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太陽が昇らない国の物語(仮) 第四部  作者: 岸田龍庵
太陽の試練 大地の試練
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たとえ、この身が裂けようとも

前話に引き続き原初の闇とヒューマの、同じ顔をした者同士の対話です。

◆朝陽のに包まれ、世界の目覚めを眺めているヒューマと原初の闇



原初の闇:「いつみても美しいな」

ヒューマ:「そうだな」

原初の闇:「私はいつも思っている。この美しい世界がいつまでも続けば良いと」

ヒューマ:「・・・・」

原初の闇:「私はこの世界を守るためなら全ての労をおしまない」

ヒューマ:「あんたは、この世界を滅ぼすためにいるんじゃないのか?」

原初の闇:「とんでもない。私はこの世界を誰よりも愛している。そして守りたいとも思っている」

ヒューマ:「じゃあ、なんで俺たちの邪魔をする?」

原初の闇:「私が望む平和と君たちが勝ち取ろうとする平和と違いがあるからだ」

ヒューマ:「前にもそんなことを言っていたな、平和が違うって。おかしいだろ?平和は平和だろ?」

原初の闇:「おかしい、と思うか?」

ヒューマ:「おかしい」



原初の闇:「お前はこの世界を守るために全てを()けることができるか?」

ヒューマ:「もちろんだ。バカにするな」

原初の闇:「私が『歩みと止めるが良い』と言ったことを覚えているか?」

ヒューマ:「ああ」

原初の闇:「事態は差し迫っている。もしお前がこの世界を守りたいと思っているのなら、全てを賭けて進むのだ。たとえ身を引き裂くような苦しみが待ち受けていようともな」

朝陽にとけ込むように消えていく原初の闇:

ヒューマ:「お、おい・・・・」




【最果ての村 入り口】


ヒューマ:「いや~久しぶり・・・」

門に近づくサーラ

手槍を持った衛兵らしい村人が物物しい姿を見せている

衛兵①:「待て!」

手槍を構える衛兵

衛兵②:「うん?」

ヒューマ:「どうしたんだい、エライ物物しいね」

衛兵①:「お前、ヒューマか?」

ヒューマ:「そう、オレだよヒューマだよ」

衛兵①②:「ヒューマ!」



衛兵②:「良く無事だったな」

ヒューマ:「それにしても随分、物物しいね。何かあったの?」

衛兵①:「良くわからん連中がお前の居所を確かめに来たのだ」

ヒューマ:「良くわからない連中?」

衛兵②:「全身白ずくめの、薄気味悪い連中だ」

ヒューマ:「それなら知ってるぜ。村に着く前にあったぜ」

衛兵①②:「なんだと?」

ヒューマ:「返り討ちにしてやったけどね」

顔を見合わせる衛兵達



ヒューマ:「それよりも父さんと母さんは戻ってきているよね?」

衛兵①:「なんだ、一緒じゃないのか?」

ヒューマ:「どこかで追い抜いちゃったのかな?父さんと母さんに追いつこうって飛ばしてきたんだけど」

衛兵①:「そうか。ともあれ、お帰りヒューマ」

衛兵②:「疲れただろう?今日はゆっくり休め」

ヒューマ:「それが全然疲れてないんだ。三日三晩夜通し走ってきたけど、へっちゃらだね」



顔を見合わせる衛兵

衛兵①:「そうか、それはなによりだ。ひとっ走りして司祭様にお前の帰還を報告しておこう」

走り出す衛兵

大きく深呼吸するヒューマ

大声:「出たぞー」

村の奥の方から怒号があがる

ヒューマ:「出たってなんだ?」

衛兵②:「あの白装束の連中だろう」

走り出す衛兵

ヒューマ:「オレも行く!」



◆あっさりと白装束集団を退けるヒューマ



ヒューマ:「弱いけど、どこから来たんだろうこいつら?」

太陽の司祭(声)「ヒューマ」

ヒューマ:「司祭様、久しぶり。村のみんなにケガはない?」

太陽の司祭:「ああ。良くやってくれたな。お前が退治したのか?」

ヒューマ:「退治っていっても大したことなかったね。村のみんなの方が強いじゃないのかな?」

太陽の司祭:「ヒューマ」

ヒューマ:「なんです司祭様?」

太陽の司祭:「強くなったなヒューマ」

ヒューマ:「オレだけが強くなったんじゃないよ司祭様。みんながオレに力をくれるんだ。勇気もね」

太陽の司祭:「・・・」

ヒューマ:「だからオレは少しでみんなの役に立ちたいんだ。太陽の力でね」





【ゆりかごの森 スーリヤの庭】


(つた)やら下草やらに捉えられて身動きが取れない白装束の暗殺者たち

ファロス:「お母さん、ケガは?」

スーリヤ:「私がケガなんかすると思うかい?」

フレア:「それもそうね」

慇懃(いんぎん)にお辞儀をするセレン

ファロス:「セレン、君は無事だったのか?なにやらサーラちゃんが助けたとかなんとか言っていたが」

セレン:「ええ、大地の乙女には助けていただきました」



フレアは不思議そうにペガサスの巨体を見ている

ペガサス:「ペガサスがそんなに珍しいか太陽の子よ」

フレアとファロス「喋った!」

スーリヤ:「まあ部屋で落ち着いて話そうじゃないか」

大木のうろの中へ促すスーリヤ

セレン:「この者たちはどうしましょう?大賢者」

ペガサスの方を向くスーリヤ

スーリヤ:「あんた、適当に片付けておいてくれるかね?」

ペガサス:「心得た。森を司る者よ」

ペガサスは白装束の暗殺者に尻を向けると、両足で思い切り蹴飛ばした。

森の向こうに消えていく暗殺者

フレア:「痛そうね・・・」

ファロス:「そりゃ痛いだろ」

読了ありがとうございました。


今後もごひいきによろしくお願いします。

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