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愚か者の集い

 首謀者の名前は藩欧外、中央から左遷されてきた高級官僚。

 左遷理由は推して知るべき。いわゆる公金と自分の金の区別がつかない類の人種らしい。

 そして言葉の端々から感じ取れるのは、たかが公金横領ぐらいで左遷する横暴な王をさっさと始末して正しい王をつけるべきだという意見の持ち主らしい。

 しかし、今の王より血筋正しい人たちはすべて死に絶えているから今の王なんだが。

 そして、姉は父親に厳しく、仕事場の金だけは手を付けるなと言い含めていた。そして父ですら、それをしたことはない。

 そして、どうやらこちらでも同じことをしているらしい。いずれ寧州長官は王に文句をつけに行くことになるだろう。

 どうして処刑を免れたのかは謎だが。たぶんあまりに数が多すぎたためのミスだろう。

 処刑執行人が過労死しそうになったという噂もあったし。

 あるいは別件でも追及するためにあえて残したのか。

 それとも誰か共犯者でもいてそれは証拠不十分、あとで友釣りでもするつもりか。

 まあ、遠い天曉のこと、考えてもしょうがない。

 真影はそこで思考を止めた。

 常にだれか見張っているか。

 今は現状のことを考えることにした。

 可能性一、今別の人間も取り込まれていて、互いに見張りあっているような状況である。

 可能性二、単なるはったり。

 後者がありそうだが、他に取り込まれている人間がいる可能性も低くないだろう。

 後で深々を締めあげようと真影は思案する。

 深々は全く平静な顔で仕事を進める真影を不気味そうに見ていた。

 一切の動揺を見せず黙々と仕事を進める。

「ああ、そうだ深々、あとでじっくりと話そうね」

 童顔ゆえどこかあどけない笑みを浮かべた。

「とりあえず、仲間に巻き込んだのは何人かな?」

「それを言ったとしてもどうしようもないぞ、僕たちみたいな庶民出身者の言うことなんか誰も信じてくれない」

「後、他の二人もかかわっているのか?」

 秀黎と玉君はかかわっているのかと訊ねれば小さく首を振った。

「あの二人は巻き込めない」

「僕はいいのかよ」

「君は目をつけられたんだ、冠黎に、だからわざとあの書類をまわしたんだ」

 なるほど、つまみ食いをしているのだから経理のほうに共犯者がいるというわけだ。それもちょっと偉いほう。

 しかし逆恨みも甚だしい。もともと真影が割って入らなければ柴源が長官に報告しさっさと首を切られていたはずだ。

 むしろ肉体的な懲罰だけで済んだことを感謝してくれてもいいくらいなのに。

 たかが半月一日一食なんて、罰のうちにも入らない。

「結局、天暁に残れなかったのが不満なんだ」

「ああ、なるほど、それなら実家のすぐそばで、金が無くなったら親に出してもらえばいい、困ることなんか何もないし、仕事もやってるふりをしていれば親が何とかしてくれるか」

 腐った話に真影は眉をしかめる。

「つまり、冠黎と同じようなことを考えている連中が、あっちについたと」

 真影はため息をつく、やっぱり馬鹿だ、どう考えてもいないほうがましな見方だと思う。

「ついてないな」

 そう呟く。深々は軽く目を伏せた。



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