376回目 この世界における産業革命 3
最新技術による生活の変化。
今までになかった機器の導入。
それはまずトモルの屋敷にて行われていく。
領主権限というわけではない。
そういった側面もなくはないが。
しかし、開発されたばかりの初期製品を試用するという意味が強い。
また、どうしたって割高になってしまう初期製品。
それを導入できる者は限られてしまうのだ。
そうした製品をまずは使ってみるのがトモルの役目であった。
実際に使ってみてどうなのか。
問題なく使えるのか、何かしら不良が発生するのか。
それを確かめていく。
また、そうして導入された製品を来客に見せていく。
それがどれだけの効果を持つのかを。
それを見せるためだけに、別館を建てるほどだ。
そうして体感させる事で、製品の良さを知ってもらう為に。
そしてトモルの所に来るのは、それなりの身分の者だ。
購買力もある。
そうした者達が、まだ値段の高い新製品を手に入れていく。
それが研究開発や生産に使われた資金の回収にもなる。
更なる量産のための原資にもなる。
実際には、研究開発にそれほど時間や金が投入されてるわけではない。
トモルが既に答えを出しているからだ。
ただ、それでも全く何も手間がかからないわけではない。
設計図通りにものを作るにしても、それなりの手間はかかる。
今まで存在していなかったものを作るのだ。
そこでどうしても試行錯誤が発生する。
そこに費やす時間や手間というものがある。
また、多少なりとも量産するとなれば、設備も必要になる。
それが試作段階や初期生産分でもだ。
それらにも資金は投入される。
その分を少しでも回収したい。
そうして実際に使った結果から改善をして。
資金も幾らか回収し。
元手をある程度回復させる事で、次の一手をうてるようになる。
本格的な量産に入っていけるようになる。
量産効果で一つあたりの値段を下げる。
そうなれば一般庶民も手に入れる事が出来るようになる。
しかも、初期生産分から幾らか改善されたものを。
そうした製品が毎日のように出てくる。
その全てを買うのはさすがに無理だ。
だが、そのうちのいくつかは手に入れる事が出来る。
庶民の生活も一変していく。
また、社会基盤として様々なものも設置されていく。
上水道に下水道。
これらが設置されていく。
町の衛生環境がこれで大分改善されていく。
それでも各家庭に水道やトイレが設置出来るわけではない。
この世界、基本的にこれらは共用の設備があるだけだ。
しかし、それらが今まで以上に行き渡る事になる。
おかげで生活水準は以前よりは楽になった。
更に電化製品やガスも通す予定でいる。
ガスは既に埋蔵場所が分かってる。
電気も、小さいながらも発電所を作る予定だ。
これにより、生活は更に変化していく事になる。
これらが可能となったのは、生産体制の確立がある。
水道管やガス管、電線などの量産が可能となった。
それだけの生産力が出来上がってきた。
それは前世の日本に比べれば小規模ではある。
だが、この世界では隔絶した生産力をほこる。
トモル領だけで、その生産力は既に他を圧倒する程になっていた。




