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突然の電話
「はあ、もう生きる気しねえな」
平太は天井をぼんやりと見つめながら
つぶやいた。
散らかった部屋のベッドの上で、
何をするでもなく、ただ時間をつぶすだけ。
そんな日々が続いていた。
平太は高校を卒業してから、定職には就かず
日雇いのバイトなどで食い繋いできた。
目標など見つけられないままに。
昔から友達も少なく、頼れる人も
ほとんどいなかった。
そして、彼の両親ももういない。
母親は病気がちで、平太が高校3年のときに
亡くなってしまった。
また、その母から聞いたことによれば、
父親は平太がまだ小さかったときに
よそで女をつくって蒸発したらしい。
この先どうしていこうか思案し続けて
きた人生だが、平太には結局答えにはたどり着かない
気がしていた。
「とりあえず寝るか」
時刻は午後9時。普段寝る時間よりも
早かったが、平太はまず頭の中を真っ白にしたかった。
部屋の電気を消し、眠ろうとしたとき
突然スマホが鳴り出した。
「ん、だれだ?」
画面を見ると、"長谷川佳菜"からの電話だった。
「ま、まじかよ。なんで今さら!」
彼女は平太の高校の同級生で、
数少ない彼の友達であり、
彼の初恋の女性でもあったのだ。




