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太陽が昇らない国の物語(仮) 第四部  作者: 岸田龍庵
太陽の試練 大地の試練
20/46

暗黒の世界

力が強すぎるヒューマ、太陽の巫女に戻ったサーラは、岩戸の向こうにある世界に隠されます。

◆岩戸の向こうの世界


【暗 闇】


何も見えない暗黒の世界

サーラ(声):「ヒューマ」

沈黙しか返ってこない

サーラ(声):「ヒューマ!」

暗闇に淡い太陽の光りが浮かび、かすかにサーラの姿が浮かび上がる

サーラ:「ヒューマ?」

しっかり抱き寄せられるサーラ

ヒューマ:「生きているよねオレたち・・・・」

サーラ:「うん・・・」




しばし、お互いの鼓動(こどう)を感じる二人

ヒューマ:「どこ、なんだろう、ここ?」

サーラ:「ちょっと待って、大地に聞いてみる」

サーラの手が大地に触れる

ヒューマ:「聞こえる?」

サーラ:「うん、スーリヤおばさんの森とすごく似ているんだけど・・・ここ、木の中じゃないかしら?」

ヒューマ:「木の中?ここが」

見上げると確かに円形の「夜の闇」が見える



サーラ:「ここ、木の根の近くよ」

ヒューマ:「すごい大きな木なんだな。でもどうしよう。ここから出られないや」

サーラ:「大丈夫。私に任せて」

ヒューマ:「おっ?」

2人の足下の地面がせり上がってくる

サーラ:「出してくれるように頼んだの」

どんどん近づいてくる夜の闇

2人は吐き出されるように木の中から脱出して、巨木の頂上に立っていた



ヒューマ:「ねえサーラ?さっきスーリヤおばさんの森に似てるって言ったよね?」

サーラ:「うん。もしかするとスーリヤおばさんの森なのかもしれないけど・・・」

ヒューマ:「けど?」

サーラ:「懐かしいの」




ヒューマ:「懐かしいって?」

サーラ:「私たちが知っているスーリヤおばさんの森の感じがすごく懐かしいの。とてもとても遠い昔に感じるの」

ヒューマ:「遠い昔?」

サーラ:「うん・・・」

ヒューマ:「木の上にいるのも何だし、降りてみようか。サーラ木登り得意だよね」

サーラ:「うん」

足下を見るサーラ

サーラ:「なに、この葉っぱ?」

2人は()()()よりも大きな葉が生い茂った巨木の上に立っている





【謎の巨木】


どこもかしこも巨大な木をするすると降りていくヒューマとサーラ

途中、人間より大きい実が下がっている

ヒューマ:「すごい、実も大きい」

サーラ:「見てヒューマ」

樹皮の上では、人間よりも一回り大きい昆虫が食事をしている

2人の気配を察知したのか、鋭いアゴをカチカチならしながら威嚇(いかく)をしてくる昆虫



◆しばらくにらみ合う両者



にらみ合いに飽きたのか、昆虫は羽根を広げ、やかましい羽音を立てながら飛び去っていく

呆けて見ているヒューマとサーラ

ヒューマ:「なんだここは?」





【謎の森】


どこもかしこもサイズが大きい森の中を歩くヒューマとサーラ

月明かりが届きにくい深い闇の中を歩くヒューマとサーラ

ヒューマ:「俺たちが小さくなったんじゃないのかな?」

サーラ:「そうなのかな?」

ヒューマ:「サーラ、大地の声が聞こえるんだね?」

サーラ:「うん、そうみたい。太陽の巫女(みこ)なのか、大地の乙女なのか、どっちなんだろう私」

ヒューマ:「どっちもなんだよ。太陽の巫女でも大地の乙女でもサーラはサーラだよ」

ふふん、と自慢げに鼻を鳴らすサーラ



静かに伸びるヒューマの手

ヒューマ:「手、つなごうか?」

ヒューマの顔と手を見返すサーラ

サーラ:「うん」

手をつないで森を歩く太陽の子と大地の乙女

サーラ:「みんなが居る前で、こんなことしてたら司祭様に怒られそう。『乙女様!』って」

ヒューマ:「今はオレ達しかいないから、怒られないさ」

サーラ:「やっぱり、そう思う?」

頷くヒューマ

ヒューマ:「誰も、この世界に、一人の人間も居ないみたいだ」

サーラ:「ここ、どこなのかな?」

森の隙間から深い夜を仰ぎ見るサーラ

サーラと同じように夜を見上げているヒューマ

ヒューマ:「とても夜が深いね」

夜は答えない




【謎の森 沼地】

        

スーリヤの(いおり)のある庭のように開けた空間

中央に沼がある

あまり透明度は良くない(にご)り水を手ですくうヒューマ

ヒューマ:「・・・・」

沼に(じか)に口をつけてゴクゴク飲むサーラ



ヒューマ:「サーラ?」

サーラ:「はぁー生きかえった!」

ヒューマ:「飲めるの?」

サーラ:「うん。大地の乙女は泥とか(どく)なんかへっちゃらなんだよ」

ヒューマ:「そうか、そうだよな」

サーラ:「そうだ、ねえヒューマ、目、つぶって」

ヒューマ:「目を?なんで?」

サーラ:「いいから閉じて」



目を閉じるヒューマ

再び泥沼に直に口をつけるサーラ

目を閉じているヒューマにサーラの顔が被さり、口移しで水を飲ませる




ヒューマ:「んー!んん!」

今までしたことがない出来事に目を見開くヒューマ

瞳を閉じて水を飲ませるサーラ

サーラ:「・・・・」

静かに離れる二人の(くちびる)



ヒューマ:「・・・・」

サーラ:「おいしかった?」

黙って頷くヒューマ

ヒューマ:「でも、ヘンだな?」

サーラ:「ヘン?」

ヒューマ:「ベルタの雰囲気が、水にない」

サーラ:「だとしたら、誰が司っているのかしら?」

読了ありがとうございました。


今後もごひいきによろしくお願いします。

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