悲しみを乗り越えて
すおう3話w
私たちは廊下に駆け戻った。私の瞳にはハッキリと捨てられた嫉妬にがんじがらめになっている彼女に、付け入る女性の霊が写る。
勿論その霊の事は何も知らない。だけど、怒りの表情の中にどこか悲しみを自分一人で押さえ込み乗り越えた気になっている寂しさを感じた。
黄凛にナイフの彼女の名前を教えてもらった。
哀理さんと言うらしい。彼女からもまた、悔しさと、孤独の念を強く感じた。
私は霊も怖いし、ナイフも怖い。それでも、ここで逃げ出して彼女が取り返しのつかない事をして、無念を遺してしまう方が怖かった。
「ヒトは生きることで償いをする」これもいつか父さんが遺した言葉だ。
だから私は逃げない。
「哀理さん!戻って来て!争っても誰も幸せになれない。未来に進めない」
彼女を通して、霊に声が届いた。霊は言った。
「私は彼に捨てられて、誰も気にかけてくれなかった。私は愛されたかった。独りにしないでよ」
力無く、でも激しく心の叫びが私に入ってくる。
とても苦しい。
彼女が彼氏を大切にしすぎた為に、執着しすぎた為に、孤立して、独りぼっちになるそのありのままの姿が彼女自身の視点で脳に流れ込む。
私は霊に、哀理にありのままの心をぶつけた。
「あなたは独りじゃ無い!必ず寄り添い、受け止めてくれる人はすぐそばにいる。きっと孤独で見えないだけ」
ナイフを落として、膝から崩れて泣き叫ぶ彼女を私はそっと抱きしめた。
霊はやさしく、そして羨ましそうに還っていった。
一連の事件は、黄凛が隠蔽してくれた。
黄凛は、用を済ませると、いつも以上の太陽みたいな笑顔でハグして来た。
「いいなぁ」
小さく呟いて、かき消す様に続けた。
「真琴イケメン過ぎて滅wてかてか、私たち最高にイカしたバディじゃ無い⁈」
「は?何言ってんのw、てかいいなぁって何w女見せないでよ」
バディと言われて嬉しかった。でも黄凛を危険に晒すのは嫌だった。大事な親友だから。
それでも黄凛は引き下がらずに提案した。
「真琴のイケメン陰陽師パワーと私のコネが有れば私たち最強だよ?
だからさ?私たち——」
もはや拒絶する理由の無い様に感じ、遮る様に一言!
「いいよ!やろう!陰陽師シスターズ!」




