すべては一つの世界
神との戦いにケリがつきます。
【階段の終わり 雲の上】
7人の神の背後に、ヒューマ達が見てきた戦争のビジョンが再び現れる
原初の闇:「このままお前たち『人間が司る世界』が続くのならば、世界は飽くなき戦いのらせんになる」
ヒューマ:「戦いだって?」
原初の闇:「そうだ。お前たちが7つに分かれている限り、解け合うことなく常に反発し合い、戦いの連鎖を作る。人間に必要なのはたった一つの偉大な存在なのだ」
ミラン:「どうしてよ!」
原初の闇:「人は弱い。人は移ろいやすい、人は常に不安定だ。人は誘惑に弱い、人は疑り深い、人は人を信じることができない」
ジェス:「だから、たった一つの何かが必要だっていうのか?」
原初の闇:「そうだ。人の心を縛る偉大な存在。その一つをよりどころにする。それこそが世界に安定をもたらすのだ」
ヒューマ:「違う!」
サーラ:「そんなことない!」
ベルタ:「サーラ?」
サーラ:「私たちは見てきた」
ヒューマ:「お前の言う、神が支配した世界の末を俺たちは見てきた」
原初の闇:「なに?」
つないだ手を高く掲げるヒューマとサーラ
ヒューマ:「これがお前たちの世界の未来だ」
二人の手の中から光が溢れて、神のビジョンを上書きしていく
生き物が何もいない一面の砂漠、汚染されて飲むことができない水、大地を覆うおびただしい数の動物の骨、骨、骨
人が去った後の、傷付いた不毛の大地
原初の闇:「愚かな、これこそ何かの間違いだ」
サーラ:「間違いじゃないわ。これがあなたたち『神が支配する世界』の終わり」
ヒューマ:「見ろ。俺たちは世界を再生した。命が溢れる世界に」
ビジョンに映し出される、大地を駆ける獣たち、海に溢れる海洋生物、空を駆ける鳥たち、世界に躍動する命の姿。
原初の闇:「獣がなんだというのだ、魚がなんだというのだ、鳥がなんだというのだ!全ては支配されるために生まれてきたものではないか。私は人間に地上の全ての生き物を統べる力を与える。その人間を統べるのが私なのだ!」
ヒューマ:「違う!そんなの違う!支配するとか支配されるとか、そんな世界にしちゃいけないんだ」
原初の闇:「・・・」
サーラ:「共に生きていくの。獣も鳥も魚も。それだけじゃない。花だって草だって森だって。私たちはこの世界の一部なのよ」
原初の闇:「獣と私たちは同列だというのか?」
ヒューマ:「みんな同じ命だ。大切な命だ」
原初の闇:「愚かな。命は死ぬ。そんな不安定なものが世界を覆い尽くすなど、破滅を導くだけだ。私は、私が与えるのは永遠の命だ」
ジェス:「死なねえ命なんて命じゃねえ」
セレン:「限りある命だからこそ、輝くのです」
サーラ:「あなたの言うとおり命は死ぬ。だけど命は消えないわ」
ヒューマ:「命はいつまでも受け継がれていく。途絶えることはない。父さんの命を俺たちが受け継いだように」
原初の闇:「これ以上は問答無用だな。とくと味わうが良い。死の恐怖を!」
◆どす黒い死の恐怖を放つ「七人の神と呼ばれる者」
七人で命の輝きを放つ「司る者」たち
折り重なって倒れる7人の神と呼ばれる者たち
戦闘が終わっても緊張を解かないヒューマ達司る者
七人の神が一つに重なり合い、それは巨大な形のない闇のようになる
フレイ:「これが・・・」
ミラン:「世界の始まり、闇?」
原初の闇:「闇ではない。私は神だ。この世界でただ一つの全知全能の存在だ」
恐ろしく濃い闇が七人を覆い隠す
ジェス:「なんだこりゃ」
ミラン:「何も見えない」
サーラ:「ヒューマ、どこ?」
声:「何も見えないのは当然だ。これこそが人間が支配する世界の未来だ」
闇の中から、右手が突き出てきてサーラの左手を握る
サーラ「ヒューマ?」
二人の周りから闇が消える
ヒューマ:「今は闇かも知れない。でも、オレ達は恐れない」
サーラ:「そうね、ヒューマと一緒なら怖くない」
ジェスの右手がベルタの左手を握る
ジェス:「オレ様が何を恐れるって?」
ベルタ:「今更、怖いことなんて、あるかしら」
ジェスとベルタの周りから闇が消える
ジェスの左手がサーラの右手を握る
ミランの右手がフレイの左手を握る
ミラン:「何も怖くない、フレイがいつもそばに居てくれるから」
フレイ:「僕は、ミランを世界を守る」
ミランとフレイの周りから闇が消える
フレイの右手がセレンの左手を握る
セレン:「私たちは、一つなのです」
セレンの右手がヒューマの左手を握る
一つの輪になって手をつなぎ合う七人の司る者たち
ヒューマ:「オレ達は、オレ達司る者は、何も恐れない!」
七人の輪が深い闇を吸収していく。
原初の闇:「なぜだ、なぜ、世界の始まりであるはずの私が、私の一部に敗れるのだ・・・・」
ヒューマ達:「・・・・」
原初の闇:「こんなことが・・・私を失った世界は、いったいどうなるというのだ・・・」
ヒューマ:「失わないさ」
原初の闇:「失わない?」
ヒューマ:「そうだ、お前も俺たちと一緒に生きるんだ」
原初の闇:「生きる?」
サーラ:「そう。全ての命ある物、すべての命無きものの神になるのよ」
原初の闇:「全ての物の神?」
ジェス:「風にも木にも石にも神が宿るんだ」
ベルタ:「たった一つの神じゃなくてね」
ミラン:「見える物にも見えない物にも神様がいる世界」
フレイ:「そうだな。世界中に神が溢れるんだ」
セレン:「神と神が尊敬しあう世界にするのです」
原初の闇:「神と神が尊敬しあう・・・?」
ヒューマ:「必要なのは絶対的な支配者じゃない。本当に大切なのは、みんながみんなのことを大切に思う世界なんだ」
原初の闇:「そんな世界が出来るというのか・・・」
ヒューマ:「出来るさ」
サーラ:「きっと、いえ必ず出来る」
ヒューマ:「俺たちなら、出来るさ」
【夜 地平】
一面の闇のような夜が二つに割れ、朝陽が顔を出す
新しい太陽が地平を照らし始める
【とある村】
夜明けが始まり、村人が家々から出てくる
村は朝陽に包まれる
村人①:「夜明けだ」
村人②:「なんだろう、いつもより力強いような気がする」
村人③:「昨日と同じだろ?」
村人④:「今日も新しい一日が始まるんだ」
読了ありがとうございました。
今後もごひいきによろしくお願いします。




