360回目 自分の足で立つという当たり前のこと
もう誰の責任にも出来ない状況。
そこに追い込んでの放置。
自分で動かねば、自分が解決しなければならない状態。
もう誰にも何も言えない。
そこまで追い込んで、自力で解決させる。
ここまでしないと自立など望めはしない。
それくらい自分で考える事を放棄してる者が多い。
全てを他の誰かにやらせようとしてる者がいる。
それを根絶するためには、無理矢理にでも自分でどうにかする状況に追い込むしかない。
そうしてまともになるならそれで良い。
もちろん、それでも駄目な者はいる。
しかし、それならそれで潰えれば良いと考えていた。
文句を言うだけの奴など、いるだけ邪魔でしかない。
少なくとも生産性を上げることはない。
こういう輩は、いるだけで効率を下げていく。
実際、文句を言う輩を排除した場所での生産性は向上した。
収穫や利益があがっていく。
それが無くても、労働などの効率があがっていく。
無駄な労力が減り、時間などの余裕が出るところが多い。
不平不満というのは、不思議と聞いてる者に悪影響を与える。
その対象が自分でなくてもだ。
ならば、それが無くなればそのぶん効率もあがるというもの。
トモルからすれば、そんな奴はいるだけ邪魔でしかない。
使い道がないからどうしようもない。
負担が多いなら、いっそ消えてもらった方がまだマシだ。
即座に手を下さなかったのは、最大限の恩情である。
だからといって、追い出された者達がまともになるなどとは思ってない。
駄目な奴というのは、何をやらせてもダメなものだ。
仕事が出来ないとか、どんくさいとかの問題ではない。
性根の問題だ。
トモルは仕事が遅い事や、どうしても苦手としてる者を問題にはしてない。
本心からの怠け者、他人の足を引っ張る者が嫌いなだけである。
それらを排除してるに過ぎない。
そういった者達は、他人に悪影響をもたらす。
いるだけで害悪になる。
だから排除してるだけだ。
藤園の者達を排除するように。
やってる事は根本的には同じである。
自分の周りにいる問題を排除する。
処分する。
この世から消し去っていく。
見切りを付けたのだ、ようするに。
解決策を見いだすわけではない、文句を言うだけの奴らを。
そんな連中に費やす時間や労力がもったいない。
無駄に費やす労力がもったいない。
それくらいならば、さっさと処分した方が効果的だ。
少なくとも、それでよりよい者達、まともな者達を守る事が出来る。
それらを立ち直らせるなどという事は考えない。
そもそも、そういう考えが間違ってる
立ち直るというのは、元々はまともだったから出来る事だ。
もとから腐れ落ちてるものを、どうやって立ち直らせるのか?
そういったものを立ち直らせるというのは、元の腐った状態に戻すという事だ。
苦労をして手間をかける意味が無い。
やるだけ無駄どころか、大損害だ。
こうしてモンスター領域の開拓地に放り込まれた者達は二種類に分かれた。
自分でどうにかしなければならない状況で、自主的に行動するようになった者。
そんな状況でも不平不満だけを口にして潰れていく者。
そこで自立して行動できるようになった者が、後にトモルの領域を支える人材になっていった。
自立、自発、自助。
そういったものを持ち合わせた人間として。
トモルもそうした人間を重用していく。
そういった人間は少ない。
不思議な事に、どうしても少数派になる。
だからこそ、そんな貴重な人間を可能な限り見つけていった。
出来るのならば育成もしていった。
そして、周囲をそんな人間で固めていった。




