暗黒の世界
力が強すぎるヒューマ、太陽の巫女に戻ったサーラは、岩戸の向こうにある世界に隠されます。
◆岩戸の向こうの世界
【暗 闇】
何も見えない暗黒の世界
サーラ(声):「ヒューマ」
沈黙しか返ってこない
サーラ(声):「ヒューマ!」
暗闇に淡い太陽の光りが浮かび、かすかにサーラの姿が浮かび上がる
サーラ:「ヒューマ?」
しっかり抱き寄せられるサーラ
ヒューマ:「生きているよねオレたち・・・・」
サーラ:「うん・・・」
しばし、お互いの鼓動を感じる二人
ヒューマ:「どこ、なんだろう、ここ?」
サーラ:「ちょっと待って、大地に聞いてみる」
サーラの手が大地に触れる
ヒューマ:「聞こえる?」
サーラ:「うん、スーリヤおばさんの森とすごく似ているんだけど・・・ここ、木の中じゃないかしら?」
ヒューマ:「木の中?ここが」
見上げると確かに円形の「夜の闇」が見える
サーラ:「ここ、木の根の近くよ」
ヒューマ:「すごい大きな木なんだな。でもどうしよう。ここから出られないや」
サーラ:「大丈夫。私に任せて」
ヒューマ:「おっ?」
2人の足下の地面がせり上がってくる
サーラ:「出してくれるように頼んだの」
どんどん近づいてくる夜の闇
2人は吐き出されるように木の中から脱出して、巨木の頂上に立っていた
ヒューマ:「ねえサーラ?さっきスーリヤおばさんの森に似てるって言ったよね?」
サーラ:「うん。もしかするとスーリヤおばさんの森なのかもしれないけど・・・」
ヒューマ:「けど?」
サーラ:「懐かしいの」
ヒューマ:「懐かしいって?」
サーラ:「私たちが知っているスーリヤおばさんの森の感じがすごく懐かしいの。とてもとても遠い昔に感じるの」
ヒューマ:「遠い昔?」
サーラ:「うん・・・」
ヒューマ:「木の上にいるのも何だし、降りてみようか。サーラ木登り得意だよね」
サーラ:「うん」
足下を見るサーラ
サーラ:「なに、この葉っぱ?」
2人は蓮の葉よりも大きな葉が生い茂った巨木の上に立っている
【謎の巨木】
どこもかしこも巨大な木をするすると降りていくヒューマとサーラ
途中、人間より大きい実が下がっている
ヒューマ:「すごい、実も大きい」
サーラ:「見てヒューマ」
樹皮の上では、人間よりも一回り大きい昆虫が食事をしている
2人の気配を察知したのか、鋭いアゴをカチカチならしながら威嚇をしてくる昆虫
◆しばらくにらみ合う両者
にらみ合いに飽きたのか、昆虫は羽根を広げ、やかましい羽音を立てながら飛び去っていく
呆けて見ているヒューマとサーラ
ヒューマ:「なんだここは?」
【謎の森】
どこもかしこもサイズが大きい森の中を歩くヒューマとサーラ
月明かりが届きにくい深い闇の中を歩くヒューマとサーラ
ヒューマ:「俺たちが小さくなったんじゃないのかな?」
サーラ:「そうなのかな?」
ヒューマ:「サーラ、大地の声が聞こえるんだね?」
サーラ:「うん、そうみたい。太陽の巫女なのか、大地の乙女なのか、どっちなんだろう私」
ヒューマ:「どっちもなんだよ。太陽の巫女でも大地の乙女でもサーラはサーラだよ」
ふふん、と自慢げに鼻を鳴らすサーラ
静かに伸びるヒューマの手
ヒューマ:「手、つなごうか?」
ヒューマの顔と手を見返すサーラ
サーラ:「うん」
手をつないで森を歩く太陽の子と大地の乙女
サーラ:「みんなが居る前で、こんなことしてたら司祭様に怒られそう。『乙女様!』って」
ヒューマ:「今はオレ達しかいないから、怒られないさ」
サーラ:「やっぱり、そう思う?」
頷くヒューマ
ヒューマ:「誰も、この世界に、一人の人間も居ないみたいだ」
サーラ:「ここ、どこなのかな?」
森の隙間から深い夜を仰ぎ見るサーラ
サーラと同じように夜を見上げているヒューマ
ヒューマ:「とても夜が深いね」
夜は答えない
【謎の森 沼地】
スーリヤの庵のある庭のように開けた空間
中央に沼がある
あまり透明度は良くない濁り水を手ですくうヒューマ
ヒューマ:「・・・・」
沼に直に口をつけてゴクゴク飲むサーラ
ヒューマ:「サーラ?」
サーラ:「はぁー生きかえった!」
ヒューマ:「飲めるの?」
サーラ:「うん。大地の乙女は泥とか毒なんかへっちゃらなんだよ」
ヒューマ:「そうか、そうだよな」
サーラ:「そうだ、ねえヒューマ、目、つぶって」
ヒューマ:「目を?なんで?」
サーラ:「いいから閉じて」
目を閉じるヒューマ
再び泥沼に直に口をつけるサーラ
目を閉じているヒューマにサーラの顔が被さり、口移しで水を飲ませる
ヒューマ:「んー!んん!」
今までしたことがない出来事に目を見開くヒューマ
瞳を閉じて水を飲ませるサーラ
サーラ:「・・・・」
静かに離れる二人の唇
ヒューマ:「・・・・」
サーラ:「おいしかった?」
黙って頷くヒューマ
ヒューマ:「でも、ヘンだな?」
サーラ:「ヘン?」
ヒューマ:「ベルタの雰囲気が、水にない」
サーラ:「だとしたら、誰が司っているのかしら?」
読了ありがとうございました。
今後もごひいきによろしくお願いします。




