さようなら司る者たち
太陽が昇らない国の物語(仮) 本日の投稿で全編完結になります。
前日の投稿で最終決戦は終わりました。
こちらは、ラスボスに勝った場合のエンディングになります。
同時刻に、ラスボスに負けた場合のエンディングを追加投稿します。
【最果ての村】
夜明け前の一番暗い時間
【ヒューマの家】
昨晩から点きっぱなしの明かりが窓から漏れている
【ヒューマの家に続く道】
駆け上がっていくブーツの脚が二人分
【ヒューマの家の前】
待っているジェス、ベルタ
ミランの声:「ジェス、ベルタ」
到着するミランとフレイ
ジェス:「よう、遅かったな」
ミラン:「生まれた?」
首を横に振るベルタ
フレイ:「大変・・・なのか?」
ベルタ:「もうちょっとママのお腹にいたいだけよ。後は時間の問題ね」
フレイ:「そうなんだ」
ミラン:「セレンは来ていないの?」
ジェス:「お産が上手く行くように、夜を鎮める祈祷だかなんだかをするんだと」
ベルタ:「例の水晶玉で観てるわよきっと」
夜を裂いて二人分の赤ん坊の泣き声が家から聞こえる
一斉に反応する家の前の司る者たち
ベルタ:「二人?」
ドアの音:「(ガチャリ)」
呆然と立っているヒューマ
ジェス:「???」
フレイ:「・・・ヒューマ?」
ヒューマ:「生まれた・・・」
ミラン:「???」
ヒューマ:「生まれた」
そのまま前のめりに倒れてしまうヒューマ
天地を割って朝陽が新しい一日を照らし出す
◆テロップ:「3か月後」
【ゆりかごの森 スーリヤの庭】
ゆりかごの中、寝息を立てている双子の赤ちゃん
起こさないよう双子の足を触っているミラン
ミラン:「ぷにぷにだぁ~赤ちゃんって、ぷにぷにだ~」
フレイ:「起こさないようにねミラン」
ミラン:「わかっているって」
開けた庭で遊ぶジェスとグレイスの子供たち
ゆりかごを静かに揺らしているヒューマ
ヒューマにべったりしているサーラ
ベルタ:「名前は、決めたの?」
サーラ:「男の子はヒューマで」
ヒューマ:「女の子はサーラ」
ジェス:「じゃあ、お前たちは大ヒューマと大サーラになるわけだ」
ヒューマ:「何も変わらないよ、今まで通りさ」
【ゆりかごの森】
がさごそと木をかき分けて登場するセレン
セレン:「お久しぶりです皆様」
フレア:「あら、セレン」
セレン:「私にも拝見させてもらえますか、新しい太陽の子と大地の乙女を」
スーリヤ:「まったく、さっきから見せ物じゃないんだよ」
一同:「(笑い声)」
◆時間経過 小川のせせらぎ
ベルタ:「それで、話って?」
サーラ:「うん」
ヒューマ:「俺たち家族、母さんも一緒にここに住もうと思っているんだ」
サーラ:「もうあまり世間に出ないように」
黙って聞いているジェスとベルタ
ミラン:「どうして?」
セレン:「新しい太陽の子と大地の乙女の誕生を盛大に祝う時だと私は思います」
顔を見合わせるヒューマとサーラ
ヒューマ:「もう、太陽の子とか大地の乙女とか、そういう司る者が必要な世界じゃないと思うんだ」
怪訝な顔をするジェス
サーラ:「あれから五年。みんな世界との関わりがすごい濃密になってきている。私たちだけが世界の声を聞ける存在じゃないと思うの」
ジェス:「俺たちは用なしってことか?」
ヒューマ:「積極的に口を出すべきじゃないってことかな?みんなで考えてみんなで世界を創っていく。誰か一人だけが先頭に立つといずれ争いが起きる」
サーラ:「反対に先頭に立つ人間がいなくなった時にも争いが起きるとか」
ベルタ:「身を引くってこと?」
ヒューマ:「そうだね。引退とか隠居とか」
ミラン:「引退?」
フレイ:「ヒューマの年で隠居?」
ヒューマ:「隠居って言ったって町には行くし、まったく人と関わらないってことじゃないさ」
