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犯罪行為

 お試しで買ってみた寧州料理は真影達の口に合うものもあれば、食べるのに相応の修行が必要なものもあった。

 収穫はあったが予算オーバーはどこで締めるか、真影は頭が痛かった。

 鶏を唐辛子でやたらと辛く味付けしたものを無言で口に運ぶ。

 買ってきたものを確認してもやはり作ったほうが多少は安いが。思ったよりはかからない。量さえ考えれば。

 漬物も辛みが効いている。漬物を辛くするなど真影の発想にはなかった。

 深々の様子はやはりおかしいと真影は思った。

 顔色が悪い。

 しかし水を向けてもなかなか口を開いてくれない。

 旅でもどうしても同じ学問所出身者同士で固まっていたため、別の学問所の人間とは話し辛い。

 とにかく気長にいこうと決心した。


 書類の配達も新入りの大切な仕事だ。

 こういうところで顔つなぎするのも今後のために必要だからだ。

 冠黎が歩いてくるのが見えた。軽く頭を下げる。しかし相手は頭から真影を無視した。

 やれやれと真影はため息をつく。

 どれほどえらい父親を持っているか知らないが今のお前は半人前の官吏に過ぎないんだからな。

 そんなことを心中で呟きながら仕事にいそしむ。

 事態はその夜起こった。

 李柴源が慣例を取り押さえている現場を真影は目撃してしまった。

「あの、いったい何が起きたんです?」

 その後ろで深々が座り込んで泣いていた。

「いえ、そろそろこういうことが起きるんじゃないかと思っていたんですよねえ」

 柴源は苦々しく呟く。

「ええと?」

「恐喝の現行犯です」

 柴源は端的に答えた。深々を見ると青ざめて小刻みに震えている。

「いつからだ?」

 とっさに真影は尋ねた。

 以前から様子がおかしいと思っていた。それがこの恐喝行為からくるものではないかと推測したのだ。

「見張っていたら案の定でしたねえ」

 柴源の口調は苦い。

「どういうことですか」

「今までお金をろくに使ったことのないのが多いんですよ、こういう階級の子供はね。自分の好きに使っていいお金を得て、暴走したんでしょう」

 柴源の話によると、貴族階級の子供は金銭を自分で持つことがまずない、ほしいものがあれば親か使用人に命じて持ってこさせるのが普通だ。そのためお金の使い方を知らない。

 真影にとっては初めて聞くような話だった。

「ほかにも何人か手持ちのお金を使い切ったのがいますよ、その連中の様子をずっとうかがっていたんです」

 ぎっちりと抑え込みをかけたまま柴源はそう言うと縄を取って来いと言った。

 台所にあった、野菜などをくくる縄を持ってくる。

 冠黎の手首を縄で拘束すると、何事か聞きつけたのか、人が集まってきた。

 漢途が眉をしかめる。

「とうとうやらかしたのか?」

「何か知っているの」

 漢途も貴族出身だったので、貴族間の噂はよく知っていた。冠黎の実家のこともよく知っていたというのだ。

「あそこ、使用人がよくやめるっていうんだよ、給金以上にこき使われるってさ」

 真影としては理解しがたいが。人を人とも思わない貴族の中にあってすら抜きんでて横暴な家だと言われているらしい。


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