それによって作られる新たな魔術。
それも人々の生活に様々な恩恵をもらしていく。
科学によって一旦は隅に追いやられた感のある魔術。
だが、より強力な、より効果的な術が作られていくにつれ、価値を見直されていく。
魔術が持つ本来の利点を。
それは決して科学に劣るものではない。
魔術の利点は、道具を用いずに様々な事が出来る事だ。
火をおこすといった事は、科学が発達してきたトモル領においても役に立つ。
単純にマッチやライターとして使うなら便利だ。
このように、道具に頼らずともそれなりの事が出来る。
これが魔術のもつ利点である。
また、遠方を見る、顕微鏡のように小さなものを見る。
望遠鏡や顕微鏡のような事も出来る。
携帯電話や通信機を持たずとも、遠距離の会話が出来る。
どこになにがあるのかを探知・捜索する事も出来る。
ある程度の効果を得るには、それなりにレベルをあげねばならない。
それが道具よりも不便な所ではある。
だが、ある程度のレベルになれば、何も持たなくても様々な事が出来るようになる。
このあたりが魔術の利点になる。
ただ、科学が発展するにつれて、こういった事は顧みられなくなった。
道具を使った方が早いからだ。
いちいち魔術のレベルをあげる必要もない。
しかし、新たに作られる魔術はこの考えを変えていく。
これまでの魔術は、効果がそれほど高いものではなかった。
あるいは、効率が悪かった。
言ってしまえば、低レベルで威力の低いもの。
それしかなかった。
より強力な魔術というものがない。
しかし、仕組みが分かってきた事で、より強力な魔術も作られていく。
戦闘においては、一人で大砲や爆弾並の威力を発揮する。
研究開発においては、原子分子などの仕組みや意味を見いだせる。
それだけの効果をもたらすようになっていく。
こうなると、様々な分野で魔術を用いる機会も増える。
また、効率も格段によくなった。
今までは多くの魔力を消費する割に威力が低かった。
それが、仕組みが分かる事で無駄が省かれていく。
以前と同じ魔術を使っても、消費する魔力は減った。
これにより、利便性が格段にあがった。
こうして魔術が再び復権していく。
生活に便利な程度ではあるが、魔術を身につけ始める者も増えた。
そのほとんどが、マッチやライターの代わりに。
懐中電灯代わりに。
擦り傷を治す程度に。
失くし物や落とし物を探すのに。
そういった事に用いる程度ではある。
だが、生活において便利なものではあった。
また、高レベルの魔術を身につけた者は、やはり重宝される。
科学が作り出す道具や機械ではまだ解明できない部分。
それを魔術が補っていく。
それに、科学が解明した世の仕組みも魔術を強化していく。
それぞれ互いに足りない部分を補いあうようになっていく。
トモル領の発展は、こうして更に進んでいく。
科学においては宇宙に向かい。
魔術においては、心霊・霊界に向かっていく。
これらもトモルの手を離れ、研究者達が事を進めていく。
おかげでトモルは、時折思いつきを発表するだけで良かった。
それらも研究者達が受け取って、新たな何かを生み出していく。




