324回目 より大規模なモンスターの間引き、巣の破壊
そうした知識部分だけではない。
領内の拡大発展の為に、障害を排除もしている。
まだまだ広大なモンスター領域。
そこを平定し、被害を減らさねばならない。
なので、暇を作ってはあちこちにあるモンスターの巣を破壊していっている。
これは以前からやっていた事だ。
だが、王族をとりこんでからは、よりいっそうこれに集中出来る。
領地を留守にしても問題があまり発生しないからだ。
じっくりと腰を据えてモンスターを駆除していける。
今までだと、モンスターを倒してる最中に危険信号を感知する事もあった。
その都度領地に転移で戻っていたのだ。
それが無いというだけでかなりモンスターの巣を破壊していける。
おかげで、進出できる地域が拡大していく。
そのほとんどにはまだ手が出せないが。
確保できた広大な地域に進出できるほど人がいないのだ。
何十年もすれば、人口は更に拡大するだろう。
そうなった時には、モンスターを駆逐して手にした土地が役に立つ。
だが、まだ何十年も先の話だ。
トモルの孫の世代、その孫の子供の世代あたりになるだろうか。
そういった先の先の話である。
もちろん、流入してくる者達はいる。
冷や飯食いの立場の者達の活動場所は欲しい。
しかし、トモルが確保してるのは、それ以上に広大な土地だ。
使おうにも使い切れないでいる。
それでもモンスターの巣を破壊してる理由は一つ。
トモル自身の強化である。
「もっとレベルを上げておかないと────」
それが最近のトモルの口癖だった。
今の段階でも他を圧倒する強さである。
そもそも、レベル上昇における能力値の伸びが他の者を圧倒する。
トモルの1レベル上昇による能力値の上昇は、他の者達の数倍だ。
単純に1レベルで他の者達の数レベル分の伸びになっている。
その能力によって、次々にモンスターを倒し、巣を破壊している。
そんなトモルは、既に常人が到達出来ない程のレベル上昇をしている。
通常の人間はレベル5くらいが人生における最大到達値になる。
モンスターとの戦闘を繰り広げる冒険者でも、レベル10から15くらいだ。
英傑と呼ばれる者達がレベル20を超える。
レベル30以上は滅多にいない。
そんなレベル30をトモルはとっくに超えている。
それでも経験値を稼ぎ、レベルを上げている。
全ては今後を考えての事だ。
「もっとレベルを上げないと────」
今でも十分人間離れしてる。
それでもなお強さを求める。
その理由は一つ。
「中央と戦争しても勝てるくらいに」
トモルはそれを覚悟している。
もう既に中央の貴族達に喧嘩を売ってるのだ。
このままで済むわけがない。
だからこそ、対抗できる力を手に入れようとしている。
その為にも、まずは自分が強くなる必要がある。
だからレベルを求める。
更なる強さを求める。
敵に負けないくらいの。
一瞬にして殲滅出来るくらいの。
それが実現可能な強さを。
だから、モンスターの巣を見つけて突進する。
その中にいるモンスターを駆逐し、巣の中枢を破壊していく。
そうして出来るだけ多くの経験値を手に入れる。
「まだまだ、全然足りない」
そう思いながら。




