第5話 「それだけです」
機獣、紅鶴を探すため、菊の後ろをヒガンバナとひまわりは歩いていた。
「あの〜、菊さんは紅鶴の居場所って知ってるんですか?」
「正確な場所は知りませんよ。とりあえず、アイリスが紅鶴を見つけた場所へ向かってます」
「あとどれくらいで着きそうですか?」
「1時間も歩けば着きますね」
「そうですか……」
会話が続かない。気まずい。
「あの……」 「その〜」
ヒガンバナとひまわりが同時に声を出す。
「どうしました?」
「ヒーちゃん、先どうぞ」
「いや、ひまわりちゃんからお願い」
ひまわりは一瞬悩んだが、覚悟を決め口を開いた。
「菊さんとは、どういった関係といいますか……、いつも言い合ってるようにみえて、実は仲がよかったりします?」
ヒガンバナが目を見開き、ひまわりを見つめる。驚きと、恐怖が入り混じった顔。
菊は少しだけ口角を上げた。
「仲がいいか悪いかで言えば、悪いですよ。わたしもあれも、お互い好きじゃありませんし」
「じゃあ、何でいつも一緒にいるんですか?」
ひまわりに便乗して、菊と蘭の関係に踏み込むヒガンバナ。
「ベゴニア様から言われてるからですね。常に共に行動しろと……。まぁ、意図は分かりますが……」
「それってどういう……?」
「あれもわたしも、おおよそ理解されない嗜好を持っています。たまに、やりすぎてしまうこともあるので、互いに牽制し合うため……というのが建前です。」
「……本音は?」
一瞬の静寂。
森のざわめきすら、うるさく感じられるほどの沈黙。
菊は前を向いたまま、歩調を一切緩めなかった。
「放っておくと、どちらかが死にます。それだけです」
それ以上、2人は何も聞けなかった。
蘭と菊、2人だけの領域にこれ以上踏み込むべきではないと、本能的に感じた。
ヒガンバナとひまわりの発する、重苦しい空気を嫌った菊は、今度は自ら質問をした。
「そうそう、わたしからも一つ。ヒガンバナの、機獣に対して技が使えないというのは、具体的にはどのようなことなんでしょう?」
「私は相手の敵意を感じた時に、自然と身体が動いてくれてたんですけど、機獣相手だとそれが上手く発動しなくて……」
「でも、ヒーちゃんの目は健在で、攻撃を避けたりは出来てたんですよ!」
菊は口元に手を当てる。
「なるほど……。さっぱり意味不明ですね。実際に見てみないと、判断がつきません」
「そんなぁ〜」
ヒガンバナより先に、肩を落とし落胆するひまわり。
菊はその様子を見て、少し嬉しそうな表情を見せた。
「ふふっ、いい仲間を持ちましたね。まだ到着まで時間もありますから、貴方方が機獣と闘った時の詳細を聞かせてください。もしかしたら、何か掴めるかもしれませんし」
「分かりました!最初はーー」
ひまわりが率先して話し始め、それに付随するように、ヒガンバナは自身の戦闘時の出来事を事細かく伝える。
そして、話が終わるころ、3人は目的地へと辿り着いた。




