序章 運命の輪に導かれし少女
―――あれは、夏休みのある日の事でした。
▪▪▪
「「お疲れ様でしたー!」」
高校の部活動を終え、奈々美は荷物を持って学校を出た。
片田舎の高校に通っており、家までは歩きで40分位はかかる。
「……今日は、近道を通ろうかな」
学校から10分程歩くと、林の中へ進む道と車が通る道がある。
普段は車の道路を使うのだが、たまには林側を通ってもいいかもしれない。
(昼間でもちょっと薄暗いけど、たまにはいいよね)
覚悟を決めて、林の中へと入っていった。
▫▫▫
「うー……」
日が入りにくい林の中を、早歩きで歩いていく。
(やっぱり、入るべきじゃ無かったかなあ)
今ならまだ引き返せる、そう思った瞬間。
目の前に大きな『破れ目』のようなモノが見えたのだ。
(……!!)
危険を察知して、後退りする。
後ろへ振り向こうとしたその時、見覚えのないヒトが『破れ目』から現れて手を伸ばし始めた。
「逃げなきゃ」
部活動の後で体力は余り無いが、走るしかない。
元の道を一目散に、走り出す。
(……わっ!)
走り出してから半分が過ぎた頃、奈々美は何かに躓いて転んだ。
それを見逃さないと、ヒトの手が足を掴んだ。
『貴女は、導かれし運命です』
その声が聞こえたかと思うと、『破れ目』に向かって引っ張られた。
「き、きゃぁぁっ!」
奈々美が『破れ目』に吸い込まれた後、それは閉じられてしまった。




