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千紫万紅〜終末世界に咲く華乙女〜  作者: 東雲大雅
第三章 春蘭秋菊

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第5話 「それだけです」

 機獣、紅鶴(こうかく)を探すため、菊の後ろをヒガンバナとひまわりは歩いていた。


「あの〜、菊さんは紅鶴の居場所って知ってるんですか?」


「正確な場所は知りませんよ。とりあえず、アイリスが紅鶴を見つけた場所へ向かってます」


「あとどれくらいで着きそうですか?」


「1時間も歩けば着きますね」


「そうですか……」


 会話が続かない。気まずい。


「あの……」 「その〜」


 ヒガンバナとひまわりが同時に声を出す。


「どうしました?」


「ヒーちゃん、先どうぞ」


「いや、ひまわりちゃんからお願い」


 ひまわりは一瞬悩んだが、覚悟を決め口を開いた。


「菊さんとは、どういった関係といいますか……、いつも言い合ってるようにみえて、実は仲がよかったりします?」


 ヒガンバナが目を見開き、ひまわりを見つめる。驚きと、恐怖が入り混じった顔。


 菊は少しだけ口角を上げた。


「仲がいいか悪いかで言えば、悪いですよ。わたしもあれも、お互い好きじゃありませんし」


「じゃあ、何でいつも一緒にいるんですか?」


 ひまわりに便乗して、菊と蘭の関係に踏み込むヒガンバナ。


「ベゴニア様から言われてるからですね。常に共に行動しろと……。まぁ、意図は分かりますが……」


「それってどういう……?」


「あれもわたしも、おおよそ理解されない嗜好を持っています。たまに、やりすぎてしまうこともあるので、互いに牽制し合うため……というのが建前です。」


「……本音は?」


 一瞬の静寂。


 森のざわめきすら、うるさく感じられるほどの沈黙。


 菊は前を向いたまま、歩調を一切緩めなかった。


「放っておくと、どちらかが死にます。それだけです」


 それ以上、2人は何も聞けなかった。


 蘭と菊、2人だけの領域にこれ以上踏み込むべきではないと、本能的に感じた。


 ヒガンバナとひまわりの発する、重苦しい空気を嫌った菊は、今度は自ら質問をした。


「そうそう、わたしからも一つ。ヒガンバナの、機獣に対して技が使えないというのは、具体的にはどのようなことなんでしょう?」


「私は相手の敵意を感じた時に、自然と身体が動いてくれてたんですけど、機獣相手だとそれが上手く発動しなくて……」


「でも、ヒーちゃんの目は健在で、攻撃を避けたりは出来てたんですよ!」


 菊は口元に手を当てる。


「なるほど……。さっぱり意味不明ですね。実際に見てみないと、判断がつきません」


「そんなぁ〜」


 ヒガンバナより先に、肩を落とし落胆するひまわり。

 菊はその様子を見て、少し嬉しそうな表情を見せた。


「ふふっ、いい仲間を持ちましたね。まだ到着まで時間もありますから、貴方方が機獣と闘った時の詳細を聞かせてください。もしかしたら、何か掴めるかもしれませんし」


「分かりました!最初はーー」

 

 ひまわりが率先して話し始め、それに付随するように、ヒガンバナは自身の戦闘時の出来事を事細かく伝える。


 そして、話が終わるころ、3人は目的地へと辿り着いた。


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