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ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~  作者: 一番星キラリ@受賞作続刊発売決定:商業ノベル&漫画化進行中
第三弾のその後の物語:東の国②

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13:実に悩ましい問題

 初めて飲んだビール、将軍オガタは「ほう! 確かにほろ苦い!」と目を丸くする。ヒラタは「これぞ人生の酸いも甘いも知る大人のお酒ですな」と気に入った様子で、お代わりもビール! 将軍オガタはビールを三杯飲むと、葡萄酒へシフトする。その間に到着したカプレーゼも綺麗に平らげた。


「はい、お待ちどう! 当店名物、揚げ立てのモッツァレラチーズのフリット! これはこのトマトソースで食べるのが王道。そしてこのバジルの葉を一枚のせ、トマトソースをつければ……揚げたカプレーゼが楽しめる。シンプルに岩塩をパラパラでパクリもいけるぞ。あとは女性に人気なのは蜂蜜! チーズに蜂蜜が合うのか!? これ合うんだな。さあ、全部試してみるといい!」


 ご機嫌な店主に聞いた説明は身振り手振りで伝えると、将軍オガタは「揚げカプレーゼ……」と呟き、バジルをとり、トマトソースに手を伸ばす。トシとリキは蜂蜜を、ヒラタは渋く岩塩、私やグラマラス美女三姉妹はトマトソースでいただくことにした。


「「上様、美味でございます」」


 トシとリキが声を揃え、「異国の食べ物は美味しい!」と瞳を輝かせる。一方の将軍オガタは二人の小姓に「それはよかった」と頷いてみせ、自身は……。


「揚げたモッツァレラチーズは絶品じゃ!」と膝を打つ。


 さらにそこへモッツァレラチーズの王道な楽しみ方、マルゲリータピザが登場。


「これは……薄焼きのパンにカプレーゼをのせてさらに焼いた……のであるか?」

「まさにその通りです。トマトソースを生地に塗り、モッツァレラチーズをのせて焼いた後、バジルをのせました。食べる際に、こちらのオリーブオイルをたらしても、風味が増し増す!」

「オリーブオイル! これは実に美味である。我は東の国の味噌汁に、これを一滴垂らして食している。これを入れると味噌汁の風味が際立ち、こくもでるのだ」


 さりげない将軍オガタの言葉にビックリ! だって前世の記憶で確か味噌汁にオリーブオイルを入れるのは健康にいいと言っていたはずなのだ。


(確か味噌汁に含まれる脂溶性ビタミンの吸収をオリーブオイルが助ける。さらにオリーブオイル自身、抗酸化作用もあると言われていたと思う)


 将軍オガタはオリーブオイルの効能なんて知らないはずなのに。自身の本能で「これでいい!」と感じ、日々の食事に取り入れたのだろう。


(さすがだわ、将軍オガタ!)


 私が感動している間に将軍オガタたち東の国の人々は、マルゲリータのピザを口に運び……。


「上様、これは……!」


 ヒラタが感動で声を震わせている。


「これは……何という旨さ! トマトの酸味とモッツァレラチーズのまろやかさ、バジルのアクセントが、ふりかけたオリーブオイルで見事にまとめられている気がする。しかもパンのカリッと焦げた部分も実にいい!」


 将軍オガタは完璧にこのマルゲリータの美味しさを口にしてくれる。まさにその通りで、最後にふりかけたオリーブオイルがいい仕事をしてくれていると思うのだ!


(そこにちゃんと気づける将軍オガタはすごいと思うわ!)


 私は我がことのように誇らしくなり、小姓のトシとリキも……。


「「上様の言う通りです! こんな食べ物初めてで、感動です!」」


 二人が声を揃えたところで、メディが真剣な表情で口を開く。


「皆様。この後、でございますが、マルゲリータのピザをおかわりすることも可能です。ですが、こちらのお店でも居酒屋ではありますが、デザートのメニューも充実しています。ダークチェリーのタルト、レモンのソルベ、季節のフルーツのズッコット、たっぷりクリームのマリトッツォなども……いただけるそうです!」


 私はほぼ同時通訳でメディの言葉を訳し、将軍オガタを見る。


「ほう……それは実に難題だ。このマルゲリータのピザは絶品であり、おかわり必死に思えてしまう。だがそうすればデザートは入らぬ!」


 将軍オガタがまるで軍議をしているような真剣な表情をするので、私の背筋は伸びる。


「ピザなのか、デザートなのか。実に悩ましい問題、であるな」

「上様」

「なんだ、ヒラタ」

「この場は様々な味を知ることが肝要に思えます。ピザの味が美味しいことはわかりました。ダークチェリーのタルト、レモンのソルベ、季節のフルーツのズッコット、たっぷりクリームのマリトッツォなどは未知の味でございます。いずれかを食し、味を知ることが重要では?」


 ヒラタの指摘に将軍オガタは「確かに! ピザばかり食っていたでは、東の国に残る家臣たちも『そうですか……』と物足りないだろう。よし。この後はデザートをいただこうぞ!」と決断する。


 その後、デザートは全種類がテーブルに並び、皆で少しずつをシェアすることになった。


「……満腹になったぞ、アマレット殿」

「よかったです! 午後はお店を見て回りますか? 東の国いる家臣や奥方へのお土産を見てはいかがでしょうか」

「良き提案である。そうしようか」


 こうしてお店を出た時のこと。

 見たことのある人物が、ガラの悪そうな男たちと一緒にいる。


 銀髪の短髪に白金色の瞳。鼻の辺りのそばかすはチャームポイント。まだ幼さが残り、少年にも見えるのは――リオニール公爵に買収されている農夫の一人アントンだった。


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