第7話 旅の始まり
翌朝になった。
(うーん……)
昨晩は、緊張でよく寝れなかった。
それでも、身体を起こす。
『ナナミ、起きているか?』
部屋の外から、ジェミロンの声がした。
「ええ、何とか」
ナナミがそう言うと、扉が開いた。
開け際に、ジェミロンが言う。
「ベネさんが宿に来ているんだ。色々と確認がしたいんだって」
「分かったわ。着替えたら声を掛けるね」
ナナミがそう言うと、ジェミロンは頷いた。
▪▪▪
寝巻きから普段着に着替え、部屋を出た。
ジェミロンは腕を組んで待っていたようだ。
「お待たせ、ジェミロン」
「……お、それじゃ行こうか」
二人は宿のシャロ (受付前の休憩室) に向かうと、ベネが待っていた。
司書の服とは違うのを着ており、髪を束ねている。
「御二人共、おはようございます」
ベネが気がついて、話しかけた。
「おはようございます」
ナナミが言う。
「それで、確認というのは」
ジェミロンが聞く。
「魔女の居場所を改めて調べましたので、それを御二人に」
そう言って、懐から紙を一枚出した。
▫▫▫
四魔女の居場所についてなのですが、各国に三魔女が居ることは分かっております。
最初に、ゼンゼーロ王国についてです。
魔女の名前は『ジワ・ゴロンチェロ』と呼び、通称は炎の魔女と言われています。
首都のゼノラから南に進み、砂漠地帯であるジュノーラを拠点にしていす。
次は、ゼンゼーロ王国から陸続きのモンド国です。
魔女の名前は『ゴモ・ガンガーラ』、通称は水の魔女と言われています。
森林地域であるアヴァンを拠点にしているとの事です。
最後に、海を渡ったゾレンド王国です。
魔女の名前は『ミディ・バーバレア』、通称は風の魔女と言われています。
渓谷の奥地にある、ボンドンを拠点にしているとの事です。
それから、三魔女を倒した後に出てくる魔女については情報が少なく、『ディガ・ロンボレア』と通称である『世界を司る魔女』しか判明しておりません。
▫▫▫
説明を聞き終えた後、ジェミロンが呟く。
「……まさか、ジュノーラに戻るとはな」
「何かあったの?」
疑問に思ったナナミは、そう聞く。
ジェミロンは頭をかきむしる。
「実家があるんだ、そこに。……でもな、家族全員が龍の餌食になってしまったんだ。たまたまオアシスに水を汲みに行っていた僕だけが、助かった話さ」
それにはナナミもベネも、驚いた。
「それはそれは、お辛い想いをされましたのね……」
ベネがそう言う。
「いんや、別に大丈夫ですよ。それを踏み台にして、『退治』をしているからね」
ナナミが口を開く。
「……ねえ、ジェミロン。」
「どうしたんだ、ナナミ」
「その、どうしたらそんな風になれるのかなって」
ジェミロンは頬を指で掻く。
「簡単な事じゃ無いけどな、一つだけ言えるのは……親に言われたことを守っているだけさ」
「親御様に言われた事?」
ベネが言うと、ジェミロンは頷いた。
「『家族が居なくなって一人になったとしても、生きる事を辞めちゃいけない』ってさ」
(『生きる事を辞めちゃいけない』、か)
あの時――『龍退治』をしている時――に、彼の目が力強く見えたのが、そう言う事と感じた。
「あ、あの。お二人とも」
ナナミは二人を見る。
「どうか、これからよろしくお願いします!」
そう言って、頭を下げた。
「……ああ、よろしくな」
「私も、出来るだけお手伝い致しますわ」
―――今は、何があっても動じないようにしよう。
そうナナミは心に誓った。




