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【完結】なんでか転生した異世界で出来るだけの事はしてみようと思うけどこれってチートですか?  作者: よぎそーと
第10章

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369回目 自分も他人も犠牲にせず

「改善点はないか」

 色々見返して出てきた結論だ。

 やれる事は全部やっている。

 手つかずの事もあるが、それは手を付ける事が出来ない部分だ。



 金がない、人がいない、伝手がない、技術がない。

 そういった理由で出来ない事もある。

 それについては諦めるしかない。

 トモルの能力をもってしても、不可能はある。



 ただ、手が出せる部分に問題は無い。

 順調といってよい。



「となれば」

 あとは時間をかけるしかない。

 トモル側の準備がととのうまで。

 その時間を稼ぐだけだ。



「あと五年くらいか」

 大雑把に考えて、それくらいは必要と見積もっている。

 様々な技術発展と生産体制。

 これらがととのうまで、それくらいかかる。

「そこまで時間を稼がないと」



 そこから、トモルの打ち出す策は更に増えていく。

 内乱状態の藤園の家を更にひっかきまわす為に。

 一方が優勢にならないように、必要なら援助を行う。

 また、優勢の方の内部に問題を発生させていく。

 とにかく長引かせる事を念頭に行動していく。



 傍観を決め込んでる連中の品定めも行なっていく。

 藤園の内乱を傍観している連中。

 それらの中で、有用なものを見定めていく。



 どうにか国内情勢を安定させようとしてる者。

 藤園のやり方に呆れ、それを非難してる者。

 騒動に巻き込まれないように自領を守ろうとしてる者。

 そういった者を探っていく。



 逆に、これを機会としてのし上がろうとしてる者。

 有利な勢力に肩入れして世の中を渡っていこうとしてる者。

 これらを処理予定者として記していく。



 こんなご時世である。

 その中で世を憂いてるならともかく。

 せめて己の領域だけでも守ろうとしてるならともかく。

 騒動を足がかりにしてのし上がろうなどという奴は信用が出来ない。

 そういった者は、即座に処分していく事にする。



 その選別を進めていく。

 あと五年ほどは動く事が出来ない。

 その間に、これだけは確実に終わらせていく。

 動き出した時に困らないように。



 ついでに、有望そうな者は辺境王族に推挙していく。

 騒動を鎮める為にも、王族には動いてもらわねばならない。

 まともな者をまとめるために。

 事前に分かる事は全て伝えていく。



 トモルにとって都合の良い情報を流してるだけではある。

 他の情報を遮断することで、判断材料を減らしていく。

 人は手にした情報でしか物事を判断出来ない。

 その判断材料をトモルは制御していた。



 それで十分だった。

 余計な悩みや問題を抱えるよりは。

 トモルは自分にとって都合の良い状態が欲しいのだ。

 世のため人のために動いてるわけではない。

 結果として世の中が良い所に落ち着いてくれればとは思うが。



 だが、自己犠牲や献身などこれっぽっちも考えてない。

 そんな考えは邪悪なものだとすら思ってる。



「……自分を潰してどうする」

 どこかの誰かの為に自分を潰す。

 そんな事して何になるのか。

 さっぱり分からなかった。

 分かりたくもなかった。



「自分のためにまずはうごけ」

 他人を蔑ろにする必要は無い。

 他人を踏みにじって利を得ろというのではない。



 自分も大事にして、その上で他人も助けられるなら助ければ良い。

 どちらが大事というわけではない。

 どちらも大事にせねばならない。



 幸せになりたいなら、そうするしかない。

 幸せになりたいのに、自分を不幸にしてどうするのか。

 何の意味もない。

 意味がないどころか、邪悪ですらある。

 自分を損なってるのだから。



 自分を損なっても他人が幸せになれるわけではない。

 それどころか、相手により大きな損害を与える可能性がある。

 相手も自分を必要としてるならば。

 協力関係にある場合はなおさらだ。



 今のトモルの場合、トモルが潰れたら多くの者が困る。

 単純に考えて、嫁と子供達。

 これらの生活が先行き不安になる。



 幸せはともかくとして、生活を支える為にも、トモルは生きねばならない。

 働いて稼がねばならない。

 そうして嫁と子供、つまりは家族を支える事で、家族も生きていける。



 それが幸せなものであるかどうかは分からないが。

 だから、生活をまずは成り立たせねば、幸せを論じる事も出来ない。

 トモルが生きてる、まともに活動できてる。

 これがまずは大前提だ。



 その為にも自己犠牲や献身など不要である。

 邪悪でしかない。

 嫁と子供を捨てる事になるのだから。



 その為にも、トモルは自分にとって都合のよい状況や状態を作っていく。

 無駄な過労はしない。

 無意味な犠牲は作らない。

 自分も含め、誰も犠牲にしない。



 そして、都合のよい状態を作るために何でもやる。

 都合の良い情報を流し、相手を操作する事も。

 都合のよい人間だけを配置する事も。

 それがトモルにとってよりよい状況になっていく。



「さて」

 辺境王族の操作も進める。

 国内各地の内情調査も。

 可能ならば懐柔して味方に引き込む事も。

 散らばった旧氏族を集めて、今後の人材に育成していく事も。

 藤園の内乱をより大きく激しくして、力をそぎ落とす事も。

「あとは、何をするかな」

 更に出来ること、やるべきことを探していく。



 そんな事を考え、企てながら家に帰っていく。

 体調が戻ってきた女房と、ようやく顔を合わせる事が出来た我が子を見る為に。

 それがトモルがやたらと頑張ってる理由だ。

 その理由を放り出すわけにはいかない。



「ただいまー」

 暢気な声をあげながら屋敷の中に入っていく。

 今日も我が子の顔を見るために。

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