寧州州都庁舎にて
寧州州都紅蓮、その真ん中に真影の勤め先があった。
州都庁舎は、王宮ほどではないが、かなり巨大な建物で、案内なしでは迷子になりそうだった。
真影とその一団は一番外側の建物に案内された。
そこで新しい制服を支給される。
天暁で来ていたものより薄手だ。ここが温かいところだと実感できる。
灰色のそれに袖を通すと、職場の案内を一通りされた後、自分の職場にたどり着いた。
真影が任されたのは帳簿計算をするところだった。
そして真影のほかに深々も配置されていた。
帳簿は家計簿で慣れていたのですぐに仕事を覚えることができそうだと安心する。
一緒に来たものはばらばらの部署に勤務することが決まったようだ。
お金の計算は好きだ。たとえ人のお金でも。
黒字決済を誰よりも愛している。そうだよねお姉さん。
心の中で姉に話しかける。その時姉は庭に金蓮花を植えていた。
きれいな花が咲いて美味しい。
次はオクラを植える。そんな決意を胸に秘め移植後手を操る。
このままいけば庭園が畑と化す日は近い。
そんなこととはつゆ知らず、真影は算板で、記された数字を計算していた。
昼食は庁舎の食堂で簡単なおかずのせご飯が三品の中から選べる形式になっていた。
真影は肉野菜炒めの乗ったものを選び、席に着く。
そしていつものメンバーで食事が始まった。
金武は清書、圭樹は資料整理、漢途は雑用全般と見事にバラバラな場所に配置されていた。
「とりあえず、食事の支度は朝と夜だけど、ここの気温だと作り置きとかまずそうだね」
「そうなのか?」
「どう考えても天暁より傷みやすいよ」
真影がそう言うとそういうもんなんだろうと誰も疑問に思わない。
実際天暁より、紅蓮のほうが高温多湿だ。
「そうすると、炒め物とかが基本になるねえ、煮物は思いっきり味付けを濃くすれば二三日持つものもあるけど」
「それ、時間がかかりそうだな」
「休みの日に作り置く手もあるけどね」
やはり食べ盛り、一番の話題は食事のことだった。
「そういえば市場に行ったとき、すでにできてる料理を売っている店もあったな」
金武が思い出したように言う。
「でも、あれ、割高じゃないの?」
真影は軽く眉を顰める。お金をかけるより、手間をかけろが河家の家訓だ。それを実行しているのは真影とその姉だけだが
「いや、でも時間のない時は利用するべきじゃないか」
「次に市場に行ったときは確認しよう、それと試しに少しだけ買うか」
「それはそうと、仕事はどうだった」
圭樹が話を変える。食事よりその話のほうを優先すべきだったとようやく思いつくがそのことに気付かなかったふりをする。
「僕は、あれだよ、計算は得意分野だから」
真影は胸を張る。
「まあ、俺たちはぼちぼちだな」
そう言って三人は小さく頷く。




