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太陽が昇らない国の物語(仮) 第四部  作者: 岸田龍庵
太陽の試練 大地の試練
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太陽の試練 大地の試練

引き続き、ヒューマとサーラが隠れた岩戸の向こうの世界の話です

◆岩戸の向こうの世界


【謎の森 沼のほとり】


泥沼のほとりで座るヒューマとサーラ

サーラ:「いつ、元の世界に戻れるのかな?」

ヒューマ:「うーん。多分、俺たちはこの世界でなにかやることがあるんじゃないのかな?」

サーラ:「やること?」

ヒューマ:「ここがどこなのか分からないっていうのも気になるけど、あの岩からここに来たってことは何か理由があるはずだよ」

サーラ:「理由?」

ヒューマ:「何したらいいのかわかんないけど、理由があるはずだよ」

サーラ:「何したらいいのか分からないのは、どこへ行っても同じだね」




ヒューマ:「う、うん。でもさ、何かやらなきゃいけないことがあるはずだよ。だって俺たち太陽の子と大地の乙女なんだよ」

サーラ:「この世界でもそうなのかな?ジェスの感じも、ベルタの感じも、月だって、セレンのお化粧臭さがまったくないよ。それでも私たちって『司る者』なのかな?」

ヒューマ:「きっとそうだよ。だから木の中から出られたんじゃないか」




サーラ:「あのね、ヒューマ。木の上で懐かしい感じがするって言ったよね」

ヒューマ:「うん」

サーラ:「ウマとかウシとかの感じはたくさんあるんだけど、人の感じが、やっぱり一緒なの。懐かしいの。遠い昔に人はいたけど、今はいない。ヒューマは何か感じた?」

ヒューマ:「夜だから何も感じないんだけど。太陽はあるはずだ」

サーラ:「そうなの?」

ヒューマ:「森にも泥水にも、太陽の光の(あと)がある。匂いがするんだ。それが太陽には違いないんだけど、まったく知らない、太陽みたいなんだ。

父さんの感じもないし、母さんの感じもない。懐かしいとかもない。というよりもまったく別の何かに思えるんだ」




サーラ:「別の何か?」

ヒューマ:「うん。別の太陽なのか、同じなんだけどまったく変わってしまったのか」

サーラ:「もしかしてここって、太陽が昇らない場所なのかな?」

ヒューマ:「・・・・」

サーラ:「太陽を昇らせるために、私たちがこの世界に送られたのかも」

ヒューマは小さく首を横に振る

ヒューマ:「違う、と思う」

サーラ:「そうなの・・・」




ヒューマ:「怒らないで聞いて欲しいんだ」

ヒューマの横顔を見るサーラ

ヒューマ:「5年前、オレ達は太陽を昇らせた。でも、それが本当に正しかったのかって思うんだ」

サーラ:「(絶句)」

ヒューマ:「もしかして、オレ達人間の都合だけで太陽を昇らせたような感じがしてならないんだ」

サーラ:「どうして、そう思うの?」

目の前のたき火を凝視するヒューマ



◆回想

太陽の司祭:「人はより欲しがるものだ。人の性よ。悲しい性よ」



ヒューマ:「人間だけが、この世界のバランスを崩している。火をたくさん使ったり、作物をたくさん作るために地面を作り替えたり。そんなことするの人間だけじゃないか」

サーラ:「そうだけど・・・」

ヒューマ:「全部が悪いとはオレも思わない。でも、すぎるとみんなダメになってしまう。オレ達、人間は欲しがるのを止められないじゃないか」



◆回想 大地の大聖堂

村長①:「このまま太陽が強いと、来年の水瓶が心配ですね」

村長②:「例年通りに雪が降るのかが心配です。雪解け水がないと土壌(どじょう)に栄養が流れ込みません」

サーラ:「太陽が昇らなかったら昇らなかったで大変だし、出ていれば出ていたで問題だし、贅沢(ぜいたく)な悩みよね」




黙っているサーラ

ヒューマ:「ここ数日考えていたんだ。オレ達人間はこの世界に必要なのかって?」

サーラ:「私は必要とかじゃなくて、みんなと一緒に生きていけると思う」

ヒューマ:「人間がこの世界に一緒に存在するために、みんなの声を聞けるようにならないと行けないんだと思う。太陽だけじゃなくて、大地も水も、風も、月や星だって必要だし、火が暴走しないようにしないと行けない」

サーラ:「そのために私たちはいるのね『司る者』が」

重圧に肩が沈むサーラ



ヒューマ:「なんとかなるさ。だってサーラと一緒なんだから」

サーラ:「(微笑)」

サーラ:「ねえ、みんなの前で『ずっと私の側にいたい』って言ったの、本当?」

ヒューマ:「本当だよ。でもオレが側にいることで、サーラが困るんだったら、離れなきゃって思ったのも本当だ」

サーラ:「ヒューマ・・・」

ヒューマ:「サーラだけじゃない。オレのせいでベルタやジェス、セレンにミランも困るようなことがあるんだったら、オレはみんなの前からいなくなるんだと思う。

世界は太陽を中心に回っているわけじゃない。

ジェスもベルタもセレンもサーラも、ミランもいるから世界なんだ。今までは太陽が昇っていればなんとかなるって思っていたけど、太陽だけが世界じゃないし、太陽だけの世界じゃない。

みんなの世界なんだって。そう思う」



サーラ:「もしかすると、そういうことを分からせるために、ここに連れてこられたのかも?」

ヒューマ:「そういうことって、『太陽だけの世界じゃない』ってことか?」

サーラ:「うん。『私たちだけの世界じゃない』ってことを勉強するための試練なのかも」

ヒューマ:「オレの試練」

サーラ:「私たちの試練よ」

読了ありがとうございました。


今後もごひいきによろしくお願いします。

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