サーラ:「今までよりも太陽の子とか大地の乙女じゃない時間を増やしたいの。この子たちのためにも」
わが子に視線を落とすサーラ
ミラン:「太陽の子が普通の人になるってこと?」
ヒューマ:「この子たちの親になるってことさ。もう太陽の子だとか、大地の乙女が必要な世界じゃないさ」
サーラ:「そう。世界は命に満ちあふれているもの」
少しだけ沈黙する司る者たち
ジェス:「お前たちの言うとおりかもな」
ベルタ:「司る者なんかいなくても、自然と共存していける世界になったということでしょ」
ミラン:「お母さんのイヤリングを外すってこと?」
フレイ:「形ではそうだけど、そうじゃないんだろ?」
サーラ:「そうね」
ジェス:「いつまでたっても、どんなことがあったって、俺たちは何も変わらないさ」
ベルタ:「司る者は、ほんの少しだけお休みする」
ミラン:「世界がピンチになった時!」
フレイ:「再び現れる」
セレン:「ピンチになんかなりませんよ」
ヒューマ:「そうさ、いつまでもいつまでも素晴らしい世界が続くんだ」
円陣を組む司る者たち
重ねられる七人の手
ジェス:「あばよ、風の旅人」
ベルタ:「流水の聖女、また会いましょう」
ミラン:「元気でね、火の探求者」
セレン:「ごきげんよう、月の使徒」
フレイ:「星を見る者、また会う日まで」
サーラ:「ゆっくり休んで、大地の乙女」
ヒューマ:「太陽の子、今までありがとう」
一同:「さようなら。『司る者たち』」
【エンディング】
◆カメラのレンズに映る集団写真様の9人
ファインダーをのぞきながら指示をするセレン
セレン:「みなさんもう少しずつ詰めてください」
フレイに体当たりするミラン
フレイ:「痛いじゃないか!」
ミラン:「詰めてっていったからフレイに詰めたの」
それぞれ子供をだっこするヒューマとサーラ
ヒューマ:「・・・寝ちゃったよ」
サーラ:「・・・いいね、こういうのって」
ヒューマ:「こういうの?」
サーラ:「うん、こういうの」
髪をかきあげるベルタ
ベルタ:「変なポーズすると腰おかしくするわよ兄さん」
いろいろポーズをとるジェス
ジェス:「バカ言うな。俺はまだまだ現役だ」
満面笑顔のスーリヤとフレア
タイマーをセットする手元
カメラからみんなのもとに収まるセレンの後ろ姿
戻るタイマー
カメラ:「(シャッター音)」
『司る者』の最初で最後の集合写真
【暗 転】
新しい朝、新しい日の出
【丘陵地帯】
身支度を整えるジェスを始めとする風の民
一斉に動き出す風の民
一刹那、平野を振り返るジェス
風の中に消えてゆく風の民
【大海原】
太陽を浴びて光り輝く海
波をかき分けて海原を行くマリア・アズーラ号
舳先に立つ青いドレス姿のベルタ
甲板を振り返ると、舵を握っているハイドと思われるシルエット
海の彼方に消えてゆくマリア・アズーラ号
【満月の夜】
月光の中、ペガサスに乗るセレン
月の中に消えていくペガサスのシルエット
【聖都スクード 郊外】
赤々と燃え上がるたき火
たき火の近くに寄り添っているミランとフレイ
赤々と照らされるミランとフレイ
たき火の中に銃と剣を投げ入れる二人
火の粉が天に昇っていく
その先に満天の星空
赤く輝く流星が夜空を横切っていく。
【最果ての村 崖の中腹】
壮大な夕陽が沈む
夕陽に照らされるヒューマとサーラの横顔
二人の横顔が少年時代の、夕陽に照らされるヒューマとサーラの横顔にオーバーラップする(第一部1部より)
夕陽の中で寄り添うヒューマとサーラのシルエットが、夕陽の中に消えていく
【太陽が昇らない国の物語(仮) おしまい】
読了ありがとうございました。
5か月に渡って投稿してきました、太陽が昇らない国の物語(仮)完結でございます。
読んでくださった皆様、感謝申し上げます。
ありがとうございました。




