520回目 誰もやってくれないから、自分でニート生活を作ってるのだ 3
生活そのものは安泰だ。
株の配当金などのおかげで金が自動的に入ってくる。
いきなり不況や不景気にならない限りは問題ない。
開拓・開発が続いてるので、その心配も当面はない。
そんなトモルが手をつけてる魔術の研究。
科学と違い、こちらはまだ手つかずの部分が大きい。
それを解明していこうとしていた。
狙いがあっての事だ。
魔術がどんなものなのかは、実は分かってない。
火や風などを発生させる、というのは分かってる。
だが、どんな原理でそうなってるのかは分かってない。
そもそも魔力がどんなものなのかも不明だ。
そんな魔術にトモルは可能性を感じていた。
これは世界のあり方に関わってるものではないかと。
様々な現象を引き起こす魔術。
それは、この世の仕組みに関わってるように思えた。
その仕組みを動かす燃料が魔力で。
その魔力を操作するのが魔術なのだろうと。
だとすれば、科学とは別の方向から、様々な仕組みを解明出来るのではないかと。
(これ、転生とか、霊魂とか、そういうのも分かるんじゃ?)
ふと、そんな考えにたどり着いた。
もしこの世のあり方や仕組み、そこに関わってるならば。
いわゆる霊界や心霊についての仕組みにも関わってるのではないかと。
そこに興味を引かれた。
もしかしたら、自分がこの世界に生まれてきた理由。
前世の記憶。
超常的な能力。
これらを持ってる理由が分かるかもしれないと。
これらを解明するために、魔術の研究を進めていく事にした。
たとえ、こういった考えが間違っていたとしてもだ。
魔術を発展させるのも悪いことではない。
それが何かしら新しいものを生み出すかもしれないのだ。
科学とは別方向から、よりよいものが出てくるかもしれない。
それに、今後の事もある。
トモルがいなくても、研究を進められるように。
その土台や基盤をつくっておきたかった。
そうすれば、あとは人々が研究を進めていくだろう。
科学が今そうなってるように。
そういう状態を目指し、トモルは研究を進めていった。
頭に思いつくことをワープロに向かって打ち込んで。
それだけでも論文になるような内容が次々に印字されていく。
その一つ一つが魔術を発展させていく。
これまで経験的に使われていた魔術。
その仕組みが解き明かされていく。
この仕組みをもとにして、新たな魔術も生まれていく。
それは科学によっておいやられていた魔術を復活させていく。
科学にも劣らない、優れた知識と技術として。




